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« 2013年12月1日 - 2013年12月7日 | トップページ | 2014年1月26日 - 2014年2月1日 »

1月 01, 2014

2013年読書まとめ&ベスト(読書メーター感想再掲)

2013年の読書まとめ&ベストを感想つきで再掲。

【BEST 1】「HHhH プラハ、1942年」ローラン・ビネ[東京創元社]


本の半ばあたりで、この本をいずれ読み終わることが惜しくてたまらなくなる。1942年、ナチスのチェコ総督でありユダヤ人絶滅計画の責任者である「金髪の野獣」ラインハルト・ハイドリヒに企てられた暗殺作戦の史実を「歴史を小説として語ることは許されるのか?」という文学的課題との格闘を織り交ぜつつ語り起こす、圧倒的な歴史小説/純文学/リーダビリティに優れた読み物である一冊。ナチの狂気、レジスタンスの誇り高い闘い、プラハの美しさ、名もなきチェコの民衆の勇気と悲劇…全てが読み手の興奮を惹起しながら怒涛の終幕へと誘うのだ。

【BEST 2】「謎の独立国家ソマリランド」高野秀行[本の雑誌社]


「ソマリ人の海外居住者」を自任する著者による、滅法面白いノンフィクション。海外からは戦乱と海賊と混沌の極みとしか見えぬソマリア北部に複数政党民主制をもつ平和な独立国家が突如登場した不可思議を、遊牧民ソマリ人の奥深い氏族と掟の仕組み・応仁の乱や戦国大名に比すべき群雄割拠状況に身一つで飛び込んで読み解いていく過程は、本を置く能わざる興奮を与えてくれる。ケニアのソマリ人難民キャンプに潜入し、難民たちは『別に悲惨ではない』と感じたというあたり圧巻。エッと思う話だが、ぜひ本書を読んで文脈に触れてほしい知見である。

【BEST 3】「わが盲想」モハメド・オマル・アブディン[ポプラ社]


「異国トーキョー漂流記」を読んだ人なら誰でも、巻末に登場する盲目のスーダン人にして快活な広島カープ大好き青年に好感を持たぬ人はいないであろう。彼が自ら書き下ろした最高にキュートでたくましい自伝エッセイがこの本だ。一読、日本人でもここまでしなやかな日本語文章力を備えた人はなかなかいないぞ、と驚かされる。初めて食べた和カレーライスの感動、ステイ先で覚えたおやじギャグが日本語通暁のきっかけになった話、独裁政権の中で育ったスーダン人ならではの日本社会批評などのエピソードが、青春の煌めきを携え胸に迫る。圧倒的名著!

【BEST 4】「空飛ぶタイヤ」(上) (下)池井戸潤[講談社文庫]

半沢直樹シリーズの十倍くらい素晴らしい。実在の巨大財閥グループの一角をなす自動車会社のリコール隠し問題を題材とし、いわれなき嫌疑をかけられた運送会社の経営者が、責任逃れに終始する大財閥グループと真っ向勝負するストーリー。大企業がもつ組織内論理が中の人たちの思いを押し潰していく過程を描いてきた作者だが、本作では、社外である顧客企業経営者の視点から、社会全体を含む実に裾野の広い群像劇を提示している。取澄まし顔の組織人たちが包囲する網の目の前に立つ主人公の、迷いながらも誇りに満ちた姿には涙を絞られる。傑作。


【BEST 5】「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」加藤陽子[朝日出版社]

圧倒的に面白い「日本現代史講義の生中継」。近衛文麿のブレーンの一人が日中戦争を「一種の討匪戦」と読んでいた記録をタネとし現代の対テロ戦争と日中戦争を比較する視座を皮切りに、昭和陸軍が彼らの兵力供給源である農村に活力を与えるべく、当時の政党よりもよほど社会福祉に寄り添った政策を推し進める政治勢力であったことなど、歴史学とはこうもイノベーティブであり得るのか!とその面白さに驚かされる。日清戦争から太平洋戦までに至る日本国家の選択についての本は死ぬほど出てるが、これほど明快で知的刺激に満ちた書はないのでは。必読

BEST1のHHhHについては散々書いた。伊藤聡と出口治明という、ブログ界とビジネス界に名だたる読書家が揃って激しく推してる時点で、本棚にある他の小説を全部ブックオフに売ってでも読むべき必読小説という事は伝わるであろう。BEST2と3はいずれも今更私にきた高野秀行ブームの始点と終点。トム・ハンクスの映画もあったがソマリには今後も注目したい。アブディンさんの今後の活躍にも。BEST4は半沢直樹入りで読み始めた池井戸潤だが、非銀行モノかつ財閥(と言うか大企業批判かな)批判モノのこれが一番面白かった。BEST5は言うまでもない名著。

以下、順不同で面白かった5冊など。

「カクレキリシタン オラショー魂の通奏低音」宮崎賢太郎[長崎新聞社]

