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7月 21, 2015

「フレンチアルプスで起きたこと」(79点)リューベン・オストルンド監督

男は、みっともない自分を受け入れられるのか?何ともヒリヒリする黒い笑いに満ちたドラマ

スウェーデン映画って見るのこれが初めてかも?リューベン・オストルンド監督による、男にとっては実に意地悪な笑いに満ちたドラマ。
ヴァカンスで北欧からフランス国内のスキーリゾートにやってきた4人家族。夫と妻、そして彼らの子である小さい弟と少し年上の姉の4人は、奥深い雪山にある豪華なリゾートホテルに滞在し、滑りまくる。深山のアルプスでは新雪が積り雪崩の可能性が高まるたびに滑走客がいない時間を見計らって人工の雪崩を発生させる作業が行われている。
翌朝、ゲレンデに接したオープンテラスのカフェで家族が朝食をとっていと、そんな人工雪崩がゲレンデに発生しているのが見える。しかしその雪崩は勢いを増しながらカフェに突進してき、あわやカフェの客たちは覆いかぶさる雪の下敷きになるやに見える…!そこで四人家族に起きた椿事、妻と二人の子供を置いて、夫はカフェを一目散に逃げ出してしまったのだ…
というのは映画のほぼ冒頭の話で、この先、映画は「あなた真っ先に逃げたわよね」という事実を、気遣いが邪魔してなかなか指摘できない奥さんを尻目に、自分が真っ先に逃げ出したという事を認められない夫の悪あがきの葛藤によって進んでいく。おかしいのは、友人たちの目の前でいい加減ブチ切れて夫を追い詰める妻をなだめ、「トマス、君はこう考えていたのじゃないか?全員雪に埋まってしまっては誰も助からない、一度自分は避難し、すぐに必要な準備を整えて家族を救出しよう、と…」などと冷静ぶってとりなす男友達が、言い争いの場を離れてエレベーターを待っているときに恋人に「でも、あなたも私を置いて逃げそう」といわれ、平静を失って大反論するシーン。男性にはこうあるべきという自己意識があり、それとそぐわない行動を自分がしてしまった時に、その事実さえも認められずに煩悶する…いや、実際には「そぐわない行動を取ってしまうかもしれない」という可能性にさえ耐えられないのが、男という社会的動物のもつガラスのプライドなのだ…という極めて教訓的な筋である。
「ブルーバレンタイン」なみにデートには向かない一本とも言えるが、夫婦や恋人同士で観て話し合うからこそヒリヒリして面白い一本といえるだろう。もちろん、万一修復不可能な溝が残ったとしても補償はできないが…w

余談だが、フランス国内のアルプスというとニュースで記憶に新しいのはかの忌まわしきジャーマンウイングス9525便墜落事故だが、この映画の最後に登場するバスの運転手の行動はあたかも心神喪失の副操縦士を思わせるようなものだった。これはやはり何らかの意味的な関連があるのだろうか?ちょっと興味をそそられる。

7月 20, 2015

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(100点)ジョージ・ミラー監督

いやあ映画って、本当にいいもんですね。100点つける他なし!

復讐と走りの狂気に取り憑かれた男マックスを描く第一作、狂気がキャラ自体を超えて世界観設定に広がり、唯一無二の映画空間を打ち立てた第二作を経て、この「怒りのデス・ロード」は、シャーリズ・セロンが演じる、希望という狂気に向けてひた走る若きヒロインを旧世界的絶望を背負うマックスに対置することで、新たな輝かしい物語を歌い上げることに成功している。まさに堂々の第三作といって良い…え、「サンダードーム」?あれはこの話しようとしてコケた黒歴史ってことでいいのでは?…総集編にして最高傑作が登場した。

