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12月 04, 2016

2016年11月の読書まとめ

「アンダーグラウンド」は前から読みたいと思っていた本だったのだが、やはり感銘を受けた一冊でありました。
マンガでは「聲の形」「かくかくしかじか」が印象に残っている。

2016年11月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2153ページ
ナイス数:48ナイス

アンダーグラウンド (講談社文庫)アンダーグラウンド (講談社文庫)感想
熱心な村上春樹読者では全くない私だが、これまで読んだ春樹の本で最も面白かった。前代未聞の事件を起こした地下鉄サリン実行犯たちの表情は脱色された様に曖昧で、たまたまその日その電車に乗り合わせてしまった幾多の被害者の一人一人の方が綿密に描かれる。巧みなモノローグ文に乗って人々の語る職業のディテール、来し方行く末、個人的習慣(御苑駅で降りて牛乳を買う話が印象的)…皆それぞれユニークなその一切が、新聞紙包から漏れ出したあの液体の引き起こす症状に無造作に束ねられる不条理。史上に残すべき記録文学と言ってよい様に思う。
読了日:11月22日 著者:村上春樹
ミュージアム コミック 1-3巻セット (ヤングマガジンKC)ミュージアム コミック 1-3巻セット (ヤングマガジンKC)感想
まあまあ
読了日:11月19日 著者:巴亮介
かくかくしかじか コミック 全5巻完結セット (愛蔵版コミックス)かくかくしかじか コミック 全5巻完結セット (愛蔵版コミックス)感想
東村アキコの自伝的マンガで、宮崎で絵画教室を営む超スパルタ画家「先生」との関係を軸に描かれる。笑いとほろ苦い回想が交錯。タラレバ娘はそんなに乗れなかったけど、これはすごく良かった。
読了日:11月19日 著者:東村アキコ
遠すぎた家路 戦後ヨーロッパの難民たち遠すぎた家路 戦後ヨーロッパの難民たち感想
第二次大戦の終結は、故郷から引き離された余りにも多くの国籍の人々が難民として投げ出される瞬間でもあった。ナチは軍隊に注いだ労働力の補填のために、多くの東欧の人々を連行し労働力にしていたのだ…戦後世界がこの強制移住者らを母国に帰そうと努力する一方、バルト三国人、ウクライナ人やポーランド人はロシアの支配下にある母国に戻る事を望まず、国際機関の調査を誤魔化すことまでした…。全く一筋縄でいかない難民と人道政策の困難が開陳され、問題が決して過去のものではないという思いを新たにさせられる。ちょっと長すぎな感はあり。
読了日:11月6日 著者:ベンシェファード
orange コミック 全5巻完結セット (月刊アクション)orange コミック 全5巻完結セット (月刊アクション)感想
良かった。アニメもちょっと見たくなったな~。「未来からの手紙」が一体どのような経路でどう届いたのかが完膚なきまでに省略されているのはこの場合むしろ潔いというべきだろう。
読了日:11月5日 著者:高野苺
アンゴルモア 元寇合戦記 (4) (カドカワコミックス・エース)アンゴルモア 元寇合戦記 (4) (カドカワコミックス・エース)感想
1~4巻まで読んだ。元寇の対馬を舞台に、島に攻め入ってきた蒙古軍に対し島の地頭・流人らが山岳ゲリラ戦を挑む。珍しい時代設定に興味をひかれるが、話が面白くなるのはこれからなのかな…という感じ。
読了日:11月5日 著者:たかぎ七彦
聲の形 コミック 全7巻完結セット (週刊少年マガジンKC)聲の形 コミック 全7巻完結セット (週刊少年マガジンKC)感想
全巻読んで初めて感銘を受けた。障害を持った子供へのいじめと、いじめの生んだ疎外からの回復という重いストーリーをめぐって「人と向き合うということの困難さ」という40男にしても容易ならざる主題を掘り下げる。こんなに愉快さの無い(永束君はおもしろいが)物語がコミックス7巻も続く人気マンガとなってるのがスゲーし文学的。読み返したい。
読了日:11月3日 著者:大今良時

読書メーター

11月 04, 2016

2016年10月の読書まとめ

前月飛んでしまった。最近、レンタルビデオ店が新たな収入源として始めたコミックレンタルを利用することを覚え、買うには迷うが興味のあるマンガをレンタルで読むようになった。「ゴールデンカムイ」「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」は、それ。今読んでる「遠すぎた家路 戦後ヨーロッパの難民たち」が超時間かかってる。早く読み終わりたい。

2016年10月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:2475ページ
ナイス数:49ナイス

天の血脈(8)<完> (アフタヌーンKC)天の血脈(8)<完> (アフタヌーンKC)感想
こ れ は ひどい!いや、安彦良和のマンガが尻すぼみで終わることままある、というかよくあると言ってもいい。しかしこれはひどい!散らかしすぎ!安重根意味ない!ハナも意味ない!明石大佐意味ない!アクション全く盛り上がらない上にこの浦島オチは何なの?Cコートなの!?というわけで最近の押井守の実写見たときみたいなガッカリ感に満たされました。
読了日:10月26日 著者:安彦良和
ゴールデンカムイ 7 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 7 (ヤングジャンプコミックス)感想
人気が出るのもわかる明治連続活劇。巨額の金塊をめぐって、開拓まだきの明治北海道を軍人・陰謀家が入り乱れて縦横無尽。その中心には日露戦争帰りの軍人「不死身の杉元」とアイヌの少女アシリパがいるのだが、アシリパを通して語られるアイヌの食と狩猟を含めた文化の奥深い面白さが開陳されるのがアクションと並んで漫画の大きな魅力になっており素敵。杉元が金塊を追う動機に関する語りが薄いのと、6,7巻あたりの日本映画インスパイア展開がちょっと弱く感じるけど、非常に面白く、乗れた。
読了日:10月22日 著者:野田サトル
ゴールデンカムイ 6 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 6 (ヤングジャンプコミックス)
読了日:10月22日 著者:野田サトル
ゴールデンカムイ 5 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 5 (ヤングジャンプコミックス)
読了日:10月22日 著者:野田サトル
ゴールデンカムイ 4 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 4 (ヤングジャンプコミックス)
読了日:10月22日 著者:野田サトル
吉祥寺だけが住みたい街ですか?(1) (ヤンマガKCスペシャル)吉祥寺だけが住みたい街ですか?(1) (ヤンマガKCスペシャル)感想
冒頭、バウスシアター閉館の掲示を前に格のある双子の大女が「吉祥寺も終わったな」と嘆息するシーンから始まる。双子は不動産屋を営んでおり、次々に現れる皮相な理由で吉祥寺に住みたがる客を迎えては吉祥寺『以外』の味のある東京の街を進めていくという漫画。一回目が雑司ヶ谷というのがいいし、一巻の最後で中野が出てくるのだが、中でも薬師あいロード商店街を推してくるあたり何というか、分かってる。多分吉祥寺を勧めるのはこのマンガの最終回にとってあるのではないか…と思いつつ次はどの町が出てくるかと思わずページを繰ってしまう良作
読了日:10月21日 著者:マキヒロチ
ゴールデンカムイ 3 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 3 (ヤングジャンプコミックス)
読了日:10月21日 著者:野田サトル
ゴールデンカムイ 2 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 2 (ヤングジャンプコミックス)
読了日:10月21日 著者:野田サトル
ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックス)
読了日:10月21日 著者:野田サトル
あやし (角川文庫)あやし (角川文庫)感想
平井呈一の訳す英国怪奇小説の味わいを宮部江戸ものに移したような怪奇短編集。M.R.ジェイムズの古物怪奇譚の趣のある「灰神楽」あたりは良かった。
読了日:10月11日 著者:宮部みゆき
映画の奈落: 北陸代理戦争事件映画の奈落: 北陸代理戦争事件感想
東映実録やくざ映画路線の掉尾を飾り、当初は「新仁義なき戦い」シリーズの一本として企画された松方弘樹主演映画「北陸代理戦争」。主人公のモデルとなった実在の親分が、まるで映画のストーリーをなぞるようにロードショー後に福井県内の喫茶店で銃撃を受け命を落とす…。山口組内の権力争いに取材し、試写会につめかけたやくざたちを青ざめさせた挑戦的なストーリーを描いた深作監督と脚本の高田宏治が覗いた「映画の奈落」を丹念な取材で追ったルポルタージュ。終章の高田の現在まで含め、ただひたすら圧巻な一冊。
読了日:10月4日 著者:伊藤彰彦