五島や平戸など長崎県下で、潜伏キリシタン時代から続く信仰を21世紀の今でも守っている人々がいる。仏教や神道、祖先崇拝と混淆し、もとのカトリックとは大きく異なる土俗信仰となっているこの「カクレキリシタン」信仰を追う書。サンジュワン様などの殉教者信仰や、仏式の葬式をあげつつ並行して唱えられる「経消しのオラショ」などの独特の様式(信仰者自身に自覚されていないのがまた面白い)を持つ一方で、カクレの信徒であると同時に仏教徒である事に矛盾がないという極めて日本的な宗教心の在り様は、とても刺激的で考えさせられるものだ。

「憲法の創造力」木村草太[NHK出版新書]

気鋭の憲法学者による、分かりやすく、また楽しい憲法論。読んで思うのは、憲法というのは強いメッセージ性をもったものなんだな、ということ。最高法規というよりは「日本国宣言」みたいな理解をした方が分かりやすくなる。もちろん様々な法律を取りまとめる法体系の中では根っこの機能を持つものなのだろうけど、それはあくまで運用上の話で、私たちが憲法を参照するときは「それに乗ってさえいれば怒られることはない決まりごと」の親玉ではなく、日本国民はこういう社会を造る!宣言として、そのメッセージを読み取る姿勢で接すべきなのだろう。

「アジア新聞屋台村」高野秀行[集英社文庫]

台湾人・タイ人・インドネシア人…アジア中から日本に集うアジア系在日外国人向け新聞を一社で発刊する新聞社エイジアン。編集顧問としてこの新聞社に通うことになった若き日の高野秀行が、その無節操としか思えぬ経営方針やカオスな編集体制に呆れかえり、何とか変えようと奮闘する。デスクの朴さんとの恋愛未満のエピソードから知れる、韓国人が日本に対してもつ愛憎のプリズムのような複雑さは極めてリアルで納得性が高いし、台湾人でもこんな人いないと言われる女社長の劉さんのエキセントリックながら痛快な生き方など、読み所満載の好著

「峠 」(上巻) (中巻) (下巻) 司馬遼太郎[新潮文庫]

(上巻)1月に会津に旅行し、会津戦の歴史などに触れた後、がぜん興味が湧いたのは佐幕派として会津藩とともに戦った越後長岡藩と家老・河井継之助のことである。幕末の混乱の中で藩軍制の近代化(ガトリング砲まで装備!)を梃子に長岡の武装独立を狙ったこの異能の天才のことを新潟県民ながらほとんど知らない不明を恥じつつ手に取った一冊。上巻では大塩平八郎と同じ陽明学の徒として、実践を尊び、遊女遊びに到るまで己の行動原則に則ろうとする奇人的青年時代から、やがて藩に重く用いられるまでを描く。キャラ描写の巻ではあるがとても面白い。/(中巻)中巻の時代は継之助の家老就任から鳥羽伏見の戦い、官軍東征まで。幕府方がほぼ引き揚げた後の京に長岡藩だけで乗り込むくだり、江戸での福沢諭吉との対面など見どころ満載。/(下巻)ついに北越戦争に到る下巻。武装中立論をもって官軍と交渉する継之助は小人・岩村高俊の拒否により、戦端を開く。石原莞爾さえもがその作戦を研究したという八町沖渡河作戦など優れた軍略で山県有朋率いる薩長軍を撃破しながらも、物量の差で敗れ長岡城下は灰燼と化してしまう…。長岡を日本のスイスにしようとした継之助の武装中立論は、長岡藩の力を過大に見込み武士的美学に藩を道連れにする誇大妄想だったかもしれない。が、彼一人の構想力と行動力は驚くべきもので、仮に大藩の指導者であれば歴史はどう転んだかと空想させるに足るものがある。

「千年万年りんごの子」田中相[講談社]

(1巻)まえに読んだ「地上はポケットの中の庭」がとても素晴らしかった田中相の新作。捨て子の生まれで、青森のりんご農家に入り婿に入った主人公が、大家族の中に溶け込む過程で謎の土俗信仰に遭遇し・・・という、いっけん伝奇的ともみえる筋。しかしこの世界観に満ちているのは、伝奇というより、動植物らの織り成す自然の大いなる営為への敬慕であって、作者の卓越した植物描写がそのアミニズム的世界観の完成度を確かにしている。捨て子の境遇から人一倍良い子を演じるクセがついている主人公の言わば「反自然性」がドラマを際立たせる仕掛けも良い。/(2巻)せっ・・・切ない!涙なくしては読めない2巻ラスト。

マンガは今年初めて出会って良かった作品があまりなくて残念。田中相「千年万年りんごの子」はあえて一作挙げれば、という感じ。短編集「世界はポケットの中の庭」が素晴らしかったので、本作はそれほど充実してないかも?と最初は思っていたのだが、ホラーに落ちない伝奇っぽい感じをうまく醸し出しており、お気に入りの作品になりそうな予感あり。既刊続巻のシリーズでいま一番期待してるのはやはり花沢健吾「アイアムアヒーロー」だろうな〜。

