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1月 01, 2015

2014年読書まとめ&ベスト

2014年の読書まとめ&BEST5冊。
ベスト1と2とした「統合失調症がやってきた」「殺人犯はそこにいる」はいずれも全国民必読といってよい本であり多くの人に読んでほしい。
読書冊数は2013年:143冊>2014年:100冊と大幅減。ラジオ語学講座3つ並行してやってる影響もあると思われ、語学はそろそろどれか切って読書時間を確保したい。特にフィクションで面白いのが少なくBESTに入れられず。2015年は未読の作家の古典(トルストイ、フローベールあたり)を何か一つ読み通したいのと、ペーパーバックを数冊程度読了できるようにしたい。

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【BEST1】「統合失調症がやってきた」 著者:ハウス加賀谷,松本キック
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「人生は謳歌すべきだとぼくは思う。自分がやりたいようにトライしてみる。失敗は当たり前だし、くよくよもするが、諦めたらそこですべてが終わってしまう。」一世を風靡したお笑いコンビ松本ハウスのハウス加賀谷は、幼少時から悩まされてきた統合失調症との闘いに破れ、引退し一度は閉鎖病棟に入る…彼の幼少時から2009年にコンビ復活を遂げるまでの、文字通り魂の記録。統合失調症という病の凄絶さ、相方松本キックの絶妙の距離感とサポートぶりなどが胸に迫る。泣かせに走ることなく冷静な事実描写と笑いさえ織り交ぜられた必読の小著。
読了日:1月1日
http://bookmeter.com/cmt/34485928
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【BEST2】「殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件」著者:清水潔
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一気に読了。栃木・群馬県境で相次いで発生した幼児殺人、誘拐事件を追った記者が、警察が追い逮捕・有罪判決を得た容疑者とは別の真犯人の存在に気付く。警察は最先端のDNA型鑑定による有罪は絶対に覆せないとして却下するが、記者は検察証拠の能力に疑問を抱き徹底検証、ついに鑑定の穴を暴き再審無罪を勝ち取るが、司法はこれまでの鑑定による有罪判決が覆る事を恐れたか一向に真犯人逮捕には動かない…。この隠蔽は今野敏の小説ではなく「事実」であり、無罪となった容疑者は足利事件の菅家さんの事。必読、目撃すべきジャーナリズムの書。
読了日:1月14日
http://bookmeter.com/cmt/34833705

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【BEST3】「フイチン再見!」 1  著者:村上もとか(ビッグコミックス)
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日本最初の女流漫画家、上田としこの伝記マンガ。ハルピンの多民族社会を生き生きと謳歌するチャーミングな「フイチンさん」を生み出した上田としこの満州で育った幼少期が、シビれるような魅力を湛えて描かれる。1巻の終盤でまだ見ぬライヴァルとして、日本人なら知らぬ者のないあの女流漫画家の名が登場するあたり、震えた。
読了日:3月17日
http://bookmeter.com/cmt/36487482

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【BEST4】「憲法学のフロンティア」著者:長谷部恭男 (岩波人文書セレクション)
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木村草太さんがラジオですすめていて読んだのだが、はからずも放送業界、なかんずくCATV業界の人にとって参考になる本になっていた。ちなみに9条の話は全く出てこない。
前半は立憲主義の様々な重要概念(政教分離など)を巡る論考で、広く通用する憲法解釈の視座を確認できる。後半はプライバシー権からメディアの自由を巡る論考。最終章は米国CATVのマストキャリー規制等とメディアの自由を扱ったもので、前提とされてる判例などもあり一読しただけでは分かりにくかったが、他章は論旨明快。章間コラムはハイブローながらかなり笑えるw
読了日:1月18日
http://bookmeter.com/cmt/34938365

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【BEST5】「日本海軍400時間の証言: 軍令部・参謀たちが語った敗戦 」著者:NHKスペシャル取材班(新潮文庫)
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「海軍反省会」を取り上げたNスペ取材班の著書。今も日本的組織に黒々と横たわる"やましき沈黙”と責任の棚上げ性向は、日本海軍のエリートたちの総括なき敗戦に色濃く胚胎されていたということが分かる。「海軍善玉論」がいかに組織的戦略的に造られた虚構だったか、「天皇に塁を及ぼさぬ」という東京裁判にむけた大方針は、結果として高級官僚たちの責任をうやむやにしたが、これは天皇免責の建前に隠れてなすべき総括を回避する罪深きトリックではなかったか。そしてこの醜悪は現代の組織にとり無縁のものか?打ち震えることなしに読めぬ書。
読了日:8月23日
http://bookmeter.com/cmt/40564586

2014年の読書メーター
読んだ本の数:100冊
読んだページ数:29469ページ
ナイス数:787ナイス


昭和陸軍全史 2 日中戦争 (講談社現代新書)昭和陸軍全史 2 日中戦争 (講談社現代新書)感想
昭和陸軍の歴史を描く全三巻の二巻め。一巻でキーマンだった永田鉄山は相沢三郎により斬殺、が鉄山の衣鉢を継ぐ武藤章ら統制派将校により、来るべき世界大戦に備えた資源獲得のためだった筈の日中戦争は総力戦への道を辿る。迂闊な見通しと外交の手詰まりにより持久戦となった日中戦争は、自衛のためと称した宣戦布告なき戦争だった。米国に戦争当事国へ輸出を禁じた条項がある故で、日本は米国から輸入がなければ日中戦も進められなかったと分かる。生活必需品の配給制が既に開始‥読む程この後太平洋戦争をやったのは無茶苦茶だったと知れる。
読了日:12月29日 著者:川田稔

キャプテンサンダーボルトキャプテンサンダーボルト感想
東北地方を舞台にしたチェイス、陰謀論めいた背景設定と、伊坂幸太郎×阿部和重のコンビが合作するならこういうエンタテインメントなんだろうなと思わされる展開で、ある種想定から出てないといえば出てないのだが抜群のリーダビリティで一気に読まされる、一大冒険活劇。
読了日:12月21日 著者:阿部和重,伊坂幸太郎

疫病神 (新潮文庫)疫病神 (新潮文庫)感想
産業廃棄物処理場の建設を巡り、ヤクザ、産廃業者、フロント企業や巨大ゼネコンの欲と陰謀がうごめき、主人公のコンサルタントとヤクザのコンビが走る。まあまあ面白いんだが、似たジャンルでの類書と比べるとちと疾走感不足な感じ。
読了日:12月15日 著者:黒川博行

新装版 秋の舞姫『坊っちゃん』の時代 第二部新装版 秋の舞姫『坊っちゃん』の時代 第二部感想
鴎外好きなので楽しみに読んだが、漫画としての愉しさは「舞姫」エリスの女傑ぶり、脇を固める二葉亭四迷、「軍神」広瀬武夫ら多士済々な登場人物らによる大冒険活劇。森鴎外はむしろ活劇の裏にあり、明治人として初めてぶつかる「近代的個人」の問題に悩む。大コマで描かれる九段坂の風景ほか、明治東京の空気を写し取るような素晴らしい画も魅力の、圧倒的名作。
読了日:11月30日 著者:関川夏央,谷口ジロー

坂の上の雲〈8〉 (文春文庫)坂の上の雲〈8〉 (文春文庫)感想
ようやく全8巻を読了。前にも書いたが、秋山兄弟と正岡子規らのキャラクターの魅力を協奏曲のようにつかい明治日本を活写する3巻くらいまでの展開が良いのに比べ、日露戦争開戦後の描写は冗漫であり、日本陸海軍の愚の端緒となった参謀本部編による公刊戦史の弊をいつの間にか負ってしまっているのではないか…と思うが、あとがきを読むと司馬遼の意識は小説としての結構にはないとも読めるので、これはこれで良いという事なのか。ビジネス指南書としてどうかは別として、日露戦争小説としては吉村昭の「海の史劇」のほうが感銘は強いように思う。
読了日:11月24日 著者:司馬遼太郎