読書メーター

9月 01, 2016

2016年8月の読書まとめ

8月、終戦の夏にちなんで課題図書読もう…とは思っていたが、想像以上に先の大戦からみの本とかマンガばっか読んでいたし実際のところ今もなお大戦史本読んでる。「戦争まで」と「国のために死ねるか」、今巻だけではないが「あれよ星屑」を月間ベスト3として推したい。

2016年8月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3721ページ
ナイス数:70ナイス



儀式で歌った歌わないばかりが騒動となり、反面多くの国民には成立過程すら知られぬまま消極的に肯定されている国歌「君が代」の成立史・受容史を明らかにする好著。超国家主義の象徴となった暗い歴史は勿論ありつつも、悪名高き国体明徴運動までは高校の試験に意味を問う問題が出ても正答率超低かったといい、その時期は1937年頃からと浅い伝統でしかないことが分る。日教組もやりすぎだが「歌っていないものがいる事自体が許せない」というがごとき右派の態度もまた、歌自体の価値を置き去りにした未成熟な態度というべきであろう。
読了日:8月29日 著者:辻田真佐憲





岩波新書のシリーズ日本中世史の2巻。鎌倉幕府は北条氏の得宗九代が実権を握り、やがて天皇親政を掲げる後醍醐帝らに滅ぼされる。後醍醐までの天皇は院政が常識で天皇自身ではなく誰が上皇や法皇として君臨するかが問題とされ、親政はむしろ例外的事象だったという。それと「将軍」という権威を頂きながらも実権は官位の超低い得宗家が握り、天皇人事をもコントロールしていたという事が奇妙に対照する印象。朝廷と幕府という奇妙な二重構造が生まれたのもこの時代かと思うと、鎌倉時代は今に繋がる要素が結構豊富な時代なのかもと思えてきた。
読了日:8月27日 著者:近藤成一






素晴らしいの一言。焼跡日本という設定を生かして古典的マンガ表現の清新なリブートを行う狙いはもちろん1巻からずっと成功しまくっているが、本巻では屈折したナショナリズムと新時代への期待、帰還兵のアイデンティティといった、占領日本の市井に渦巻いていた様々な感情の折れ重なりが、ある死者への追悼の場で最もビビッドに描き出される。新巻出るたびに思うが全国民必読といえるのではないか。
読了日:8月27日 著者:山田参助




タイトルで拒否感もつ人多いと思うが、軍人として結構はみ出ており大成翼賛的ウヨクとは全く異なる価値観を持った筆者で、その記述は組織論としても仕事論としても非常に面白い。軍隊はその国の底辺人材が集まる所で、故に戦争とはその国の底辺VS底辺の衝突になる、日本は優秀な人材が多くはないが「優秀じゃない人が極端に少ない」国のため、自衛隊は優秀になる…という話など典型。筆者の父親は、戦時中に受けた蒋介石暗殺指令が取消されなかったため、戦後も暗殺訓練を欠かさなかったとか…父も凄いが筆者も負けてない。奇/偉人というべきか。
読了日:8月25日 著者:伊藤祐靖