読了は通年で107タイトル、143冊というところ。傾向でいうと年初は「八重の桜」入りからの幕末・近現代史もの、夏の映画「選挙2」と参院選以降の政治学もののブームが主な流れだった。作家では高野秀行、池井戸潤がかなり来たなという感じ。政治に関しては自分なりにテーマができたので、来年に入ってもしばらくはテーマに沿って読み継いでいきそうな感覚だ。

以下、2013年読了本の読書メーターまとめ。

2013年の読書メーター
読んだ本の数:143冊
読んだページ数:39459ページ
ナイス数:360ナイス

メリーゴーランド (新潮文庫)メリーゴーランド (新潮文庫)感想
地方都市の赤字テーマパーク再建のために奮闘する地方公務員の話。前例主義・事勿れ思想に自分でもどっぷり漬かっていると思っていた主人公が、読んでいるだけで卒倒しそうになる第三セクターの天下り重役たちとの論戦や、自治体仕事の創造性の無さにすっかり腐っていた企画会社の自称クリエイター男のなだめすかしを通して徐々に変わっていくのが読みどころ。敵となる役所や三セク連中の描写はちょっと誇張しすぎなんじゃねえのと思わせるものの、終盤の急展開も含めそれなりに読ませる。ただ短編で十分な筋かも。
読了日:12月31日 著者:荻原浩

ウヒョッ!東京都北区赤羽(2) (アクションコミックス)ウヒョッ!東京都北区赤羽(2) (アクションコミックス)感想
赤羽のカリスマ、「居酒屋ちから」マスターのその後が描かれる。一体なんなんだこの人はwwwww
読了日:12月28日 著者:清野とおる

地方から政治を変える: 未来政治塾講義II地方から政治を変える: 未来政治塾講義II
読了日:12月25日 著者:嘉田由紀子,田原総一朗,古賀茂明,辻哲夫,飯田哲也,上山信一,藻谷浩介,宮本博司

言える化 ー「ガリガリ君」の赤城乳業が躍進する秘密言える化 ー「ガリガリ君」の赤城乳業が躍進する秘密感想
この本に触れる意義は、タイトル「言える化」に触れた時点で6割がた終わってるような気がする(笑)ガリガリ君そのもののようなインパクトと説得力あるメッセージが込められたフレーズ「言える化」、これを組織作りの重要なキーワードに据えた赤木乳業の社長による小さくて強い組織構築の軌跡。「任せるしくみ」の構築、ペナルティを恐れぬ人材を作る評価の秘訣などは、この「言える化」を支える上でとても強く働いていると感じるが、組織環境により適用可否は様々ではあろう。しかしこの一語の持つ説得力は褪せない。
読了日:12月16日 著者:遠藤功

コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる (中公新書)コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる (中公新書)感想
まちづくりを考える地域住民の議論に入り、話合いを活性化させるファシリテーション、そんな仕事を「コミュニティデザイナー」として行う山崎亮氏の書。著者の講演は聞いたことがあり、面白かったけどその面白さを何につなげれば良いか具体的なイメージは描けていなかった。で、先に読んだ國分功一郎「来るべき民主主義」にこの本も出てきていて、まちづくりにおける住民の場をデザインする機能はすげえ必要だなと改めて思い読んだのだが、必要なスキルとか場を作る「手口」の具体的な開陳など、期待以上の内容だった。まちづくりに興味ある人必読。
読了日:12月15日 著者:山崎亮

来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題 (幻冬舎新書)来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題 (幻冬舎新書)感想
小平市の都道拡張計画における住民投票問題で著名な哲学者の本。地方政治において討論型世論調査や子ども投票等のツールを使い、みんなの民主主義理解をブラッシュアップすべきと個人的に考え始めた矢先に出たので思わず読んだのだが、やはり予想以上に取れ高大きかった。主権論など近代政治哲学のルーツを丁寧に説明し、現状日本で最も身近(でもなぜか遠い)な地方政治の課題と結び付ける論旨展開は超明快で納得性高い。「進め方」だけが突出し洗練された日本の政治的合意形成プロセスにはいい加減メスを入れないとマジで社会の命がヤバいと思う。
読了日:12月9日 著者:國分功一郎

闇金ウシジマくん 29 (ビッグコミックス)闇金ウシジマくん 29 (ビッグコミックス)感想
最新刊。今回は上場大会社の組織整理により「追出し部屋」に送られた同僚と、送込んだ人事部の男ら二人の人生の選択を描く。課長島耕作イントゥダークネス。面白いんだが毎度のエクストリームな暗黒ぶりは薄い。これまでの登場人物達が貧困ビジネスの罠にハマって監禁生活させられてたりしたのを想起すれば「組織から外れては生きられない」とか甘えてんなこのヌルマ湯ヤローと思われてしまう。むろん人によりアイデンティティ解体点は異なるので、追出し部屋的アイデンティティ崩壊リストラ戦術を肯定するわけではない。単純に作品内の比較の問題。
読了日:12月7日 著者:真鍋昌平