坂の上の雲〈7〉 (文春文庫)坂の上の雲〈7〉 (文春文庫)
読了日:11月23日 著者:司馬遼太郎

黄色い本 (KCデラックス アフタヌーン)黄色い本 (KCデラックス アフタヌーン)感想
「本というものは素晴らしいね」「本というのは魔性だね」どちらの読み方もできるし、実際のところどちらでもありうる読書の深淵さをとらえた表題作にただ泣けた。高野文子の漫画におけるキャラクターの姿勢には大変な情報量があるが、とくに、前かがみにうつむいて背中を見せるポーズを各作品で分析していくと一研究くらいできるのではと思った。
読了日:11月19日 著者:高野文子

坂の上の雲〈6〉 (文春文庫)坂の上の雲〈6〉 (文春文庫)感想
日露戦に突入してからの本編は、秋山兄弟というキャラクターの中に近代日本を投影する青春小説的構成が失せ、司馬の戦史論を延々聞かされる小説となる。子規と真之の絡みなど前半の展開を楽しんでいた読者としては正直苦痛。司馬小説には脱線の魅力もあるが、これは脱線というレベルではなくテーマが途中で変わってしまったのだろう。本巻で最も面白かったのはロシア艦にあだ名を付けて覚える所。『たとえば「アレクサンドル3世」は呆れ三太にし、(…)「ドミトリー・ドンスコイ」が、ゴミ取り権助といったぐあいにおしえた。』この脱線は笑えた。
読了日:11月15日 著者:司馬遼太郎