大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争 (幻冬舎新書)大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争 (幻冬舎新書)感想
捏造報道の代名詞「大本営発表」を日中戦争期から説き起こし、実際の戦果と発表がいかに解離していき、デタラメの極致へ向かったのかを四期に分けて解説する。日中戦争期の新聞は「戦争報道」というドル箱を熾烈な部数競争に勝ち残るツールとし、実際の戦況の先回りをして南京攻略を報じるなど、軍の統制を越えていた。用紙配給の制限をちらつかせ記者の軍属化を進めるなど、世論操作の重要性を認識していた軍部による新聞の取り込み策の成果が大本営発表で、そのルートは決して過去のものではない、と安倍政権のマスコミ操作施策への警鐘も鳴らす。
読了日:8月21日 著者:辻田真佐憲
中世社会のはじまり〈シリーズ日本中世史 1〉 (岩波新書)中世社会のはじまり〈シリーズ日本中世史 1〉 (岩波新書)感想
平安末期から室町幕府前期までの通史をさらいながら、中世における社会と文化の変化を記述。重要人物の心情が百人一首の和歌を引用して推察されるのも面白いが文章は硬質で、読むのに難儀した。
読了日:8月20日 著者:五味文彦
戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗感想
名著「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」加藤陽子先生による講義録。開戦へ向かうマイルストーン的対外交渉−リットン報告書・日独伊三国同盟・ハルノートに到る日米交渉の史料を読み解きつつ、俗説を排して状況の実相を明らかにする。リットン報告書は日本の満州権益に結構配慮した内容だったとか、英仏列強が植民地ブロック経済を進めていたという事は当時の輸出入記録から読み解けないとか、対米交渉で日本の暗号は米国に丸分かりだったが実は日本も米国の暗号をほぼ読み解いていた等、目からウロコすぎる史実多数。この夏推薦の一書。
読了日:8月15日 著者:加藤陽子
新装版 市塵(下) (講談社文庫)新装版 市塵(下) (講談社文庫)感想
家宣に仕え、綱吉時代の悪弊を改革し大いに野心を開花させた新井白石も、次代家継が幼くして没し吉宗の代となると、役を解かれ屋敷も人手に渡さざるを得なくなる。自らが綱吉の政を改めたように、自らが献策した様々な改革が古きに戻されてゆくのを目の当たりにする‥‥なんともやるせない宮仕えの無常を描いて終わる下巻。枯淡の境地というのでもなく権力への未練を残して終わるので「この歯がゆさを描きたかったのか?(そんなに読みたくもないぞ)」と思わされる小説だった。これだったら折りたく柴の記を読んだ方がよかったか‥‥
読了日:8月9日 著者:藤沢周平
アルキメデスの大戦(3) (ヤンマガKCスペシャル)アルキメデスの大戦(3) (ヤンマガKCスペシャル)
読了日:8月9日 著者:三田紀房
新装版 市塵(上) (講談社文庫)新装版 市塵(上) (講談社文庫)感想
甲府藩主に仕える一儒者から、藩主が綱吉の後を襲い6代将軍になったことで政治の表舞台に立つこととなった新井白石を主人公とした時代小説。俗世との交わりを嫌う仙人的学者とは一線を画し、自ら社会の変動にかかわっていこうとする白石の姿勢もタイトルには託されているだろう。とはいえ、朱子学的上下関係の中で立場に気遣いながらの白石の行動はえらく淡々としているので、正直読んでて眠くなるくだりも度々ではある。上巻は日本潜入を試み捕えられた宣教師シドッチへの訊問のあたりが面白かった。
読了日:8月7日 著者:藤沢周平
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 1 (ヤングアニマルコミックス)ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 1 (ヤングアニマルコミックス)感想
四頭身くらいのデフォルメキャラクターで描かれる南洋の地獄、ペリリュー戦線。絵の可愛さがまた効果的で、新しいアプローチだなと思う。おすすめ。
読了日:8月6日 著者:武田一義,平塚柾緒(太平洋戦争研究会)
新装版 天狗風 霊験お初捕物控 (講談社文庫)新装版 天狗風 霊験お初捕物控 (講談社文庫)
読了日:8月4日 著者:宮部みゆき

読書メーター

7月 04, 2016

2016年6月の読書まとめ

松本清張の短編、だんだん飽きてきましたw
大沢在昌の「狩人シリーズ」、とくに「砂の狩人」は面白かった。つぎ行くならやっぱ新宿鮫なんだろうか。油断してたらずいぶん前に「天の血脈」の最新巻が出てたのにはびっくり。「日本会議の研究」は読書メーターの共読欄をみててもすごい読まれてるようなんだが、非常に基本的なことに掲載されている図表などがサイズが小さすぎ読みにくい。Webから転載するにあたって適当に貼ったからなんだろうが、ちゃんとやらないと。