トラオ 徳田虎雄 不随の病院王 (小学館文庫)トラオ 徳田虎雄 不随の病院王 (小学館文庫)感想
'13年後半を揺るがす政治スキャンダル、徳洲会問題が立体的に読めるルポ。徳田虎雄という、まるでバルザック小説の登場人物のような怒涛のバイタリティと桁外れの非常識さを持った「怪人」が21世紀に生存し、かつ彼がその生命力を否定する究極の難病ALSに浸食されつつあるという小説的すぎる皮肉に震える。徳之島では選挙が賭博イベントと化しており、不在者投票を利用した選管ぐるみの不正を知った島民が役場を包囲するが、それは皆が選挙戦にすごい金額の賭け金を投じているため…というエクストリームな離島政治ぶりも破格に面白かった。
読了日:11月26日 著者:青木理

椿荘101号室(1) (エデンコミックス) (マッグガーデンコミックス EDENシリーズ)椿荘101号室(1) (エデンコミックス) (マッグガーデンコミックス EDENシリーズ)感想
同棲中の彼氏に振られ、あやしげな住人たちが闊歩する風呂なしアパート「椿荘」で、恐るべきまでに自己都合上等世界観に基づいた一人暮らしを始める女の子の話。まあとにかくめっちゃ絵が上手い!彼女を取り巻く住人たちもしたたか者ぞろいであり、ちょっと「ワセダ青春三畳記」のイマドキ女子版の趣きがあるマンガ。話の迷走感はすごいが、続巻も読みたい気にさせられた。
読了日:11月23日 著者:ウラモトユウコ

食の軍師(3) (ニチブンコミックス)食の軍師(3) (ニチブンコミックス)感想
3巻は都内の名店を一話ずつ巡る構成。途中にヤマサ「鮮度の一滴」のプロモ漫画とおぼしき前後編が入る(うまそうなつまみばかり…)。お店の中では「デリー」のカシミールカレー、「まるます屋」の生ゆば巻、「ベルク」の十穀米カレーがヨダレものだった(作品中では各店名はちょっとずつ変えてある)。
読了日:11月23日 著者:泉昌之

天の血脈(3) (アフタヌーンKC)天の血脈(3) (アフタヌーンKC)感想
いや~久々に面白かった。ストーリーの序盤で登場する内田良平の再登場をはじめ、大杉栄、内村鑑三、野上弥生子らが登場。主人公がうっかり乗ってしまった軍用列車で、トイレに入って伏見宮と出くわしてしまうくだりには爆笑させられた。
読了日:11月22日 著者:安彦良和

ウェブで政治を動かす! (朝日新書)ウェブで政治を動かす! (朝日新書)感想
面白かった。近代日本を一貫して流れていた行政中心の「お上/民草」の関係性が崩壊した現在、私達は民主主義とは何なのかの手応えを見つけられないままでいる一方、政治的課題は複雑化の一途で「これ代議制じゃやってけねーんじゃ」とすら思わされる昨今、本書で紹介される「政治家はメディアでなければならない」という橋本岳議員の発言は至言。TVに出られる議員が人気を獲得できる、という現状が歪んだ構造であるのは明らか。政治家がメディア化し、主権者がそのメディアにオープンに関われる様なプラットフォームの創造は焦眉の課題といえる。
読了日:11月19日 著者:津田大介

バレンツ海海戦 (ハヤカワ文庫 NF 73)バレンツ海海戦 (ハヤカワ文庫 NF 73)感想
イギリス海洋冒険小説の古典「女王陛下のユリシーズ号」の下敷きとなった、WWIIのソ連援助物資輸送船団および英護衛艦隊 VS 重巡アドミラル・ヒッパーとポケット戦艦リュッツォウら強力なドイツ艦隊との海戦を追ったノンフィクション。北極海の極限状況は戦闘でなくとも十分に驚異的である(発砲で熱せられた艦砲の砲身が即座に凍りつき、沈没艦から脱出した水兵が飛び込む海水温は零度!)うえに、猛吹雪と消えつつある薄明の中での砲撃戦…何たる逆境だ!唖然とするような事実の醸し出す緊迫感に溢れた一冊。前置きがちょっと長いけど…
読了日:11月14日 著者:ダドリー・ポープ

カクレキリシタン オラショ−魂の通奏低音カクレキリシタン オラショ−魂の通奏低音感想
五島や平戸など長崎県下で、潜伏キリシタン時代から続く信仰を21世紀の今でも守っている人々がいる。仏教や神道、祖先崇拝と混淆し、もとのカトリックとは大きく異なる土俗信仰となっているこの「カクレキリシタン」信仰を追う書。サンジュワン様などの殉教者信仰や、仏式の葬式をあげつつ並行して唱えられる「経消しのオラショ」などの独特の様式(信仰者自身に自覚されていないのがまた面白い)を持つ一方で、カクレの信徒であると同時に仏教徒である事に矛盾がないという極めて日本的な宗教心の在り様は、とても刺激的で考えさせられるものだ。
読了日:11月8日 著者:宮崎賢太郎