坂の上の雲〈5〉 (文春文庫)坂の上の雲〈5〉 (文春文庫)
読了日:11月15日 著者:司馬遼太郎

坂の上の雲〈4〉 (文春文庫)坂の上の雲〈4〉 (文春文庫)
読了日:11月15日 著者:司馬遼太郎

イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る 雇用400万人、GDP8パーセント成長への提言 (講談社+α新書)イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る 雇用400万人、GDP8パーセント成長への提言 (講談社+α新書)感想
銀行アナリストとして活躍し、現在は文化財修復の老舗企業を経営するイギリス人の著者から見える「日本文化」の諸相。不良債権を指摘された銀行経営者の驚異の逆ギレと、素晴らしき伝統や文化を標榜する一方で世界平均の3分の1にも満たぬ予算しかない我国の文化財保護の状況までが、なにか「日本文化なるもの」の桎梏が1人の英国人の目を通し遠近法的に見えてくる感じ。中にはポジショントークもあるかもしれないが、数字の説得力半端ない。日本文化を世界に売り込んでいくのなら、大臣がゴスロリのコスプレする前に先ずやる事が死ぬほどあるな。
読了日:11月15日 著者:デービッド・アトキンソン
ドミトリーともきんすドミトリーともきんす感想
何気に高野文子初。小さい女の子のきん子ちゃんがあまりにも可愛すぎて読んでて泣けてきたが、そんなきん子ちゃんとお母さんが経営する寮の住人として登場するのは朝永振一郎、湯川秀樹、牧野富太郎といった日本の自然科学史に残る碩学たちであり、彼らのひたむきな自然科学への情熱が描かれる。各話のタイトルも「トモナガくん おうどんです」といった感じでかわいさに溢れているんだが、粉飾的な無害さの演出とは全く異なった、ある種の原理の追究の結果として生まれた、背骨のぴっと入ったかわいさであり、全く独特の美的世界といえる。
読了日:11月10日 著者:高野文子
坂の上の雲〈3〉 (文春文庫)坂の上の雲〈3〉 (文春文庫)
読了日:11月2日 著者:司馬遼太郎
坂の上の雲〈2〉 (文春文庫)坂の上の雲〈2〉 (文春文庫)
読了日:11月1日 著者:司馬遼太郎
坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)感想
言わずもがなの有名歴史巨編。さすがに読ませる。ところで小説の内容とはまるで関係ないがp251に「ありますという軍隊用の敬語は、ふつうの日本語にはないが、長州弁にだけはそれがあって、山県(有朋)が正式の軍隊語としてそれを採用したと好古はきいている。」とある。そういえばやたらと「…でアリマス」を連発する総理大臣がいるが、あれは成程こういうことかと感得。
読了日:10月29日 著者:司馬遼太郎
初ものがたり (新潮文庫)初ものがたり (新潮文庫)感想
「本所深川ふしぎ草紙」で大活躍の岡っ引き、回向院の茂七親分を主人公とした短編連作。江戸っ子の好む「初物」モティーフ縛りのほかに、めっぽう旨い料理を出すナゾの稲荷ずし屋台の出自を探る筋を背骨に仕込んで、江戸町人社会の身過ぎ世過ぎの辛さをさりげなく書き込む堂々の筆致。巧みとしか言いようがない捕物帖文学。楽しませて頂きました。
読了日:10月19日 著者:宮部みゆき
政友会と民政党 - 戦前の二大政党制に何を学ぶか (中公新書)政友会と民政党 - 戦前の二大政党制に何を学ぶか (中公新書)感想
昭和二年~終戦までの政友会/民政党の二大政党の政治史を振り返り、日本において二大政党制は機能するかを考える書。戦争という危機を目の前にしながら敵失点狙いの党利党略から抜け出られなかった政友会と民政党の姿は、そのまま3.11時の自民党と民主党に重なりそう。その一方、憲政の常道としての政党政治をギリギリまで守ろうという意思が多くの政治家の間にあり、全政党解体後の翼賛選挙でも政府推薦候補でない候補が多くの票を集めた件をみると、戦時下がただ超国家主義一色の政治情勢だったと見るのは当たらんかも、等面白い気付き多数。
読了日:10月18日 著者:井上寿一
銀翼のイカロス銀翼のイカロス感想
銀行マンや中小企業経営者を描くとあれほど鮮やかなキャラクター描写を提示する池井戸作品が、ひとたび「政治家」を扱うとなぜこれほど平板で退屈になるのか?「民王」を読んだ時は小説のジャンルのせいもあるかと思ったんだが、どうもこの作家にとって政治家というのはカリカチュア以上の人間性を持ち得ぬ種族と捉えられているようだ。引きずられてか審査部の曾根崎や旧東京第一銀派の行員たちの描写も浅薄、悪い意味でマンガみたいな出来。派閥抗争も作者に個人的な恨みでもあんのか、ってくらい善悪二元論。半沢直樹シリーズ中もっとも退屈な作品
読了日:10月15日 著者:池井戸潤
昭和陸軍全史 1 満州事変 (講談社現代新書)昭和陸軍全史 1 満州事変 (講談社現代新書)感想
満州事変の勃発から事変拡大の過程を、それを押し進めた陸軍幕僚の一派「一夕会」の動向を中心として、かなり詳細に渡り描写した史書。一般に思われている関東軍の暴走という満州事変イメージと異なり、永田鉄山率いる陸軍中央の中堅は濃密に関東軍と連携し、事変を利用して陸軍中央の抜本的な性質転換を果たしたということがディティールをもってわかる。そして事変の推移の中で政党政治の力が相当量削がれ、犬養内閣と5.15事件で決定的に政党は葬られてしまう。講談社現代新書としてはかなりの読み応え。次巻にも期待。
読了日:10月13日 著者:川田稔
果つる底なき (講談社文庫)果つる底なき (講談社文庫)感想
池井戸潤の乱歩賞受賞作。銀行を舞台としたミステリ作品としてまあまあ楽しめたが、やはり当時は「融通手形」等の金融業界用語をミステリの道具立てとして持ち込んだ異色の注目作、という色が強かったのだろう、過渡的な試みという印象が強い。後年の銀行モノ職業小説のほうが、本格的でありより楽しめる。
読了日:10月11日 著者:池井戸潤
あの戦争と日本人 (文春文庫)あの戦争と日本人 (文春文庫)感想
明治を偉大な時代、昭和を特殊愚劣な時代とする司馬史観に対し、著者は、日露戦争の辛勝が「偉大な勝利」として演出される過程で、昭和は決定的に愚劣な時代へ進んでいった、戦勝が劣化につながったと評価する。第11章の怒りに満ちた一文、「残念ながら昭和の指導者たちは客観的におのれのおかれた状況をみる冷徹な目をもちえませんでした。/自分に都合のいいようにのみ主観的に状況を判断し、齟齬をきたすようなことは起こらないものと決めていた。」この状況認識はただ過ぎ去った昭和に留まらない、むしろ現在にこそ有効な視座ともみえる。
読了日:10月10日 著者:半藤一利
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 1 (ビッグコミックススペシャル)デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 1 (ビッグコミックススペシャル)感想
浅野いにおの新刊。巨大円盤の襲来による人類の危機、常時戒厳令状態に突入した東京…しかしカタストロフィは急速に「日常化」してしまう。これは私たちが東日本大震災を経て眺めてきた風景の戯画化でもある。主人公である少女たちの可愛らしさと危機の日常化というおぞましさが好コントラストを成す。描画にも気合じゅうぶんで続きを期待させる力作。
読了日:10月5日 著者:浅野いにお
重版出来! 4 (ビッグコミックス)重版出来! 4 (ビッグコミックス)感想
最新刊。一切の情念を排し、若いマンガ家の才能を冷酷に叩き売りながら「売れる」結果を出し続ける編集者の話や、大御所マンガ家のアシスタントに新たに入ってきた「恐るべき子供」の才能に嫉妬する先輩アシスタントの苦悩など。本巻、ことのほかシミる話多数。
読了日:10月5日 著者:松田奈緒子
民王 (文春文庫)民王 (文春文庫)感想
首相・閣僚の相次ぐ珍発言、珍行動‥‥。実は、彼らは漢字もろくに読めない不肖の息子たちの心と体が入れ替わっていたのだった!という、麻生太郎をモデルとしたコメディ小説。これだけの設定をぶちこむのであればギャグがそうとう面白くないと難があるが、悲しいかな少しも笑えない。池井戸潤にはこのジャンルは向いてないんじゃないかと思われた失敗作。
読了日:9月30日 著者:池井戸潤
日本仏教史―思想史としてのアプローチ (新潮文庫)日本仏教史―思想史としてのアプローチ (新潮文庫)感想