2016年6月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:5580ページ
ナイス数:58ナイス

プリニウス 4 (バンチコミックス45プレミアム)プリニウス 4 (バンチコミックス45プレミアム)
読了日:6月26日 著者:ヤマザキマリ,とり・みき
青春の彷徨―松本清張短編全集〈06〉 (光文社文庫)青春の彷徨―松本清張短編全集〈06〉 (光文社文庫)感想
円谷プロのドラマ「恐怖劇場アンバランス」でも小山内美江子脚本で映像化されていた「地方紙を買う女」が面白かった。
読了日:6月26日 著者:松本清張
アルキメデスの大戦(2) (ヤンマガKCスペシャル)アルキメデスの大戦(2) (ヤンマガKCスペシャル)感想
「ドラゴン桜」などの三田紀房によるなんと帝国海軍を舞台にしたドラマ。山本五十六に雇われ、巨大戦艦「大和」建造計画に仕組まれた費用見積もりの誤魔化しを暴くことに挑戦する若き海軍主計将校。果たして大艦巨砲主義を打破できるのか、というわけで、結果は見えてるものの流石この作者で工夫の効いた展開に引き込まれる。それにしても永野修身がホントにバカとして描かれてるな〜
読了日:6月25日 著者:三田紀房
アルキメデスの大戦(1) (ヤンマガKCスペシャル)アルキメデスの大戦(1) (ヤンマガKCスペシャル)
読了日:6月25日 著者:三田紀房
ヘルプマン! ! Vol.3ヘルプマン! ! Vol.3感想
高齢化社会の現実に一石も二石も投じまくる注目作、2・3巻は高齢ドライバー編。団塊世代がマイカーと共に超高齢化し、高齢者標識つきの車で駐車場が溢れる時代がすぐやってくる状況下、車を愛し運転が生きがいの老人が初期の認知症にかかるという筋を通し「認知症と運転」という困難なテーマに切り込む。運転は当事者にとり「自由」そのものでさえありえる中、単に制度的に免許を取り上げたり、他愛ないクーポンで返納を促す事に疑義を呈するのはこのマンガらしい。では、認知症患者に運転させてもよいのか?一般化は困難だが一つの解が示される。
読了日:6月25日 著者:くさか里樹
ヘルプマン! ! Vol.2ヘルプマン! ! Vol.2
読了日:6月25日 著者:くさか里樹
天の血脈(7) (アフタヌーンKC)天の血脈(7) (アフタヌーンKC)感想
安彦良和の近現代史モノ、最新巻。主人公安積は朝鮮半島で高宗の譲位・韓国軍解散という日韓併合直前の動乱を目の当たりにし、義兵運動に身を投じていく安重根と別れ、新たな赴任地、大連へ。ボリシェビキの工作員などが暗躍し、「虹色のトロツキー」につながる世界になってきたな という感じ。特務の大御所、明石元二郎が内田良平を「こんのぼせもんがっ!ぼてくりこかすぞっ!」と大喝するシーンは笑った。
読了日:6月25日 著者:安彦良和
砂の狩人 (上) (幻冬舎文庫)砂の狩人 (上) (幻冬舎文庫)
読了日:6月22日 著者:大沢在昌
砂の狩人 (下) (幻冬舎文庫)砂の狩人 (下) (幻冬舎文庫)感想
大沢在昌の狩人シリーズを「黒の狩人」「北の狩人」と読んできたが、本作は複雑な筋にも関わらず中ダレもなくアクションも多数、最も面白かった。
読了日:6月21日 著者:大沢在昌
北の狩人〈下〉 (幻冬舎文庫)北の狩人〈下〉 (幻冬舎文庫)感想
kindle版で購入。「黒の狩人」読んで佐江刑事の来し方を見たく読んだが、正統ハードボイルドな感じで良かった。「黒の狩人」よりもストーリーはシンプルで力強い。
読了日:6月17日 著者:大沢在昌
北の狩人〈上〉 (幻冬舎文庫)北の狩人〈上〉 (幻冬舎文庫)
読了日:6月17日 著者:大沢在昌
日本会議の研究 (扶桑社新書)日本会議の研究 (扶桑社新書)感想
日本会議についてはその安部政権への浸透力のせいもあり不気味な右派巨大圧力団体という印象があるが、著者も後書きに「自ずと、日本会議の小ささ・弱さが目につくようになった」と書いているように、新宗教「生長の家」を母体とし左翼学生運動のルサンチマンを未だに引き摺った少数の懲りない人たちが地道に積み上げた草の根市民運動、というのが一読した印象だ。そういう意味ではメディアに載らないのも分かるが、この小さなサークルのイデオローグである百地章教授が菅官房長官の言及を受けるなど、現政権が彼らの論に依存する異常さが際立つ。
読了日:6月13日 著者:菅野完
黒の狩人(下) (幻冬舎文庫)黒の狩人(下) (幻冬舎文庫)感想
在日中国人社会を席巻する連続殺人の捜査を命じられた新宿署の刑事が、公安警察の特命で、中国政府のスパイの疑いがある通訳を捜査に同行させる羽目になる…。大沢在昌の小説は初。序盤、登場人物が多く複雑な筋がうまく消化しきれず乗りにくかったが、下巻のころには隠れ主人公である通訳のキャラクターの魅力もあって快調に展開、中国諜報機関の上層部まで含めた大きな構図でまとめるクライマックスは見事。面白かった。
読了日:6月12日 著者:大沢在昌
黒の狩人(上) (幻冬舎文庫)黒の狩人(上) (幻冬舎文庫)
読了日:6月12日 著者:大沢在昌
声―松本清張短編全集〈05〉 (光文社文庫)声―松本清張短編全集〈05〉 (光文社文庫)感想
新聞社の電話交換手が殺人犯の声を聴いてしまうのだが、偶然そのことを相手に知られるサスペンス「声」。んな偶然あるかと思う一方、こういうヒッチコックみたいな話は、やっぱり引き込まれる。「顔」と並んで断然面白い一編。
読了日:6月8日 著者:松本清張
殺意―松本清張短編全集〈04〉 (光文社文庫)殺意―松本清張短編全集〈04〉 (光文社文庫)感想
「殺意」「白い闇」などのミステリもののほか、相変わらず渋い時代ものの短編を収める。小説の中の仕掛けは古風ながら「白い闇」はかなり面白かった。また、将軍家御用の茶が納められて宇治より東上する「御茶壺」と、それに平身低頭する大名行列をストーリーの転換要素にした「蓆」が個人的には好きな一編。
読了日:6月8日 著者:松本清張
張込み―松本清張短編全集〈03〉 (光文社文庫)張込み―松本清張短編全集〈03〉 (光文社文庫)感想
根暗な話ばっかwww 貧乏や社会的下層にいることのひがみに満ちたキャラクターがどしどし登場。今のうちは古風な筋という印象だけど、日本の格差社会化がもっと進むと、こういうのも一周して将来を先取りしたストーリーになりうるのかもしれない。「佐渡流人行」の追従と裏切りに満ちた、共感できる人が一人も出てこない怒涛根暗ストーリーぶりは突き抜けた面白さがあった。大久保長安の話もあったし、清張は佐渡に思い入れつよかったんだろうか。
読了日:6月4日 著者:松本清張

読書メーター

6月 02, 2016

2016年5月の読書まとめ

月の前半は気持ちの落ち込みが激しく、読んだものことごとく感想書いていないのだが、高野秀行「謎のアジア納豆」は至極面白かった。月の後半となって急に松本清張短編全集に着手。以下にも書いているが、ギャグを含め圧倒的な昭和感がむしろ楽しい。

2016年5月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3217ページ
ナイス数:54ナイス

青のある断層―松本清張短編全集〈02〉 (光文社文庫)青のある断層―松本清張短編全集〈02〉 (光文社文庫)感想
松本清張短編全集の2巻。表題作で、にわかに将来の拓けた無名画家が「すしでも食おう」と妻を連れ鮨店に。「しゃこ。」そして妻に「『しゃこ』って英語で何て言うか知っているかい」「知らないわ。」「ガレージ。」...おお昭和!作家性として、 面貌怪異であるとか、なんとなく周囲から浮いて距離を置かれてしまう運命の人物、といったテーマへの傾倒が感じられる。「赤いくじ」あたりが好み。
読了日:5月29日 著者:松本清張

西郷札―松本清張短編全集〈01〉 (光文社文庫)西郷札―松本清張短編全集〈01〉 (光文社文庫)感想
松本清張の初期短編集。デビューの表題作や芥川賞受賞作「ある『小倉日記』伝」などはさすがの面白さ、ちょっとスタンダールのイタリアものみたいな風味で楽しめる。だが大して面白くもない話もあり。
読了日:5月26日 著者:松本清張

海街diary(うみまちダイアリー)2 真昼の月(フラワーコミックス)海街diary(うみまちダイアリー)2 真昼の月(フラワーコミックス)
読了日:5月22日 著者:吉田秋生

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃海街diary 1 蝉時雨のやむ頃感想
映画を先に見てから読んだ。実際のところ筋は共通だしシーンも使われてはいるが、是枝の映画と吉田秋生の漫画ははっきり別個の作品であり、それぞれ、同じ風景を別の物語として語っていると感じた。それだけ吉田秋生の描く世界に引き出しが多く、是枝に固有の物語があるという事だろう。原作も映画もどちらもニュアンスに富む傑作というべきだが、第一印象の好みは実は映画版の方。
読了日:5月22日 著者:吉田秋生

シューマンの指 (講談社文庫)シューマンの指 (講談社文庫)感想
シューマンに関するうんちくの方が面白く、ミステリ小説の側面はさほど面白くない。と言うかラスト五分の一あたりでおっとり刀でミステリになるので、別にしなくてもいい展開を無理にやってるかのよう。シューマンに傾倒しシューマンの道をたどり破綻していく青春という基本の筋は面白かった。いうなればこの不思議なミステリ展開自体がシューマン的破綻の1側面なのだという意味なのかもしれないが‥‥
読了日:5月16日 著者:奥泉光