密約―外務省機密漏洩事件 (岩波現代文庫)密約―外務省機密漏洩事件 (岩波現代文庫)感想
沖縄返還にあたり米国の支払うべき補償金を日本が密かに肩代わりするという密約につき、記者が不倫関係にあった外務省職員から情報を得て報道と国会審議に供した事件を追うルポ。主権者=国民への行政的偽装という論点を下半身問題にすり替えて有罪にしようと必死な政権・検察の姿勢、「報道の自由は憲法が保障する表現の自由のうちで特に重要」とか言っときながら検察姿勢の全面容認に至った最高裁の判断はいずれも唾棄すべきものである。控訴審に立った記者らの証言に「大本営発表を繰り返してはならない」という思いが刻印されているのが印象的。
読了日:11月5日 著者:澤地久枝

アイアムアヒーロー 13 (ビッグコミックス)アイアムアヒーロー 13 (ビッグコミックス)感想
いきなりフランス語のネームなのでびっくりしたw あの背後がちょっと透けている怪物は一体なんなのであろう・・・そしてスティーブン・キングの「セル」を思わせるような、比呂美ちゃんの感染中に感じた一体感の記憶が何のカギになるのか・・・。おいおい13巻まできてさらに面白くなるのかよ。
読了日:11月4日 著者:花沢健吾

HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)感想
本の半ばあたりで、この本をいずれ読み終わることが惜しくてたまらなくなる。1942年、ナチスのチェコ総督でありユダヤ人絶滅計画の責任者である「金髪の野獣」ラインハルト・ハイドリヒに企てられた暗殺作戦の史実を「歴史を小説として語ることは許されるのか?」という文学的課題との格闘を織り交ぜつつ語り起こす、圧倒的な歴史小説/純文学/リーダビリティに優れた読み物である一冊。ナチの狂気、レジスタンスの誇り高い闘い、プラハの美しさ、名もなきチェコの民衆の勇気と悲劇…全てが読み手の興奮を惹起しながら怒涛の終幕へと誘うのだ。
読了日:11月1日 著者:ローラン・ビネ

事変―リットン報告書ヲ奪取セヨ (角川文庫)事変―リットン報告書ヲ奪取セヨ (角川文庫)感想
満州事変を機に権力拡大へひた走る関東軍に危機感を覚え、密かに関東軍解体を狙う松岡洋右が、事変に関するリットン調査団報告書を連盟報告前に入手すべく特殊作戦に着手。その作戦とは、東京随一のスリ集団「巾着屋一家」選りすぐりのプロ集団を満州に派遣し、リットン調査団の報告書を気付かれぬうちに盗み・写し・戻すという泥棒作戦だった…!前半、松岡洋右を主人公とした謀略小説かと思うと後半はスパイサスペンスとなる。奪取シーンは白熱のデキで、映像化を見たいくらい。全体面白かったが幕引きの呆気なさは残念。まあ史実があるからなあ。
読了日:10月27日 著者:池宮彰一郎

サン・カルロの対決 (集英社文庫)サン・カルロの対決 (集英社文庫)感想
傑作「燃える男」のA・J・クィネルによる冒険小説。共産革命に揺れる中南米の架空の国サン・カルロを舞台とし、キューバから派遣された情報局長官と当地のアメリカ大使の対決、大使救出作戦を立案する黒人大佐の活躍を描くという話だが、特殊部隊による軍事作戦が主軸なのかと思って読み進めた読者の期待は、良い意味で裏切られる。じつは人質となった大使と尋問官との、一切血なまぐさいところのないディベート対決こそがこの小説のキモなのであり、言わば「精神的冒険小説」ともいうべき独自の世界が開陳されている。冒険小説ファン必読の一冊。
読了日:10月25日 著者:A・J・クィネル

かばん屋の相続 (文春文庫)かばん屋の相続 (文春文庫)感想
池井戸潤の銀行モノ。はじめて読む場合はどうか分からないが、ちょっと最近読みすぎてて飽きてきた感あり。熟年女性経営者とそれを見つめる新米銀行員の話がいちばんよかった。表題作は、もう少し信用金庫マンと元都市銀マンの意地のぶつかりを書き込んでもらえれば及第点なのだが…。
読了日:10月23日 著者:池井戸潤

新装版 銀行総務特命 (講談社文庫)新装版 銀行総務特命 (講談社文庫)感想
安定の短編連作。最後の一編はちょっとお預け感あり。
読了日:10月19日 著者:池井戸潤

暴雪圏暴雪圏感想
「制服捜査」の続編。これも面白かった。
読了日:10月14日 著者:佐々木譲

制服捜査 (新潮文庫)制服捜査 (新潮文庫)感想
これは相当面白い。佐々木譲の本領発揮。北海道釧路方面志茂別駐在所の駐在警官である主人公が、地域で発生する事件の背後に広がる有力者たちのつながり、北海道警の裏金事件に端を発する人事制度の急所に衝突する。
読了日:10月13日 著者:佐々木譲

鉄の骨 (講談社文庫)鉄の骨 (講談社文庫)感想
中堅ゼネコンの若手社員を主人公に置き、建設業界の談合を描く企業小説。東京地検特捜部による談合罪捜査というミステリ要素もあるにはあるが、どちらかというと若き主人公の成長を描く青春ストーリーになっている。地味ながら良い読後感の一冊。
読了日:10月6日 著者:池井戸潤