日本仏教史とあれば親鸞・道元・日蓮あたりが大きくクローズアップされるのが通例なのだろうが、本書の面白さはそうした史上の祖師の教えについてはさらりと流してしまい、むしろ、大陸から伝来する過程でどのように仏教が日本文化のなかに土着し、化学変化していったのか、を民俗や神仏習合の観点から読み解くことに紙数を費やすところ。修験道のくだりなど面白い!いわゆる「葬式仏教」という批判されがちな日本的形態も、それはそれで土着文化の中に根を下ろした信仰の在り方としてきちんと捉えるべきという論点、ユニークで興味をそそられる。
読了日:9月30日 著者:末木文美士
本所深川ふしぎ草紙 (新潮文庫)本所深川ふしぎ草紙 (新潮文庫)感想
岡っ引「回向院の茂七」というキャラ、そして話のモティーフに「本所七不思議」を置く縛りで書かれた連作時代小説集。いずれも手練れの仕事で素晴らしいのだけど、本作に限らず宮部作品で印象的なのは、当初善人だと思っていた人物が実はそうでない展開になったとき、木札をパタリと裏返すようにその人物が遠い存在に変わる瞬間。善悪の彼岸の向こう側にくっきり渡ってしまい貌が見えなくなる感じになる。「足洗い屋敷」とか。作者の倫理感のなせる所なのだろうが、この彼岸を渡る感じは宮部作品の独特の怖さになってると思う…俺だけだろうか。
読了日:9月23日 著者:宮部みゆき
仏典をよむ: 死からはじまる仏教史 (新潮文庫)仏典をよむ: 死からはじまる仏教史 (新潮文庫)感想
原始仏典「遊行経」から始まり、日本人伴天連ハビアンの書までに至る概説…というか著者なりの仏典解釈思想を述べた著作。最澄が採用した二元論がその後に与えた好ましからざる影響や、ハビアンの「空」批判を引いて、仏典のいう空とは虚無の意ではないという論も面白かったが、いちばん印象に残ったのは、説話文学ながら一章を与えられている「日本霊異記」。馬を酷使し鞭打つ男がたまたま煮えたぎる釜の前を通ったら目玉が抜けて煮られた話とかw因果応報説を説くにしてもエクストリームすぎだろ!日本霊異記がとっても読みたくなった。
読了日:9月21日 著者:末木文美士
果てしなき渇き (宝島社文庫)果てしなき渇き (宝島社文庫)感想
どんどんドライブし過剰に至っていく展開が魅力の自虐ノワール。仕方ないのかもしれないが、けっこう『これは勘弁してくれよ』と思う表現が散見される。「これにはどんなクスリだってかなわないさ。おまえのためだけにカスタマイズされた、おまえだけのドラッグなんだ」などとのたまう不良。陳腐。ただ、中島哲也の映画のようにひどくはない。あの冗長さは原作の難点ではなかった。
読了日:9月17日 著者:深町秋生
かまいたち (新潮文庫)かまいたち (新潮文庫)感想
宮部みゆきの時代ものは初めて。表題作よりも「耳袋」をモチーフとした末尾二連作‥‥ことに「騒ぐ刀」が好き。ストーリーの結構といい見せ場の作り方といい見事な古物もの怪奇小説になっていて、素晴らしいなあと思ってあとがきを読むとこちらがむしろデビュー前に書かれた最初期の作品なのだとか。宮部みゆきに今さら言うのもなんだが、才気あるなあホント。
読了日:9月15日 著者:宮部みゆき
憲法で読むアメリカ史(全) (学芸文庫)憲法で読むアメリカ史(全) (学芸文庫)感想
アメリカ史の節々で下された判決などを通し、米国憲法の変遷を読み解く名著。なるほど~と思うのは米国憲法はまず連邦の憲法として成立したもので、各州憲法が統べない部分を統べる憲法という出自が色濃い事。このため労働者のストライキ権を巡る判決などにも、それが「州際通商」を阻害するものかどうか、が重要な要素となる。こうした憲法の在り方は、その対立の末路としての南北戦争や、第一次・二次大戦と総動員体制に伴う大統領権限/連邦政府権限の大幅な伸長などの政治的局面でダイナミックに揺れ動いていく。色々な示唆を与えてくれる一冊。
読了日:9月15日 著者:阿川尚之
バーナード嬢曰く。 (REXコミックス)バーナード嬢曰く。 (REXコミックス)感想
「オンノジ」のほうが良かったなあ…。SFこども図書館シリーズの「合成怪物」はたしかオレも子供のころ読んだよ。
読了日:9月3日 著者:施川ユウキ
フイチン再見! 3 (ビッグコミックス)フイチン再見! 3 (ビッグコミックス)感想
いま日本のマンガで最も新刊が楽しみな作品のひとつ。二度泣きそうになったが、一度は上田としこがモデルになった肖像画があまりにも穏やかで平和な空気を湛えているカット、もう一度は、満鉄社員むけ健康キャンペーンのために上田としこが描いたポスターのはちきれんばかりの溌剌とした可愛さが人々に笑顔をもって受け入れられるところ。暗い時代の中に置かれたことの哀れさの故ではない。どのようであっても元気に朗らかに前に進む主人公の生のまばゆさが心に染み、そして切なくもなるのだ。
読了日:9月3日 著者:村上もとか
日本の軍歌 国民的音楽の歴史 (幻冬舎新書)日本の軍歌 国民的音楽の歴史 (幻冬舎新書)感想
この本では、軍国主義的プロパガンダに積極的に参加した歌謡を広く「軍歌」と捉えており、単に従軍の兵の間で歌われたものに限らず、戦勝報道にあわせて作られたニュース歌謡や、話題となった兵士のキャラクターソングなども紹介する。ニュース軍歌の傑作「英国東洋艦隊潰滅」、壮烈な戦死を描く「軍神橘中佐」‥。これらから見えるのは、近代の日本においていかに戦争ネタが娯楽として消費されてきたかという有り様である。その悲愴感も含めて、戦争は近代日本が一貫して乗り続けたライドであり、軍歌はそのライドの最適のBGMだったのだ。
読了日:8月29日 著者:辻田真佐憲
蜩ノ記 (祥伝社文庫)蜩ノ記 (祥伝社文庫)感想
以前に読んだ「銀漢の賦」は、悪くないけどちょっと藤沢周平っぽさが強すぎの感じがしていたが、この「蜩の記」はとても堂々とした作品で感心。切腹の宿命に向き合う男の生き方という大テーマ一本でなく、正室側室をめぐる主家の暗闘というミステリー展開を並行させることでグイグイ読ませる展開も見事。葉室麟への評価が一段階上がった…ってよく考えたらこれ直木賞受賞作なのでしたw
読了日:8月26日 著者:葉室麟
永続敗戦論――戦後日本の核心 (atプラス叢書04)永続敗戦論――戦後日本の核心 (atプラス叢書04)感想
面白かった。確かに本書は新しい事実や目の覚めるような新論点を提示するものではないかもだが、外(対米)に敗戦を認め内(隣国含む)に敗戦を認めないダブルスタンダードを徹底し続けるが故に永遠に総括されない敗戦を生きねばならぬ日本社会、というモデルを東日本大震災後まで含めたパースペクティブの中に置き、状況を極めてクリアに整理している。経団連会長の事故後のコメント「原子力行政はもっと胸を張るべき」に対する「あたかも『愚かさ』という観念が物質に結晶し命を得て物を言っているかのごとき光景」とこき下ろす舌鋒には笑った
読了日:8月26日 著者:白井聡
日本海軍400時間の証言: 軍令部・参謀たちが語った敗戦 (新潮文庫)日本海軍400時間の証言: 軍令部・参謀たちが語った敗戦 (新潮文庫)感想
「海軍反省会」を取り上げたNスペ取材班の著書。今も日本的組織に黒々と横たわる"やましき沈黙”と責任の棚上げ性向は、日本海軍のエリートたちの総括なき敗戦に色濃く胚胎されていたということが分かる。「海軍善玉論」がいかに組織的戦略的に造られた虚構だったか、「天皇に塁を及ぼさぬ」という東京裁判にむけた大方針は、結果として高級官僚たちの責任をうやむやにしたが、これは天皇免責の建前に隠れてなすべき総括を回避する罪深きトリックではなかったか。そしてこの醜悪は現代の組織にとり無縁のものか?打ち震えることなしに読めぬ書。
読了日:8月23日 著者:NHKスペシャル取材班
沈みゆく帝国 スティーブ・ジョブズ亡きあと、アップルは偉大な企業でいられるのか沈みゆく帝国 スティーブ・ジョブズ亡きあと、アップルは偉大な企業でいられるのか感想
ジョブス伝記は特に読まんがこれは読みたがる自分の天の邪鬼っぷりをしばし反省。にしてもこれは面白い本であり、世界を魅了する皇帝が崩御した後に残された副官、参謀たちがどのように帝国を承継するのか、という歴史読み物的な読み方ができるビジネス書といえる。ジョブスという稀代のカリスマがいかに暴君であったかの話も武士道残酷物語的にたっぷり語られるし。ローマ後を継いだ「在庫のアッティラ王」=クックがいかなる方向にアップルを持っていくのか、自分にも興味が湧いた。アップルやジョブスに興味がない層でも読んで損ない内容と思う。
読了日:8月18日 著者:ケイン岩谷ゆかり
海賊とよばれた男(下) (講談社文庫)海賊とよばれた男(下) (講談社文庫)感想