ふしぎの国のバード 2巻 (ビームコミックス)ふしぎの国のバード 2巻 (ビームコミックス)感想
待望の2巻。イザベラ・バードの日本奥地紀行マンガ化作。2巻では日光から外国人未踏の会津道を往くバード、明治初期の貧困にあえぐ村々を巡り、横浜の通訳伊藤さえもが目を背ける過酷な生活環境に直面する。面白く涙もある佳作。
読了日:5月12日 著者:佐々大河

螻蛄(けら)―シリーズ疫病神 (新潮文庫)螻蛄(けら)―シリーズ疫病神 (新潮文庫)
読了日:5月9日 著者:黒川博行

プロタゴラス―あるソフィストとの対話 (光文社古典新訳文庫)プロタゴラス―あるソフィストとの対話 (光文社古典新訳文庫)
読了日:5月9日 著者:プラトン

毛沢東 日本軍と共謀した男 (新潮新書)毛沢東 日本軍と共謀した男 (新潮新書)
読了日:5月9日 著者:遠藤誉

謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉
読了日:5月9日 著者:高野秀行

読書メーター

5月 04, 2016

2016年4月の読書まとめ

全然読んでないな。感想書いてないけどプラトンの「饗宴」は面白かった。

2016年4月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2006ページ
ナイス数:29ナイス

原爆を盗め!: 史上最も恐ろしい爆弾はこうしてつくられた原爆を盗め!: 史上最も恐ろしい爆弾はこうしてつくられた感想
原著はヤングアダルト読者に向けて書かれたノンフィクション。第二次大戦末期の米ソ独における秘密の原爆開発競争とスパイ戦の実態を、平易かつ起伏あるストーリーで冒険小説ばりに語り、読者を一時も飽きさせない。ノルウェーのナチ重水工場爆破作戦やオッペンハイマーを取り込まんとするKGB側の工作など手に汗握るものがあるが、ソ連に原爆の設計を渡した物理学者ホールが「双方が原爆を持つことでむしろ原爆の使用は抑止される、片方が持つのはかえって危険」という勢力均衡論への信念に基づいてソ連への加担を決めたというくだりが印象的。
読了日:4月29日 著者:スティーヴシャンキン
日露戦争史 1 (平凡社ライブラリー)日露戦争史 1 (平凡社ライブラリー)感想
軍備のため、給金の高額なお雇い外国人教師を日本人教師に替える動きがこの頃あったが(日本人教師の年棒は外国人教師の月給2ヶ月程度で済む!)、帝大の英文学の教師であったラフカディオ・ハーンがロンドン帰りの夏目金之助(漱石)に交代となるにあたり、学生からは「そも夏目金之助とは何者ぞや」と不満の声が出たとか。そんなエピソードまで含め日露開戦に至る周辺状況を幅広に語る1巻。
読了日:4月24日 著者:半藤一利
饗宴 (光文社古典新訳文庫)饗宴 (光文社古典新訳文庫)
読了日:4月12日 著者:プラトン
闘う女 (実業之日本社文庫)闘う女 (実業之日本社文庫)
読了日:4月9日 著者:朝比奈あすか
彼女のしあわせ (光文社文庫)彼女のしあわせ (光文社文庫)
読了日:4月9日 著者:朝比奈あすか
パイドロス (岩波文庫)パイドロス (岩波文庫)感想
プラトン中期の対話篇。副題が「美について」というのでかなり美学的な内容なのかと思って読んでいたのだが、当時隆盛をきわめた「弁論術」批判の書であった。恋する者よりは恋をしない者の言うことこそ信ずるに値する、と述べるリュシアスなる弁論家の説を、「そもそも恋とは何かの定義があいまいでテキトーすぎる」と真っ向非難するソクラテス。浮薄な弁論家らをくさす終盤は何かビジネス指南みたいな主張とも読めるが、恋という狂気は真実が自ずからもつ美を魂が求める運動なりと説くくだりは、まさにプラトン的イデア論の典型的現れなのだろう。
読了日:4月5日 著者:プラトン

読書メーター

4月 03, 2016

2016年3月の読書まとめ

バルザック「娼婦の栄光と悲惨」の読了にひと月かかった。高校か大学の時にいちど読んでいるのだが、最後はコランタンを倒してラスト転身かと思っていた。フランス文学史上に燦然と輝く壮大なる転職小説ともいえる。
朝比奈あすかの小説は相変わらず読んでて心地よい。シビアなことを書きつつも険がある感じがしないというか。

2016年3月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2413ページ
ナイス数:53ナイス

娼婦の栄光と悲惨―悪党ヴォートラン最後の変身〈下〉 (バルザック「人間喜劇」セレクション)娼婦の栄光と悲惨―悪党ヴォートラン最後の変身〈下〉 (バルザック「人間喜劇」セレクション)
読了日:3月28日 著者:バルザック

憧れの女の子 (双葉文庫)憧れの女の子 (双葉文庫)感想
朝比奈あすかはデビュー作「憂鬱なハスビーン」のみ読んでいたが、実に緻密に組み立てられた描写がけっこう好きな作家で、今回も店頭の平積み本を手に取り、表題作の冒頭を少し読んだだけでも引き込まれるものがあったので購入、一気に読んだ。いずれの短編も巧みなストーリーテリングと描写の緻密さを楽しめるもので、ジェンダーの問題意識は一貫してありながら、それは小説の楽しみの後景としてきっちり存在感を出しているに留まっている。個人的には、妻から女子を妊娠するためのタスクを課せられる中年会社員を描いた表題作が最も面白かった。
読了日:3月26日 著者:朝比奈あすか

村上海賊の娘 下巻村上海賊の娘 下巻感想
読了。けっこう面白かった。
読了日:3月19日 著者:和田竜

村上海賊の娘 上巻村上海賊の娘 上巻感想
大阪本願寺を巡る織田vs一向宗の木津川合戦、両者の間でどちらにつくかを迫られる毛利家というバランスゲームの中、本願寺支援の鍵を握る海賊衆とその跳ねっ返り娘というトリックスターを置き、ストーリーに活力を与える構成。所々入る史書や歴史上の記録の参照は「この話は本当にあったのかもしれない」と思わせ効果もあるが、若干うるさいなと個人的には思った。
読了日:3月18日 著者:和田竜

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え感想
近年、個人的に壁ないしド壺にはまり続けていたので、とても効いたし、何度か読み返したくなった。平易かつ率直であり、また人生論や哲学など様々な入り口から収穫を得られる間口の広い本であるとも思う。自己啓発本を読んだことはあまりないが、これ読めば別に要らないだろう。遅すぎるということがない処方箋。
読了日:3月10日 著者:岸見一郎,古賀史健