歌舞伎町セブン (中公文庫)歌舞伎町セブン (中公文庫)感想
「ジウ」「国境事変」の東警部補は出てくるには出てくるが、まー出てくるだけと言ってよい感じ。あと、まあもう一人あの人はひょっとして…というほのめかしはあるものの、基本的にはこれまでの作品との関連性は低い。読みやすいが登場人物のキャラクターが薄く、誉田作品としては凡作と思う。
読了日:10月4日 著者:誉田哲也

空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)感想
半沢直樹シリーズの十倍くらい素晴らしい。実在の巨大財閥グループの一角をなす自動車会社のリコール隠し問題を題材とし、いわれなき嫌疑をかけられた運送会社の経営者が、責任逃れに終始する大財閥グループと真っ向勝負するストーリー。大企業がもつ組織内論理が中の人たちの思いを押し潰していく過程を描いてきた作者だが、本作では、社外である顧客企業経営者の視点から、社会全体を含む実に裾野の広い群像劇を提示している。取澄まし顔の組織人たちが包囲する網の目の前に立つ主人公の、迷いながらも誇りに満ちた姿には涙を絞られる。傑作。
読了日:10月3日 著者:池井戸潤

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)感想
これは相当傑作かもしれん。下巻に全速前進。
読了日:10月2日 著者:池井戸潤

頭取無惨 (講談社文庫)頭取無惨 (講談社文庫)感想
池井戸潤以外の銀行モノも読んでみよう、と手に取った短編集。ミステリ性の高い池井戸作品と比べるとこちらはよりベタな企業小説という感じ。本店総務部で総会屋対策を30年行った男、取締役昇格を半ば諦めていた支店長、金融庁検査をきっかけに銀行からファンドに転身した男など、主役の役回りは多彩ながら、何だかこう、他人のグチを聞かされているような感が。ただの会社員の身上話に留まらず、そこからどうエンタメに繋げていけるのかが、企業小説の難しいところなのかもしれない。
読了日:9月29日 著者:江上剛

ハング (中公文庫)ハング (中公文庫)感想
誉田哲也の警察小説中もっともハード、という売り文句に魅力を感じて読んだが、緻密さよりも大胆な筋はこびがこの作家の持ち味と理解してはいても、ちょっと雑な感じは否めない。星2.9くらい。
読了日:9月29日 著者:誉田哲也

オンリィ・イエスタデイオンリィ・イエスタデイ感想
ひさびさのシミタツ。カバーには「恋愛長編」とあり、たしかに冒頭の「女を拾った」展開からこれが恋愛にいくのかな、と思っていたが、フタを開けてみればやはり志水辰夫らしい骨太の冒険小説なのであった・・・。主人公の役割設定が新しいといえば新しいともいえるが、内面に「過去を断ち切る」とか「断ち切らない」とかのお抱えものがあるあたりはシミタツ冒険小説の主人公としてはむしろお馴染みのパーソナリティなのでは?とも思える。名作・傑作揃いのこの著者の作品としては正直ちょっと落ちる印象。
読了日:9月28日 著者:志水辰夫

仇敵 (講談社文庫)仇敵 (講談社文庫)感想
地銀の雑務をこなす庶務行員を主人公に、大手都市銀幹部による不正と闘う短編連作。主人公はかつて大手都市銀の企画部次長でありながら幹部行員の罠に落ち主流から追放された過去を持っているが、あたかも用務員さんのような生活の中に安住の地を見出している。そんな主人公が拠点とする畳敷きの庶務員室に「どうも困ったことが・・・」と、地銀の新人行員がちょくちょく相談にやってくる。主人公は新人行員の見せる書類と数字を拾いトラブルを解決していく。安楽椅子探偵的な謎解きから大がかりな陰謀との闘いにつなげていく構成が巧み。面白かった
読了日:9月27日 著者:池井戸潤

シャイロックの子供たちシャイロックの子供たち感想
それぞれ主人公を異にする都市銀行地域支店の内幕モノ短編連作集と思って読み進めていくと、徐々に一つ一つの話が繋がり、東京第一銀行長原支店をめぐる群像長編の体をなすという、なかなか構成の巧みなミステリ。銀行がゴミを捨てずに一週間とっておく話はこの前に読んだ「不祥事」でも出てきたが、はたしてこれの後で今読んでいる「仇敵」にも登場。紛失事件にともなうゴミ漁りは、よほど作者の心をとらえるモティーフなのであろうw
読了日:9月26日 著者:池井戸潤

新装版 不祥事 (講談社文庫)新装版 不祥事 (講談社文庫)感想
銀行各支店の窓口業務の品質管理のために派遣される臨店チームの奮闘を描く短編集。女・半沢直樹といってよい剛毅ヒロイン花咲舞と小心な上司相馬健の取り合わせはバディとして絶妙で、窓口の日常事務が主題ということもあり、より女性に共感を呼ぶ話なのではと思う。半沢直樹の次にTBSでドラマ化しても芽があるかと思う(ヒール重役が「ちょこざいな」とか言うマンガチックな感じもドラマ向き)し、もっと冒険するなら抜け抜けとライバル局でドラマ化しても面白いのではないか。その時は花咲=二階堂ふみ/相馬=堺雅人がハマリ役ではと思った。
読了日:9月25日 著者:池井戸潤