モデルとなった出光佐三に興味が湧く作品。すいすい読めるリーダビリティの高さは百田尚樹の美点といって良いのだが、ほぼ全てのキャラクターが、国岡に惚れ込む洋邦の男たち、この人物に金を貸すのが銀行家の使命だというバンカー、そして国岡の足を引っ張る事しか考えていない有象無象ども…という三類型しかなく、有象無象を打ち破る国岡商店の「鉄の結束」と涙涙の浪花節がひたすら繰り返される単調さは如何ともしがたい。小説としての結晶度の低さは拭うべくもないが、ビジネスマンの浪漫読物として支持されるに足る面白さは備えていると思った
読了日:8月13日 著者:百田尚樹
海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)
読了日:8月13日 著者:百田尚樹
風雲児たち 幕末編 24 (SPコミックス)風雲児たち 幕末編 24 (SPコミックス)感想
新巻出た!!!シーボルト・イネ&村田蔵六のエピソード、ヒュースケン受難などに紛れながら、本巻の要点は実は万延小判の発行と庶民を襲った大インフレが、討幕に向かう重要な震源の一つになる、ということなのでは・・・などなど。
読了日:8月10日 著者:みなもと太郎
雨宮鬱子の証券会社で働いたらひどい目にあった (Next comics)雨宮鬱子の証券会社で働いたらひどい目にあった (Next comics)感想
マネジメントはドラッカーとか読むより先にこのマンガを読むべき。過酷な職場で鬱に追い込まれる体験記かと思って読み始めるといい方向に裏切られる。証券業界の異常ぶりも含め、偏執狂的な日本の「カイシャ」社会病理の構造批評の書…と言っては言過ぎか。『最近の子は打たれ弱い』という管理職の考え方が、大量採用時代の人材じゃぶ×2時代の発想から抜けられてないだけなのでは、という指摘も中々鋭い。作者の展開する説に自らの尊厳を守るための論理が含まれてないとは言わないが、組織の自己防衛論理に比べればささやかな切ない抵抗といえる。
読了日:8月10日 著者:雨宮鬱子
昭和元禄落語心中(6) (KCx(ITAN))昭和元禄落語心中(6) (KCx(ITAN))感想
最新刊も素晴らしかった。当代の漫画の最先端なのでは、という思いさえあり。本巻の好きなところを羅列すると、作家のひーさんこと樋口栄助のなんともいえない「文人」感の良さ、縁側と金魚、助六のセリフ「不思議なもんで夫婦になるとアネさんのことが何でも心配になってくるんだよ/他人のこと遠慮なく心配できるってのも気持ちいいもんだなァ」って与太お前それこそ愛の本質論じゃん!的な気取りなさ等。素晴らしい。もちろん落語も。八雲の「居残り佐平次」は志ん朝師匠の音声を想起しつつ読んだが、きっとこれはまた別にモデルがあるのだろう。
読了日:8月9日 著者:雲田はるこ
かつお節と日本人 (岩波新書)かつお節と日本人 (岩波新書)感想
日本人の健康志向に乗って年々生産量を増やし続けるかつお節の近現代史。明治の勧業博覧会を使った殖産興業政策に載って確立した焼津や枕崎などの名産地。それに対抗し、パラオ・ボルネオなどの南洋かつお節産地の興隆と、それを支えた沖縄漁民たちの歴史。恐慌や多くの漁民を動員した太平洋戦争により南洋のかつお節生産は断絶するが、戦後業界の革命商品、にんべん「フレッシュパック」発売以来の生産上昇を受け、再びインドネシア産ほかの南洋節が伸びてくる…。淡々とした筆致の本だが、個々のかつお節エピソードが面白すぎてつい読んでしまう。
読了日:8月3日 著者:宮内泰介,藤林泰
警官の条件 (新潮文庫)警官の条件 (新潮文庫)感想
スチュアート・ウッズを彷彿とさせる3世代大河警察小説「警官の血」の続編という事なんだが、…これ、「警官の血」の続編である理由あったのか????と脳にハテナマークが100発くらい連射されてる感じ。凡作とはいわないが…
読了日:7月29日 著者:佐々木譲
国際秩序 - 18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ (中公新書)国際秩序 - 18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ (中公新書)感想
安保法制懇の一員である国際政治学者による、ヨーロッパ外交史を中心とした国際秩序史論。「勢力均衡」「価値観における協調」「国際共同体」の3種の方向性を軸に、ナポレオン戦争後のウイーン体制、ビスマルク外交、ウィルソン主義といった近代欧州の戦争と平和を形作ってきた秩序の栄枯盛衰を説き、有効な国際秩序とは何かを思考する。個人的には近代欧州外交史として非常に分りやすくまとまっており、面白かった。近代ナショナリズムを基盤とする欧州政治史で得られた知見が現代の脱ナショナリズム的不安にそのまま効くのかというと疑問あるが…
読了日:7月26日 著者:細谷雄一
天の血脈(4) (アフタヌーンKC)天の血脈(4) (アフタヌーンKC)感想
宮崎滔天&孫文の登場でおおっ「王道の狗」と繋がった~~!なんて感じで安彦良和日本近現代史シリーズファン垂涎の展開。
読了日:7月23日 著者:安彦良和
昭和の三傑―憲法九条は「救国のトリック」だった (集英社文庫)昭和の三傑―憲法九条は「救国のトリック」だった (集英社文庫)感想
憲法9条を含む戦後憲法はマッカーサーによる押付け…という「定説」を覆し、幣原喜重郎がマッカーサーとの密談の中で戦力放棄を提案、吉田茂はそれをあたかも「米国側が押付けてできた戦力放棄である」体裁を固守、ゆえに日本は国力復活定かならぬ中で米国の戦争に従軍させられずに済んだ―憲法九条はゆえに「救国のトリック」であるとする。この説も面白いが、鈴木貫太郎、幣原喜重郎、吉田茂の3人の人物像も面白く一気に読める。なお9条は終戦時の当用のトリックであり今や変えて然るべきというのが著者の主張。そこは私は意見を異にするが…。
読了日:7月18日 著者:堤尭
100年予測 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)100年予測 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)感想
影のCIAの異名をもつ米国の情報企業による、地政学分析に基づく2100年までの将来予測。先になればなるほどボンヤリした話になるため、後半の方が退屈という本になっているw 予測が妥当かどうかというより、その予測を導く米国の戦略…ユーラシア大陸に覇権国家が生まれないようあらゆる手段を尽くそうとする国家戦略に注目。2050年には日本とトルコの連合軍が米国の封じ込め戦略のターゲットとなるため、窮地を跳ね返す世界戦争を開始するだろうという予測は突飛だが、それを通し「国家に真の友人はいない」の格言に思いを馳せるべき。
読了日:7月13日 著者:ジョージ・フリードマン
グローバリズムが世界を滅ぼす (文春新書)グローバリズムが世界を滅ぼす (文春新書)感想
京大の藤井聡、TPP亡国論などが売れた中野剛志ほかが、フランスの人口学者エマニュエル・トッドらを招いたシンポジウムの記録。藤井聡の「全体主義としてのグローバリズム」論はちょっとトンデモ感強く辟易させられたが、他の論者の新自由主義政策に誰もかれも右へならえ傾向への対抗論陣はそれなりに読ませるものあり。
読了日:7月7日 著者:エマニュエルトッド,柴山桂太,中野剛志,藤井聡,堀茂樹,ハジュンチャン
日本の聖域 アンタッチャブル (新潮文庫)日本の聖域 アンタッチャブル (新潮文庫)感想
「選択」編集部による日本のタブー領域に関するルポ集。やはり震災後の記事「『主犯GE』フクシマの罪」ほかの原子力業界関連の記事が実に鋭利。件の記事、そも原賠法自体が米国原発メーカーのリスク回避を果たすための性質を色濃く持ち、まんまと製造物責任から逃げおおせた福島のBWR炉を作ったGEが今や廃炉ビジネスに食い込もうとしている、という告発。これはグッとくるものあり。農地行政の急所を衝く「偽装農家」、犯罪厳罰化にひた走る「犯罪被害者の会」への批判も、まさにタブー領域に果敢に切り込む本シリーズの白眉であり圧巻だ。
読了日:7月6日 著者:
転迷: 隠蔽捜査4 (新潮文庫)転迷: 隠蔽捜査4 (新潮文庫)感想
複数の筋が並行し、つくづく「署長はつらいよ」と思わされざるを得ない、「隠蔽捜査」シリーズ文庫化最新刊。読了してまず思うのは、うーむ、何というかインバスケット試験みたいな小説だなという事でありました(笑)竜崎のキャラクター造形は安定・確実で間違いないのだが、展開があまりにも単線型であり、竜崎一人の目の前のTodoリストが解決されていくのを見眺めるような感じ。全くつまらない訳でははないんですけどね。