そんな傑作たる本作のストーリーはというとブォンブォンブォン!ズキュルルル、ドガシャーン!「俺の輸血袋を車にくくりつけろォッ!」ドンドコドンドコドンドコドン(青森ねぶたで日立が出してるみたいな太鼓山車がねりあるく)、ブィブィーン、ブフォオッ(エレキギターの先端から火炎放射)!
という感じである(どういうんだ)。
イモータル・ジョーなるダークヒーローが率いる、メーターの振り切れた過剰な者たちのパレードが主人公たちに追いすがろうとするチェイス、とにかくそれだけと言ってもいい主筋のシンプルさは「マッドマックス2」でも見られた美点。さらに今回はハリネズミのようにトゲを生やした車両を狩る部族、岩山に住み着く盗賊軍団、バイクを駆り狙撃銃を振り回すばあ様騎兵団など、新奇なキャラクターが大量登場し、世界観のすそ野をガッチリ固めているのがさらなる魅力である。
資本と技術をエクストリームな未来観に惜しげもなく突っ込んだという意味で、本作はニューヨーク近代美術館あたりに展示として加えるに足るモニュメンタルな映画といえるだろう。「見た?」「見た!」「何回?」というのが既に合言葉となっていると聞くが、はたして劇場を出た私に奥さんは「少なくとももう一回見る」と早くも宣言したのだった。俺も立川の爆音上映とか行くかなあ…。

(立川極上爆音上映鑑賞後、追記)

爆音上映にて2回めの鑑賞。これ「風の谷のナウシカ」より面白いんじゃねえか?

初見から一週間しか経っていないが、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」2回めを立川シネマシティでの「極上爆音上映」にて鑑賞。
何度見ても飽きないのは、主筋をシンプルに整えながらも、背景や伏線が徹底的に練り込まれた台本のパワフルさ、そして全てが世界観にフィットするように綿密に作り込まれた美術の凄さである。良い映画は、映っているモノ自体が既にストーリーを語り映画の流れを力づけるといえるのだが、それにしてもこの映画における美術の徹底的なコントロールぶりは凄い。マッドだ。このようにモノ(=美術)が徹底的にコントロールされた映像作品として私たち日本人に馴染み深いのは、何といってもジブリアニメだろう。ジブリアニメの中で描かれる様々なモノがキャラクターと違わないレベルで雄弁にストーリーを語っていることは、別に難しいこと考えなくても多くの日本人が感覚的に知っている件だと思うが、あのレベルの世界造形が実写映画で達成されているのを見る事は少ない。だってあれはアニメだからね…。ところが「マッドマックス」は実写にも関わらずこれがやれているのだ!ピージャクの「LOTR」「ホビット」がCG全開でやってるのも超えてるレベルでやれているのだ!これが、本作をニューヨーク現代美術館に展示すべきだと考えるゆえん。
ジブリアニメを引き合いに出して思ったが、考えてみると同じ戦闘姫ストーリーであるという意味で「風の谷のナウシカ」と比較してみるのも面白いかもしれない(どっちも汚染されたディストピア世界の話だという点でもシンクロ率高い)。今のところ、その圧倒的な同時代性(そりゃ当たり前なんだが)、主筋の削りに削り込まれた洗練性、一本の映画で語られるべきことを100%語りきっているという完成度において、反発は覚悟しながらも自分としては「風の谷のナウシカ」よりこっちの方が…そうねえ2倍くらい?面白いと考えている。
あと爆音はかなり心地よいので初見の人は爆音上映がおすすめ!

「雪の轍」(-)ヌリ・ビルゲ・ジェイラン 監督

悠久の世界遺産カッパドキアで、洞窟をゲストルームにしたホテルオーナー夫妻を主人公にした3時間19分の長大なパルム・ドール受賞作…なんだか分からんがすごいスペックのトルコ映画なのだが、申し訳ないが恐らく映画の前半はおおむね寝ていたため、評点をつけるのは難しい。いくつか箇条書き的に述べると

・別にカッパドキアでなくても良い話
・特に必然性ないが日本人宿泊客が登場、ああやはりの親日国
・話のキモは「ブルーバレンタイン」なみに終わった夫婦の口論
・長さの要因は、普通切りそうな口論のディティール全部出しな点
・それゆえにヒリヒリくるリアルさで、奥さんの隣で観ててガクブル

後半、札束が机の上にボンと置かれ「この金はどういう意味です?」というやり取りが始まるある種クラシックな展開が出てくるが、この手のやり取りの最新最強のシチュエーションを見た感じ。「カネに色はない」という言葉があるが、べったり原色で塗りたくられてるわ。

ということで後半だけ見ても十分に面白かった。ものすごく地味な仕立ての映画なので、体力充溢してる時に見るのをおすすめします。

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