娼婦の栄光と悲惨―悪党ヴォートラン最後の変身〈上〉 (バルザック「人間喜劇」セレクション)娼婦の栄光と悲惨―悪党ヴォートラン最後の変身〈上〉 (バルザック「人間喜劇」セレクション)感想
ようやく読了。高校時代寺田透訳で読んだ時のほうがペース速かった気も。本巻は何といっても脱獄徒刑囚ヴォートラン一味 vs フーシェ秘密警察No.1コランタンのパリを舞台にした大決戦という、およそ純文学とは思われぬ筋なので、正直女主人公エステルの純情などに触れるくだりはカッタるい。遂にカマトト脱ぎ捨て娼婦感を爆発させ、待ってましたと思ったら退場かよと…一度は警察側に軍配があがるが、下巻のヴォートランの復讐が楽しみ。それにしてもニュシンゲンの台詞の読みにくさよ。原文をフランス人が読んでもこんな感じなのだろうか。
読了日:3月8日 著者:バルザック

読書メーター

3月 05, 2016

2016年2月の読書まとめ

2016年2月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1475ページ
ナイス数:32ナイス

著作権とは何か―文化と創造のゆくえ (集英社新書)著作権とは何か―文化と創造のゆくえ (集英社新書)感想
著者の意図としては入門概説書というよりは著作権の存在する意味、意義を考えるための書を目指したとのこと。著作権法の目的の大きな一つは文化の促進ということだが、著作権を著作者に独占させる方が文化を促進できているかどうかは実は分からないという事を、シェイクスピアの戯曲のほぼ全てに別の種本がある事を例示しながら指摘し「著作権は壮大な社会実験かもしれない」と締めくくるくだりは非常に面白かったし著者の意図が伝わる所。その他にも米国におけるパロディの法的位置付けの変遷など、興味深い所が多数あった。
読了日:2月24日 著者:福井健策
イタリア病の教訓 (新書y)イタリア病の教訓 (新書y)感想
財務省官僚の書いたイタリア経済の現地からの報告。2006年当時、第一次プローディ政権下の状況なので現在とは異なる点多数。失業率が1997年の11%強から8%弱まで低下していることをよい傾向としてポジティブに記述しているが2015年現在の失業率は12%を突破していたりする。だがイタリア経済こ構造的課題と日本を比較した記述は面白い。今時であれば、イタリアの零細手工業が課題とされてきた大型産業化を忌避して技術高度化、ブランド価値向上で切り抜けつつある事を地方創生、ブランドグローバル化と紐付けた論にするのだろう。
読了日:2月21日 著者:松本千城
愛国と信仰の構造  全体主義はよみがえるのか (集英社新書)愛国と信仰の構造 全体主義はよみがえるのか (集英社新書)感想
目下のナショナリズムと宗教の課題より、日本の近代化における宗教のあり方を大きい構図の中で捉え、現在をこの構図に置いて照射しようとする対談。戦前、親鸞の教えを国家主義に組み込み「弥陀の本願=大御心」というゴタ混ぜを吹聴した者達がいたというのは驚き。国家神道が宗教とは別フレームで国家システムに組み込まれた事の危うさが現在も整理されてないという指摘は重要で、宗教意識のもろさの淵源はこれかと膝打ち。但し現在の状況についての分析は首を傾げる点も。特にマイナンバー制度までフーコー的統治装置とみるのはうがち過ぎでは。
読了日:2月20日 著者:中島岳志,島薗進
イタリア現代史 - 第二次世界大戦からベルルスコーニ後まで (中公新書)イタリア現代史 - 第二次世界大戦からベルルスコーニ後まで (中公新書)感想
イタリア近現代史好きとしてはまさに待望のお手頃な通史本が出版。さすがは中公新書すばらしすぎる仕事。だが、類書が少ないだけに基本的な事実を確認する淡々とした記述なので、最初からイタリア現代政治史に興味津々な人以外はとっつきにくいかも?イタリア史を楽しむキモは、国民性全然違うげな日本の近現代史と合わせ鏡にして見る事だと思う。老人政治と二大政党化の挫折・空文化する憲法の戦争放棄・東西対立前線基地として利用されてきた戦後史など、本書で述べられる現代イタリアの社会の横顔を日本と比較してみると、何倍も楽しめると思う。
読了日:2月13日 著者:伊藤武
幻滅―メディア戦記〈下〉 (バルザック「人間喜劇」セレクション)幻滅―メディア戦記〈下〉 (バルザック「人間喜劇」セレクション)感想
下巻を高速で読了。ステマ記事を書きまくってジャーナリズム界での地歩を固めたのび太は政界に影響力を持つデスパール侯爵夫人のサロンを足掛かりにリュパンブレの爵位を得んとするも社交界の罠にはまり破滅、再び貧窮に落ちる中で振り出した偽造手形は田舎で素材関連のイノベーション起業を目指す親友と妹に仕組まれた陰謀を助け、破産に追い込む。自らも起業家であり破産を経験したバルザックだから書ける、民事訴訟手続きを悪用した陰謀の詳細が計算書つきで描かれる驚異の金融/メディア/起業/古典文学。満喫した~。
読了日:2月4日 著者:バルザック,Honor´edeBalzac,野崎歓,青木真紀子

読書メーター

2月 01, 2016

2016年1月の読書まとめ

今月はバルザック月。周囲で読んでる人を全然見かけないのに新訳の出版がコンスタントに行われるのが不思議で、つい先日も集英社がポケットマスターピースとかと言って「ゴリオ爺さん」から続くヴォートラン三部作を出していたが、押されてずいぶん以前に積まれっぱなしにしていた藤原書店のセレクションを再読。やっぱり読んでて体がエビ反るほど面白いのがバルザック。「幻滅」は学生以来の再読だが、2010年代のメディア小説といっても構わない先見性と怒涛の面白さで、圧倒される。バルザックの小説っぽい夢さえ見た。神である。

2016年1月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2129ページ
ナイス数:31ナイス

幻滅 ― メディア戦記 上 (バルザック「人間喜劇」セレクション <第4巻>)幻滅 ― メディア戦記 上 (バルザック「人間喜劇」セレクション <第4巻>)感想
地方都市で悶々と生きる無名詩人のび太・ド・リュパンブレは、田舎で唯一の理解者であるしずか夫人に連れられ、文学で出世すべく上京するが、リュパンブレなる社交界むけの貴族の姓は偽りで本当の姓は野比である事が露見、社交界からは追放、貴婦人を見てデレデレしたためしずかにも棄てられる。赤貧の中、炎上ブログ「まだ文学で消耗してるの?」の著者イケダハヤトと出会ったのび太は「文学もメディアも全部ステマですよステマ。うまく使ってアフィリで食うのが賢い」とアジられ、ノマドブロガーの道を歩む…という読み替え可能な超現代的な傑作。
読了日:1月30日 著者:バルザック,鹿島茂,山田登世子,大矢タカヤス