読了日:6月26日 著者:今野敏
山賊ダイアリー(3) (イブニングKC)山賊ダイアリー(3) (イブニングKC)
読了日:6月22日 著者:岡本健太郎
山賊ダイアリー(2) (イブニングKC)山賊ダイアリー(2) (イブニングKC)
読了日:6月22日 著者:岡本健太郎
がらくたストリート (3) (バーズコミックス)がらくたストリート (3) (バーズコミックス)感想
完結巻出てるの気付いてなかった!美しい日本の田舎で展開する、理系文系民俗漢籍ウンチクごった煮マンガ。読んでてためになりそうな「究極超人あ~る」的な感じ?と表現の難しい比類なさを持つマンガだったが最終巻もやはり楽しかった。
読了日:6月22日 著者:山田穣
群馬県ブラジル町に住んでみた ラテンな友だちづくり奮闘記 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)群馬県ブラジル町に住んでみた ラテンな友だちづくり奮闘記 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)感想
cakesでさわりを読み、Kindleで購入してみた。実際に住み始めてからの話は、著者の引っ込み思案なせいもあり活発な交流が行われるというにはほど遠すぎるため現在のブラジル町の実態を知るというようなものではない。だが元々そういうコンセプトでのブラジル町移住ではないので特に腹は立たないし、むしろ著者を応援したい気持ちが湧いた。「友達を作りたい程度で彼らと同じ仕事をしようなど、そんな甘いものではない。彼らは日本人に気遣って言えないから私が言う」と叱り飛ばす職安所おばちゃん等の濃いサブキャラも面白かった。正論。
読了日:6月15日 著者:中川学
池上彰の教養のススメ 東京工業大学リベラルアーツセンター篇池上彰の教養のススメ 東京工業大学リベラルアーツセンター篇感想
「戦前の政治家や官僚や財界のリーダーはもしかすると今よりも『教養豊か』だったかもしれません。でも、彼らは負けました。/その理由のひとつに、多様性のなさがあった、という点を見逃してはならないでしょう。」東工大教授に就任した池上さんが、ギリシア哲学をもってダム建設にまつわる地域社会の合意形成を遂行したり、宗教学の知見を通して日本のカイシャ組織を読み解くなど、リベラルアーツの強みを存分に開陳した対談集。ドッグイヤー化で実用スキル陳腐化が激しく、また社会の多様性を増した現在こそ教養の出番という説には説得力あり。
読了日:6月15日 著者:池上彰
闇金ウシジマくん 31 (ビッグコミックス)闇金ウシジマくん 31 (ビッグコミックス)
読了日:6月1日 著者:真鍋昌平
山賊ダイアリー(1) (イブニングKC)山賊ダイアリー(1) (イブニングKC)
読了日:6月1日 著者:岡本健太郎
椿荘101号室(2) (エデンコミックス) (マッグガーデンコミックス EDENシリーズ)椿荘101号室(2) (エデンコミックス) (マッグガーデンコミックス EDENシリーズ)
読了日:6月1日 著者:ウラモトユウコ
ハッピーネガティブマリッジ 5 (ヤングキングコミックス)ハッピーネガティブマリッジ 5 (ヤングキングコミックス)感想
ついに完結巻!めんどくさい二人が互いのめんどくささを引き受けあって人生やっていける関係になれた(つまりそれがマリッジという関係性だというメッセージだろう)ようで、良かった良かった。それにしてもヒロイン志麻子さんの髪型の表現、いいな~。
読了日:4月21日 著者:甘詰留太
日本の聖域 (新潮文庫)日本の聖域 (新潮文庫)感想
会員制情報誌「選択」の名物連載で、知られざる日本の利権や特殊組織にメスを入れるルポ。「国連大学」などの確かにアレ何なの記事から、児童相談所や日本相撲協会など掲載後に問題化したり、検屍制度に関る「死因究明二法」成立など具体的改善がみられた件も。パンチラインが強烈で「現代日本は生きていれば先進医療が受けられるが心臓止まると江戸時代(検屍制度)」とか、「日本忖度協会と揶揄される程上司の顔色を伺うヒラメ人間が跋扈(NHK)」とか笑うが、医系技官や精神鑑定など、慄然とさせられる実態が続々暴露され義憤湧き起る。必読。
読了日:4月19日 著者:
皆殺し映画通信皆殺し映画通信感想
柳下さんの「永遠の0」評を読みたくて買った。
染谷将太の井上真央へのアプローチが相当おかしい点などには柳下さんも触れており納得。
ほか、異様な映画「いのちの林檎」についての報告や、『電話の会話をすべてオウム返しにする日本映画にしか出てこない喋り方』などの表現が笑えたりもするのだが、やはり何というか、大半が全くつまらない映画の話を延々と読むのはやはり辛かった。
読了日:4月15日 著者:柳下毅一郎
もやしもん(13)<完> (モーニング KC)もやしもん(13)<完> (モーニング KC)感想
どうかな~と思った時もあったけど、総じて楽しかった!良いマンガでした。
読了日:4月12日 著者:石川雅之
仕事に効く 教養としての「世界史」仕事に効く 教養としての「世界史」感想
ライフネット生命の出口さんによる世界史講義。センター試験の穴埋め問題ができるかどうかがゴールになっているような学校世界史をいくらやっても何の役にも立たないのは事実で、呪文じみた単語を無闇に暗記するのが楽しい私の様なひねくれ者の独壇場となるwが、一方で教養として生きる歴史知識とは、文明への批判精神とか、んな壮大じゃなくとも身近な常識とか伝統とかいったものが実はめちゃ最近できた相対的なものじゃんと見抜ける、その根拠として発射可能な状態で脳内弾倉に装填されてるものなんだなと思った。
読了日:4月9日 著者:出口治明
白竜LEGEND原子力マフィア編 下 (ニチブンコミックス)白竜LEGEND原子力マフィア編 下 (ニチブンコミックス)感想
いやー、漫画ゴラク的な展開と言わざるを得ないが、いずれにせよ東日本大震災の直前にこの話書いてたってのは凄い話。
読了日:4月6日 著者:天王寺大
白竜LEGEND原子力マフィア編 上 (ニチブンコミックス)白竜LEGEND原子力マフィア編 上 (ニチブンコミックス)感想
巨大電力会社による原子力利権の闇に「大きなシノギの匂いがするな…」と切り込んでいく白竜。東電の人が読んだら激怒するんだろうし、原発の下に活断層が存在する事実を封じ込めるためにヒットマンが放たれるなんてこともあり得ねえだろう、そもそも原発作業員の周旋にはヤクザが密接に絡んでると聞くが原発内部の待遇を聞いてビックリするとは何故?!などと笑いながら読む感じだが、面白いから仕様がない。。
読了日:4月6日 著者:天王寺大,渡辺みちお
オンノジ (ヤングチャンピオン・コミックス) (ヤングチャンピオンコミックス)オンノジ (ヤングチャンピオン・コミックス) (ヤングチャンピオンコミックス)感想
ある日突然誰もいなくなった、マリー・セレスト号状況の世界をさ迷う少女と、謎のフラミンゴとの笑える会話で展開する、ほのぼのディストピア4コマという凄シチュエーションのマンガ。親父ギャグ的な川柳を案出するのが好きな女の子のひねた可愛さと何もなくなった世界の切なさがツイスト、他にない味わいの傑作。
読了日:4月6日 著者:施川ユウキ
重版出来! 1 (ビッグコミックス)重版出来! 1 (ビッグコミックス)感想
オレもずっと「じゅうはんでき」だと思ってた~~!!書店営業ストーリーが泣ける。
読了日:3月21日 著者:松田奈緒子
フイチン再見! 2 (ビッグコミックス)フイチン再見! 2 (ビッグコミックス)感想
主人公の上田としこは戦争期の東京に戻り、画の勉強を究めながらも、国粋一辺倒となってゆく世の空気に対して独自のスタンスを貫く。風景は美しいのに、人々は寛容さをどんどん失くしてゆく東京で、のびのびと生き笑いあう主人公と画学生たちの表情がとっても切なくなる2巻。
読了日:3月17日 著者:村上もとか
フイチン再見! 1 (ビッグコミックス)フイチン再見! 1 (ビッグコミックス)感想
日本最初の女流漫画家、上田としこの伝記マンガ。ハルピンの多民族社会を生き生きと謳歌するチャーミングな「フイチンさん」を生み出した上田としこの満州で育った幼少期が、シビれるような魅力を湛えて描かれる。1巻の終盤でまだ見ぬライヴァルとして、日本人なら知らぬ者のないあの女流漫画家の名が登場するあたり、震えた。
読了日:3月17日 著者:村上もとか