ロスジェネの逆襲ロスジェネの逆襲感想
ドラマ化で大盛り上がりの池井戸潤「半沢直樹」シリーズの最新刊。ドラマではまだ描かれていない半沢の出向後のストーリーで、企業買収を巡り今度は東京中央銀行の副頭取との丁々発止のやり取りが描かれる。なかなか読ませる話ではあった。ただ、ちょっと「ロスジェネ」に向けたバブル世代半沢のエールともいうべき巻末の説明が長すぎるというか単なる説教に過ぎるかな・・・・という感があり、もしこれがドラマのシーズン2なり映画化なりで描かれるとすると、成功したドラマの致命的な弱点である「説明過多」に拍車をかけてしまいそうな気もする。
読了日:9月25日 著者:池井戸潤

オレたち花のバブル組オレたち花のバブル組
読了日:9月23日 著者:池井戸潤

オレたちバブル入行組オレたちバブル入行組感想
大人気のドラマ「半沢直樹」原作。債権回収の攻防を描く筋は面白いは面白いんだが、真綿で首を絞めるように支店長を追い詰めていくのを明らかに楽しんでる主人公に、このヒト陰湿すぎやしないかと抵抗感を感じたのも事実。偽名メール攻撃で勝手に妻の名前を利用し「妻へのちょっとした意趣返しだ!」(こんなセリフないけど)とか思っているあたりも、単純な反権力ヒーローというよりはむしろセコい人物造形になっているような。このへんも含めて銀行員の実態をリアルに描いてるんだとすれば、銀行って何というかアレな組織なんだな~と思える。
読了日:9月21日 著者:池井戸潤

「国家主権」という思想: 国際立憲主義への軌跡「国家主権」という思想: 国際立憲主義への軌跡感想
「主権国家として…」という語りをときおり見かけるが、そもそも国家主権って何よ?と思い読んだ。絶対王政における国王が「神から与えられた」って説で主権独占してた時代から説き起こし「そもそも英国以外の国は半分しか主権持ってない」空気の帝国主義時代や、戦間期、国際連盟のため国家主権は制限される説の一方で「非常時の時に権力取れる奴が主権の所有者」と説いたナチ学者シュミットの説など、主権の定義がいかに転々と変遷してきたか分る。これ別に自明じゃねえなと理解できた。各々の思想は一読だけでは消化し難いのでもう一回拾い読もう
読了日:9月18日 著者:篠田英朗
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a href="http://book.akahoshitakuya.com/b/4582851649">憲法対論―転換期を生きぬく力 (平凡社新書)憲法対論―転換期を生きぬく力 (平凡社新書)感想
憲法学の大家、奥平康弘氏と宮台真司の対談。冒頭のワールドカップ直後特有の「スポーツナショナリズムをどう見るか」という議論などは今見ると懐かしすぎて変に感心したりするがw、憲法とその憲法を形作ろうとする立憲意思の問題など、立憲主義とは何かを考える手がかりが色々含まれた対論になっている。女帝問題の検討の中で出た「天皇は日本国民なのか、天皇に基本的人権はないのか、ないなら違憲なのではないか」というのはけっこう深い問題で、おお女帝問題にはこんな視座があったのか、と今更で恥ずかしながら面白かった。
読了日:8月27日 著者:奥平康弘,宮台真司

はだしのゲン 7はだしのゲン 7感想
Kindle版にて全巻読了。第2部以降は初めて読んだのだが、確かに、少年ジャンプ連載終了後の話…共産党や日教組の雑誌に連載された第2部は、所々イデオロギー感が前面に出ていて、マンガ表現としての結晶度は落ちる部分もなしではない。しかし「卑怯者の気持を捨てられない自分が悔しい」と泣く被曝者の看板屋黒崎や、マドンナ光子とその軍国父親とのストーリーなど、ゲンの敵にまわった人々の横顔にも重層的な人間性と広島の怨念を描きこもうとしていく筆致は、イデオロギー漫画などと両断できるような薄っぺらいものでは決してない。名作。
読了日:8月24日 著者:中沢啓治

はだしのゲン (6) (中公文庫―コミック版)はだしのゲン (6) (中公文庫―コミック版)
読了日:8月24日 著者:中沢啓治

はだしのゲン (5) (中公文庫―コミック版)はだしのゲン (5) (中公文庫―コミック版)
読了日:8月24日 著者:中沢啓治

はだしのゲン (4) (中公文庫―コミック版)はだしのゲン (4) (中公文庫―コミック版)
読了日:8月24日 著者:中沢啓治

はだしのゲン 3はだしのゲン 3感想
第一部のラスト。ゲンの小さな妹を家族を失った被曝者たちが、赤ちゃんをさらってみんなの「姫」として共有しようとする疑似家族的・白雪姫的被曝者たちのコミュニティの話がとても印象的。
読了日:8月22日 著者:中沢啓治