北イタリアまったりマンガ家夫婦日記~アンドレアといっしょ! ~ (BAMBOO ESSAY SELECTION)北イタリアまったりマンガ家夫婦日記~アンドレアといっしょ! ~ (BAMBOO ESSAY SELECTION)感想
ボローニャ暮らしのエッセイ漫画というから、行ったことあるイタリア諸都市中では断トツボローニャ推しの者として一も二もなく買う他なかったのだが、どちらかと言うと「まったりマンガ家夫婦」の要素の比重が強い作品になっていた。個人的に面白かったのは卓越してるとしか言い様のない名医殿らが登場する「親愛なる赤ひげ先生」の回。リラからユーロに変わった時のあり得ない物価高騰と、わりと普通に受け入れてしまったというイタリア人の反応についての報告も貴重か。「今時仕方ない」等という従順ぶりは日本人特有なのかと思っていた
読了日:1月28日 著者:いちぐちけいこ

メディアの仕組みメディアの仕組み感想
今さら読了。2013年7月に出た本で、今読むと新味がない。逆にいうと同時代メディア論の基本的なことは大体妥当な形で触れられているようにも思った。いま出たらおそらく吉田証言~クロ現などの「捏造」問題と、その尻馬に乗ったメディアコントロールの問題はテーマに上がると思われるが、その不在はこの2年半で急速にこれらが問題化してきたそのスピードを感じさせるもの。そういえば池上さんは新聞への軽減税率適用に対してはどんな見解なのだろう。
読了日:1月17日 著者:池上彰,津田大介

熊撃ち (ちくま文庫)熊撃ち (ちくま文庫)感想
熊撃ちの猟師たちを描いた連作短編集で、この取材過程で得た六線沢における獣害事件のエピソードが短編には収まりきらないと判断した作者により長編に書き起こされたのが名作「羆嵐」。この作家らしい淡々とした筆致でストイックな熊プロたちの孤独な闘いが描かれ、吉村昭ファンとしては存分楽しめる。
読了日:1月16日 著者:吉村昭

喧嘩両成敗の誕生 (講談社選書メチエ)喧嘩両成敗の誕生 (講談社選書メチエ)感想
ささいなことで路上で斬りあう武士たち、屋敷を攻囲する僧兵、ストリートが超危険地帯であった日本中世。その中で慣習法的に流布していた「こちらが1人死んだら相手も1人死ぬべき」といった相殺の原則を当時の公家などの日記などから読み解き、そうした慣習法を近世国家が自らの裁判機能に回収していく過程を追う。前半の、日記の細かい記述から異文化としか言いようのない中世の風景が立ち現れる辺りがエキサイティング。。渡辺京二の「日本近世の起源 戦国乱世から徳川の平和へ」もこの辺りの法・社会史を描いた史書で再読したくなった。
読了日:1月16日 著者:清水克行

あら皮 〔欲望の哲学〕 (バルザック「人間喜劇」セレクション(全13巻・別巻二) 10)あら皮 〔欲望の哲学〕 (バルザック「人間喜劇」セレクション(全13巻・別巻二) 10)感想
久々バルザック。前半ひたすら童貞こじらせ男子的打明け話が続き今度こそハズレかと思ったが、何と二百頁くらいから俄然面白くなるのだから油断ならん。
願い事を叶えるたび所持者の命と共に縮む神秘アイテム「あら皮」で巨富を得た主人公、同時に目前で皮が縮むの見て肝を潰し、絶対に何も願わずに済む生活を送る。何せ豪邸の寝室ドアを開けるや連動して玄関までのドアが全部開くシステムを開発する徹底ぶりw。限りなく膨らむ欲望と引換えに縮む命の隠喩があら皮だが、命を賭して欲を追及するバルザック的人物像の初期の結実がこの小説であろう。
読了日:1月11日 著者:バルザック,Balzac

歴史を変えた気候大変動 (河出文庫)歴史を変えた気候大変動 (河出文庫)感想
原題はThe Little Ice Age。ヨーロッパ中世は気候の温暖期であり、グリーンランドは文字通り牧草の生い茂る土地でさえあった。その後1300年から19世紀半ば頃までに訪れた気候の激動期「小氷河期」が、西洋史の重要な要素としていかに作用してきたかを明らかにする本。天候不順による不作は農業改革を準備し、逆に改革に遅れたフランスの食糧難は大革命を準備する。19世紀半ば以降の短い安定期を経て、私たちの社会は再び気候不安定と恐らく人類が引き起した温暖化の時代に突入している。気候変動の全体も俯瞰でき面白い。
読了日:1月4日 著者:ブライアンフェイガン

読書メーター

1月 24, 2016

2015年12月の読書まとめ

CATVの契約を変更したところniftyの契約が解約となり、危なくこのブログが消滅するところだったが何とか阻止できた。投稿できていなかった12月の読書まとめを今更ながら投稿。