電力と震災 東北「復興」電力物語電力と震災 東北「復興」電力物語感想
戊辰戦争以来つづいてきた東北地方への日本経済ネグレクト状態を脱するべく「東北振興電力」として設立された東北電力。白洲次郎を会長に迎え、戦後の東北経済を支える会社として歩み出した生誕の経緯を振り返りつつ、東日本大震災という究極状況において、そのDNAがいかに奏功し、誰もがリスペクトせざるを得ない、東電とは対照的な災害対応、地域支援の姿勢を貫いたかを述べるドキュメント。本編を読み、東京電力は柏崎刈羽原発から撤退し東北電力に原発を移管してほしい、と1新潟人として思ったが、あとがきで我意を得た感じ。
読了日:3月15日 著者:町田徹
絶望の裁判所 (講談社現代新書)絶望の裁判所 (講談社現代新書)感想
元裁判官の法学者による、裁判所という組織の極端な官僚化・非人間化の現状を告発した書。ここで描かれる、事務総局の支配統制下における「精神の牢屋」というべき裁判官職の実態、そのもとで彼等が行う非創造的で独善的な裁判のやり方はまさに絶望的。著者によれば映画「それでも僕はやってない」は驚くような内容でないし、むしろ描き方が甘いという事になる。また裁判員制度の導入も自らの勢力伸長をねらった刑事系裁判官派閥の意をかなえたもの、という。読んでて本当に絶望したので裁判所側から実証的反論が出てきてほしいとさえ思う一冊。
読了日:3月10日 著者:瀬木比呂志
反ファシズムの危機―現代イタリアの修正主義反ファシズムの危機―現代イタリアの修正主義感想
副題は「現代イタリアの修正主義」。終戦時の日伊の大きな違いは、イタリアは自らの手でムッソリーニを排撃し、ファシスト&ドイツ軍VSレジスタンスの20ヶ月の武装闘争により、諸都市をイタリア人自身の手で解放した反ファシズム神話にあるが、抵抗のリーダーが共産党であった事から、特に冷戦終結後の90年代より反ファシズム神話解体・相対化の動きが起こり、ネオファシストが政権に参加する事態さえ起きている。このようなイタリアでの歴史修正主義に対する歴史学者の批判的エッセイ。現地目線の書だが註が適切で難解さはなく、面白い。
読了日:3月8日 著者:セルジョルッツァット
韓国現代史―大統領たちの栄光と蹉跌 (中公新書)韓国現代史―大統領たちの栄光と蹉跌 (中公新書)感想
戦後の歴代大統領が「大統領になるまで」の道程をたどることで、韓国の現代史を複眼的に描く歴史本。かねてよりイタリアと韓国の2つの半島の近現代史は日本近現代史と比較すると色々なものが見えてきそう、と思っていたが、やっぱり面白い。印象深いのは朴正煕の軍部独裁政権が度々おこなった憲法停止。考えてみると日本では旧憲法の時代を通じても、憲法停止という事態は起きたことがないのではないか。軍部独裁という印象のある大戦期日本の立憲体制と韓国の軍部独裁体制を比べると色々な気づきがありそう、などと思った。
読了日:3月3日 著者:木村幹
アゲイン!!(11) (KCデラックス 週刊少年マガジン)アゲイン!!(11) (KCデラックス 週刊少年マガジン)感想
とりあえず読んだよ~
読了日:3月3日 著者:久保ミツロウ
闇金ウシジマくん 30 (ビッグコミックス)闇金ウシジマくん 30 (ビッグコミックス)感想
今度は与沢翼モチーフ情報商材ビジネス。米国の自己啓発講演ビジネスとかもこういう空気なのだろうか、ロバート・キヨサキとか。それにしても、このマンガのネタが尽きないこと自体が正直な日本社会の現状を映しているということなのかも知れん。
読了日:3月1日 著者:真鍋昌平
アイアムアヒーロー 14 (ビッグコミックス)アイアムアヒーロー 14 (ビッグコミックス)感想
前巻冒頭に登場した謎の怪物の正体がかいま見える展開…だが、一体どういう話になっていくのか皆目見当が(^^;)とにかく面白いことは間違いないが
読了日:3月1日 著者:花沢健吾
昭和元禄落語心中(5) (KCx(ITAN))昭和元禄落語心中(5) (KCx(ITAN))感想
現代の与太郎ストーリーに久しぶりに回帰する最新刊。それにしても助六の「芝浜」、聞いてみたいw
読了日:3月1日 著者:雲田はるこ
デモクラティア 2 (ビッグコミックス)デモクラティア 2 (ビッグコミックス)感想
2巻出た!自らの「投票」により成長していくユーザーがいる一方で、顔のない群衆の意志により殺人をも犯してしまうアンドロイドの姿に、つねに暴走する危険を胚胎したデモクラシーのありようがオーバーラップする。
読了日:3月1日 著者:間瀬元朗
昭和史裁判 (文春文庫)昭和史裁判 (文春文庫)感想
「それでも日本人は戦争を選んだ」の加藤陽子先生と、おなじみ半藤さんが検察/弁護に役割分担して繰り広げる、広田弘毅・近衛文麿・松岡洋右・木戸幸一・昭和天皇の戦争責任を問う対談集。戦間期から戦時の時系列が頭に入っていないとついていくのが大変な書でもある。「バスに乗り遅れるな」の論とは、緒戦の勢いでドイツの大戦勝利を前提した上で極東のドイツ領を日本がせしめようとする発想に基づいていた、といった指摘は目から鱗だし、スターリン会談にむかう松岡洋右が旅路の中で詠んだいい湯加減の句集をバッサリ斬るくだりは笑える。面白い
読了日:3月1日 著者:半藤一利,加藤陽子
フェルトリネッリフェルトリネッリ感想
イタリアの主要都市で見かける、青山ブックセンターを10倍おしゃれにした感じの大型書店ラ・フェルトリネッリの創業者伝。ムッソリーニ政権に追い込まれ急死した富豪の父を持ち、パルチザンに身を投じてイタリア共産党入党、パステルナークの「ドクトル・ジバゴ」をソ連当局の圧力に抗して世界初出版。やがて70年代の武装左翼を公然と支援し、ミラノ郊外の鉄塔下で謎の死を遂げる。イタリア現代史の知識が前提となりかなりハードル高い本だが、ジバゴ出版に関わるソ連との虚虚実実の駆け引きは非常にスリリングで、ここだけ読むのもありかも。
読了日:2月27日 著者:カルロ・フェルトリネッリ
レッド(8) (KCデラックス イブニング )レッド(8) (KCデラックス イブニング )感想
内ゲバのデススパイラルに本格的に突入する連合赤軍マンガ。同士討ちを「分派闘争」と呼称し、なぶり殺しを「総括」と称して邁進していくメンタリティは、戦中でも現代でも、右にも左にも共通して存在するものだと思う。太平洋戦争とは結局なんであったのかを冷静に検証するのと同質の目線において連合赤軍事件に真摯に向き合い検証しない限り、日本の戦後を総括することは不可能なように思う。
読了日:2月27日 著者:山本直樹
手紙 (文春文庫)手紙 (文春文庫)感想
テーマ的にも筋的にも、決してつまらないわけではないのだが、短編でも書けてしまうような話だなという印象。また、ドラマを活かす上での敵役ともいうべき、主人公に差別の目をむけてくる田園調布の金持ち(笑)らの直球すぎるステレオタイプぶりが白けてしまう等、いまいちノレない小説であった。
読了日:2月16日 著者:東野圭吾
1995年 (ちくま新書)1995年 (ちくま新書)感想
様々な転換点となった1995年というのがどういう時代であったかを、現在の視点から政治・社会・経済など様々な視点から淡々と描いていくよ、という趣の新書。まさに自分が大学に入った年であり、東京に出てきた年である事も影響しているのだろうけど、淡々と描いていくだけでも結構面白いものだ。インターネット・携帯電話の黎明期であり、CATV業界でいえばJ:COMがこの年にでき、翌96年に初めてのブロードバンドとして武蔵野三鷹ケーブルテレビがCATVインターネットを開始する。一般にはISDNが普及していた。
読了日:2月16日 著者:速水健朗
白暮のクロニクル 1 (ビッグ コミックス)白暮のクロニクル 1 (ビッグ コミックス)感想
ゆうきまさみ待望の新作。面白い。
読了日:2月5日 著者:ゆうきまさみ
永遠の0 (講談社文庫)永遠の0 (講談社文庫)感想
あまりに幼稚な演出に度肝を抜かれた映画版の鑑賞後、どこまでが原作の問題なのかを確認しようと読んだ原作小説。まず映画の酷さは脚本と演出の責任で、原作はなかなか読ませる小説だと分かった。読み所は着艦訓練のディティールから連合艦隊の組織批判まで要領良くまとめられた戦記部分である。愚劣な官僚機構の戦争指揮のもと散っていった搭乗員や兵士たちに光を当てる一方、所々で彼らのプライドに目を向けない戦後社会とジャーナリズムへの怨嗟が綴られている。戦争賛美の書というのは当たらぬが、嚥下し難い違和感が残った事は否めない。
読了日:2月2日 著者:百田尚樹
下町ロケット (小学館文庫)下町ロケット (小学館文庫)感想
面白かった!けど「空飛ぶタイヤ」の方が傑作ではあったかな。前半は知的財産権をめぐる法廷モノ展開、後半は一転してロケット部品供給展開となるのだが、相互の話がそれほど有機的に絡まっているわけではなく、ピンチまたピンチの連続活劇的単線展開になっていて、全体の「日本のものづくり応援歌」的トーンが前に出すぎ、鼻につく感じだなと読めた。とは言うもののさすがに道具立てとキャラの動かし方は上手くて、読ませる。銀行から出向した経理部長が心からモノづくり会社に参与していく過程はとても胸アツだった。
読了日:1月28日 著者:池井戸潤
邪魔(下) (講談社文庫)邪魔(下) (講談社文庫)感想
かなり高速で下巻読了。上巻で仕込まれた複数のストーリーラインがグッと収斂し、主人公たちの人格の暗部がぶちまけられる恐るべき、また過剰すぎて若干ブラックコメディのごとき展開(モーテルで「一千万出しな」のくだりには笑ってしまった)。過剰さからのブラックコメディ感では通低する樋口毅宏ほどの破れかぶれ感がないのは、ディティール描写のうまさだろうか。奥田英朗のこれまで読んだ小説の中では最も面白かった(といっても五冊程度だが)。
読了日:1月23日 著者:奥田英朗
邪魔(上) (講談社文庫)邪魔(上) (講談社文庫)感想
冒頭、小さな傷害事件から展開する警察小説なのかな~、と思って読み進めていくのだが、地方の中小企業の内部的不正、平凡な30歳代主婦がパートの権利闘争に思いもかけず巻き込まれる話などが絡み合い、複数のストーリーラインが「これはいつ結び合うのか」というドキドキ感を伴いながら進行する。ニクい器用さ。下巻も期待。
読了日:1月23日 著者:奥田英朗
日本の10大新宗教 (幻冬舎新書)日本の10大新宗教 (幻冬舎新書)感想
公明党や甲子園強豪校などの形で姿をみせる新宗教。この本ではオウムや幸福の科学などのカルトを除き、天理教や大本から真如苑、創価学会など大規模な新宗教についての成立史や状況を便概的にまとめたもの。信仰の内容などはほぼ触れていないので端的に「アレって何なの?」が知りたい私くらいの読書動機には丁度良かった。創価学会の項で、現世利益を頼みにした宗教は不景気の時代には伸びない、リターンへの期待感が薄いから、と述べてるのは面白かった。現世が絶望的な戦乱の時代に一向宗みたいな浄土信仰が伸びるのと表裏一体なわけかな。
読了日:1月22日 著者:島田裕巳
憲法学のフロンティア (岩波人文書セレクション)憲法学のフロンティア (岩波人文書セレクション)感想
木村草太さんがラジオですすめていて読んだのだが、はからずも放送業界、なかんずくCATV業界の人にとって参考になる本になっていた。ちなみに9条の話は全く出てこない。
前半は立憲主義の様々な重要概念(政教分離など)を巡る論考で、広く通用する憲法解釈の視座を確認できる。後半はプライバシー権からメディアの自由を巡る論考。最終章は米国CATVのマストキャリー規制等とメディアの自由を扱ったもので、前提とされてる判例などもあり一読しただけでは分かりにくかったが、他章は論旨明快。章間コラムはハイブローながらかなり笑えるw
読了日:1月18日 著者:長谷部恭男
桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫)桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫)感想
衝撃的な書「殺人者はそこにいる‐隠蔽された北関東少女連続殺人事件」に続いて読んだ清水潔のルポルタージュ、と言うか、これはもうジャーナリズムを越え、捜査報告となっている。問題はここで描かれる警察の徹底的な組織防衛が、一取材者である筆者を犯罪捜査の領域まで踏み込ませたという事だろう。巻を置く能わざる名著。
読了日:1月17日 著者:清水潔
殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件感想
一気に読了。栃木・群馬県境で相次いで発生した幼児殺人、誘拐事件を追った記者が、警察が追い逮捕・有罪判決を得た容疑者とは別の真犯人の存在に気付く。警察は最先端のDNA型鑑定による有罪は絶対に覆せないとして却下するが、記者は検察証拠の能力に疑問を抱き徹底検証、ついに鑑定の穴を暴き再審無罪を勝ち取るが、司法はこれまでの鑑定による有罪判決が覆る事を恐れたか一向に真犯人逮捕には動かない…。この隠蔽は今野敏の小説ではなく「事実」であり、無罪となった容疑者は足利事件の菅家さんの事。必読、目撃すべきジャーナリズムの書。
読了日:1月14日 著者:清水潔
歪笑小説 (集英社文庫)歪笑小説 (集英社文庫)感想
「東野作品は手当たり次第に読んでいるが、時にはこうした軽い味わいの作品も悪くない。このような書き分けも難なくこなしながら皮肉を込められるのは流石である」などと思うほど、熱心な東野圭吾の読者ではないため、単に「軽っッッるい小説だなオイ~」と思っただけなのであった…www エピローグがわりに登場人物となった作家たちの文庫案内がついていて、刊行情報自体が後日譚になっているのはなかなか気の利いた仕掛け。
読了日:1月12日 著者:東野圭吾
デモクラティア 1 (ビッグコミックス)デモクラティア 1 (ビッグコミックス)感想
P2Pで展開するソーシャルネットワーキングサービス上で形成される集合知により、一体のアンドロイドが操作され、ヒトとしてのパーソナリティを獲得していくサスペンス。巧妙に設計された多数決システムが、サービスに参加する個々のユーザの思いを反映しながら駆動し、アンドロイドの行動や「判断」を左右していくストーリーは非常に面白い。続巻の展開に期待大!
読了日:1月6日 著者:間瀬元朗
風雲児たち 幕末編 23 (SPコミックス)風雲児たち 幕末編 23 (SPコミックス)感想
最新刊出た!!本巻の見どころは新門の辰五郎親分と勝海舟の交流かな。ブキャナン米大統領が迫りくる内戦への注目を逸らそうと遣米使節団歓待に精を出したが、それは南北戦争勃発の遠因でもあったのではないか…という新説が説かれる。全国民必読歴史エンタテインメント漫画の面目躍如。
読了日:1月6日 著者:みなもと太郎
補助隊モズクス 2 (ビームコミックス)補助隊モズクス 2 (ビームコミックス)感想
短編集「野ばら」がとても良かった高田築の長編1、2巻を通読。今作も絵、キャラクターともに非常に質高く、うますぎるゆえの批判とか浴びちゃうんでは、と心配になるレベルでうまい。浅野いにおとか好きだけどこじらせてるわけじゃない、みたいな自己認識の人はハマるタイプのマンガではなかろうか(←何を言わんととているのか分かりにくい評)
読了日:1月5日 著者:高田築
補助隊モズクス 1 (ビームコミックス)補助隊モズクス 1 (ビームコミックス)
読了日:1月5日 著者:高田築
部下を持ったら必ず読む 「任せ方」の教科書  「プレーイング・マネージャー」になってはいけない (ノンフィクション単行本)部下を持ったら必ず読む 「任せ方」の教科書 「プレーイング・マネージャー」になってはいけない (ノンフィクション単行本)感想
「ビジネス書より古典読む方が役立つ」という発言(うろ覚え)だけでも信頼に足る、ライフネット生命会長出口さんによるリーダー論。これが一つの良識としてベース化され構築されていたらいろんな組織の風通しが良くなるだろうと思われる権限移譲の考え方が開陳されている。仰天するような逆転の発想とか、習慣化するだけでビジネスが回り始めるビタミン剤感はない。が良識とは本来そういうものだろう。自分の目線からそれがどういう風に映るか、自分との距離感はどのくらいかを思考するタネとなるのが良識の機能。その役割は十分担える一冊。
読了日:1月3日 著者:出口治明
統合失調症がやってきた統合失調症がやってきた感想
「人生は謳歌すべきだとぼくは思う。自分がやりたいようにトライしてみる。失敗は当たり前だし、くよくよもするが、諦めたらそこですべてが終わってしまう。」一世を風靡したお笑いコンビ松本ハウスのハウス加賀谷は、幼少時から悩まされてきた統合失調症との闘いに破れ、引退し一度は閉鎖病棟に入る…彼の幼少時から2009年にコンビ復活を遂げるまでの、文字通り魂の記録。統合失調症という病の凄絶さ、相方松本キックの絶妙の距離感とサポートぶりなどが胸に迫る。泣かせに走ることなく冷静な事実描写と笑いさえ織り交ぜられた必読の小著。
読了日:1月1日 著者:ハウス加賀谷,松本キック

読書メーター

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