2015年12月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3336ページ
ナイス数:55ナイス

人間仮免中人間仮免中感想
ものすごかった。統合失調症とはどういうものか、当事者しか描けない視野・妄想世界の恐ろしさもさることながら、親や恋人など周囲の人々の努力、ボロボロになりながらもそれでも生きようと苦闘する作者のバイタリティには感動を覚える。それにしても歩道橋から顔面をしたに飛び降りるシーンのコマ、構図と「あれ?人間の意識ってどこで途切れんだ?」のセリフが恐ろしい‥‥。松本ハウスの著書「統合失調症がやってきた」と並び必読の書。
読了日:12月28日 著者:卯月妙子
囚われのイラク―混迷の「戦後復興」囚われのイラク―混迷の「戦後復興」感想
2015年末現在、消息が心配されているジャーナリスト安田純平さんの著書。2004年にイラクで武装組織に拘束され3日後に解放されたその1ヶ月後に出版されたもので、拘束3日間の体験記とイラク取材の顛末、現地で見聞した普通のイラク人たちの思いなどで構成される。拘束は最初は農村の人々によるもので、人質というよりは半ば客人の様な対応を受ける。後半は反米武装組織への引渡しが行われ緊張感が増すが、解放直前は組織のメンバーとの気遣いある会話が成立したりしており、こちらの勝手な予想と拘束の実態は異なるのだなと分かる。
読了日:12月28日 著者:安田純平
レベレーション(啓示)(1) (モーニング KC)レベレーション(啓示)(1) (モーニング KC)感想
最恐のビジョンを提示し続けてきた漫画家の手になるジャンヌ・ダルク伝。やはり天使によるジャンヌへのお告げのシーンが凄い。山岸涼子の漫画で霊の出現など神秘体験が起きる際には空間感覚のタガが外れ、それまでのコマの中で語られてきた文脈と繋がらない構図がスッと入ってくるのだが、このタガ外しが、オカルトとは無縁な読者にも擬似的に「これが神秘体験のリアルか」と錯覚させる効果をもつ。天使ミカエルの「眼」から始まるお告げの恐ろしさにもこの山岸涼子お得意の話法が生かされ効果十分。続巻が楽しみ。
読了日:12月26日 著者:山岸凉子
あれよ星屑 4 (ビームコミックス)あれよ星屑 4 (ビームコミックス)
読了日:12月26日 著者:山田参助
知的唯仏論: マンガから知の最前線まで-ブッダの思想を現代に問う (新潮文庫)知的唯仏論: マンガから知の最前線まで-ブッダの思想を現代に問う (新潮文庫)感想
自ら中観派仏教徒と自認する宮崎哲弥と儒者ながら仏教思想の高度さは認める呉智英という、素晴らしい取り合わせによる仏教思想ダベり本。宗教を材にとった傑作マンガのあれこれに始まり、仏教哲学において倫理というものはあり得るのか、といった難問(まあ、原始仏教を基盤とする限りは難問でもないのだろうが)にも切り込む充実した内容。個人的には宗教の中で共感できるのが仏教のみであったのは、イスラムやキリスト教みたいに唯一神の実在をわざわざ信仰せずとも、その哲学の核心に触れ得るという、いわば思想としての汎用性だったか〜と感心。
読了日:12月24日 著者:宮崎哲弥,呉智英
メタモルフォシス (新潮文庫)メタモルフォシス (新潮文庫)感想
羽田圭介の芥川賞以前の作品。別のところで読んだ著者インタビューによれば表題作よりも同録の「トーキョーの調教」の方が意欲作なんだそうで、確かにどちらかといえばそっちの方が面白かったが、全体的には「そこそこ」の印象のSM純文学二編。
読了日:12月21日 著者:羽田圭介
慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件 (文春文庫)慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件 (文春文庫)感想
TBSラジオSession-22で特集されていたのをきっかけに読んだ。吉村昭の傑作「羆嵐」の元ネタとなった三毛別羆襲撃事件の、当事者の証言などに基づくノンフィクション。熊により隠された最初の犠牲者の遺体を取り返して通夜をしていると、家に羆がなだれ込んでくるシーンなど迫真だが、一度獲得した獲物にどこまでも執着する羆の性質に関する元林務官ならではの説明が後段にあるため、裏付けをもって読める。
読了日:12月20日 著者:木村盛武
クルアーンを読む カリフとキリスト (atプラス叢書13)クルアーンを読む カリフとキリスト (atプラス叢書13)感想
ガンガン切り込みまくる橋爪先生、今度はカリフ制再興をとなえるイスラム法学者、中田考さんとの対談本。「ISとは会話できる」と無知からではなく説いている日本人の有名な人は中田考さんくらいだが、信じるかどうかは別としてISと会話するベースとして中田さんが提示するイスラム法の論理の一端が理解できる好著。受入れ得ないものとの共存ができない西欧が普遍主義を主張するのは欺瞞である、というカリフ制思想も一理はあると思われ、西欧近代の相対化論として読むのも一興か。橋爪先生の存在によりハードル高い議論がうまく咀嚼されている。
読了日:12月19日 著者:中田考,橋爪大三郎
総員玉砕せよ! (講談社文庫)総員玉砕せよ! (講談社文庫)感想
旧軍の組織としての腐敗、戦争なるものの熱狂状態が生む狂気・不条理を庶民的目線から描ききる、漫画としてのジャンル評価を越えて戦記文学の記念碑的傑作と言えるのではあるまいか。改めてしげる先生は偉大であった。
読了日:12月18日 著者:水木しげる
世界の辺境とハードボイルド室町時代世界の辺境とハードボイルド室町時代感想
おなじみ高野秀行と「喧嘩両成敗の誕生」「耳鼻削ぎの日本史」などの著書で注目される気鋭の歴史学者清水克行による滅法面白い対談本。ソマリランドやミャンマーの習俗を見ていると日本中世史の記述と共通するところが見出せるという周辺のエピソードの連続がやはり面白さの中心なんだが、室町時代の夢幻能みたいにタイの新聞には不思議なことや幽霊譚を徳の高い坊さんがお経読んで解決する話が沢山載っているが、坊主オチの他に宝くじの当選番号が石から浮いてきた、みたいな宝くじオチも多い等といった似てるようでズレてる面白話も楽しめる。
読了日:12月15日 著者:高野秀行,清水克行
シチリア・マフィアの世界 (中公新書)シチリア・マフィアの世界 (中公新書)感想
イタリア近代史の第一人者、藤沢房俊先生によるシチリア・マフィアを巡るシチリア近現代史。第二次大戦終戦時にシチリアを揺さぶった独立闘争と農地改革の陰で暗躍するマフィアらの、共産党を中心とした人民戦線を銃弾で排除する血生臭いエピソードを読むことで、イタリア近現代史に陰を落とす南北問題の深奥に触れられる、充実した歴史書。1988年に書かれた本書ではサルヴォ・リマやファルコーネ判事はいまだ対マフィア戦争の最前線にある人々として描かれている。ルーツは本書で理解できるので、'90年代の事件以後の動向について読みたい。
読了日:12月14日 著者:藤沢房俊
エンツォ・ビアージのある一年―イタリア 1991~1992エンツォ・ビアージのある一年―イタリア 1991~1992感想
イタリアの大御所ジャーナリストによる'91~'92年の記録。イタリアと日本の近現代史を対比して楽しむのが趣味の自分にとり日本語で読める同時代史は貴重。この年はソ連崩壊という欧州激動の一方、イタリアではマフィアとの闘いがクライマックス。ファルコーネ判事が暗殺され、魔王ことアンドレオッティが引退。欧州の様々な史話や人物逸話も登場し面白いが、詩の如き文体は若干読み進め難い部分も。訳の問題かウテ・レンパーがウーテ・レンピアとあったり、ラングの名作映画が「死刑執行人も死んでいくという映画だった」とあるのは気になる。
読了日:12月8日 著者:エンツォビアージ

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