はだしのゲン 2はだしのゲン 2感想
地獄めぐりとしか言いようのない原爆投下直後の広島でのゲンの彷徨もさることながら、被爆でヤケドだらけになったことで「ピカが移る」などと座敷に押し込められて生きている絵描き・政二さんのエピソードがズシンとくる。射撃練習場で次々と焼かれていく死者をみて「これをわしの最後の作品にするんじゃ!」と、両腕を失った政二さんは口に絵筆を加えて死体の山に這いよっていく。この怒りは、デビュー後しばらく被曝者差別を恐れて広島出身であることを周囲にかくしていたという作者の投影でもあるのだろう。
読了日:8月22日 著者:中沢啓治

はだしのゲン 1はだしのゲン 1感想
Kindle版で。ゲンのナイスガイぶりと父・中岡大吉のアツさに惚れこんだところで原爆投下。広島で中岡一家のストーリーが語られる狭間に、原爆実験やエノラ・ゲイ号の離着陸訓練などのシークエンスが挿入され、破壊への足音が一歩ずつ聞こえてくるかのような構成が巧み。
読了日:8月22日 著者:中沢啓治

世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR (角川文庫)世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR (角川文庫)感想
読んで芝浦の「お肉の情報館」が見たくなったし、屠場見学できればしたいなあと思った、破格に面白い世界各国の屠畜と食肉の現場密着レポート。
「縄で固定したラクダの首元に、がーんと刃を打ち込むと、ドシューと血を出しながらラクダが前のめりに倒れる。もうド迫力。」(カイロのラクダ屠畜)
みたいなビビッドな文体にのせ、屠畜という労働への観念、各国の食肉文化の位置づけの違いまでずずずいっとスケッチがおよぶ。BSE対策をめぐる日米の考え方の差異から、宇宙的にブッ飛んだインドの屠畜環境まで興味つきせぬ470ページ。
読了日:8月17日 著者:内澤旬子

半藤一利と宮崎駿の 腰ぬけ愛国談義 (文春ジブリ文庫)半藤一利と宮崎駿の 腰ぬけ愛国談義 (文春ジブリ文庫)感想
歴史家、半藤一利と宮崎駿の、映画「風立ちぬ」をキーにした歴史・文学・環境などいろいろ放談。この二人ならではの話題の広さはさすが!漱石は「草枕」が好きという宮崎駿に半藤一利が「やっぱり漱石は前期がいいですよ」と意気投合するところからはじまり、零戦を画で描く事の難しさ、震災後の東京のどこに何があった等々の四方山話はいくら読んでも飽きることはない。タイトルに繋がる主張は声高でなく語られるが「持たざる国」日本は今後負けアリ前提で自分たちの美点を磨き生き残るしかないという内容。これは映画の主題にも繋がる話だ。
読了日:8月11日 著者:半藤一利,宮崎駿

憲法の創造力 (NHK出版新書 405)憲法の創造力 (NHK出版新書 405)感想
気鋭の憲法学者による、分かりやすく、また楽しい憲法論。読んで思うのは、憲法というのは強いメッセージ性をもったものなんだな、ということ。最高法規というよりは「日本国宣言」みたいな理解をした方が分かりやすくなる。もちろん様々な法律を取りまとめる法体系の中では根っこの機能を持つものなのだろうけど、それはあくまで運用上の話で、私たちが憲法を参照するときは「それに乗ってさえいれば怒られることはない決まりごと」の親玉ではなく、日本国民はこういう社会を造る!宣言として、そのメッセージを読み取る姿勢で接すべきなのだろう。
読了日:8月10日 著者:木村草太

金融緩和の罠 (集英社新書)金融緩和の罠 (集英社新書)
読了日:8月7日 著者:藻谷浩介,河野龍太郎,小野善康

ケッチン(15)(完) (ヤングマガジンKC)ケッチン(15)(完) (ヤングマガジンKC)感想
「赤灯えれじい」のきらたかしが綴る青春バイク漫画、完結。いや~、本当にこの作家のマンガはずっと読んでいたくなる空気感があっていい。キャラクターたちの、「あいつらどうしてるかなあ」とつい思ってしまう親近感は格別のもの。
読了日:8月7日 著者:きらたかし

ケッチン(14) (ヤングマガジンKC)ケッチン(14) (ヤングマガジンKC)
読了日:8月7日 著者:きらたかし

韓国のホンネ (竹書房新書 6)韓国のホンネ (竹書房新書 6)感想
韓国のネトウヨと言われるNGOや極右反日主義者、また在韓日本人などのインタビューを通じ、韓国人の本音を探るという趣旨の本。概ね普通の人はこうだよなという人が出てくるので「韓国は普通の国じゃない」と考えてる人が読むべき本なのだろう。歴史認識と文化受容をパッキリ分けて語れる韓国人の方が嫌韓流とか言ってる日本人より大人では、という指摘が出てくるが、これは私の感覚とも近い。ただ、純然とネット流言飛語を両国で集めれば「両方バカが多い」的結果になるような気もするが・・。
読了日:8月4日 著者:安田浩一,朴順梨

平和主義とは何か - 政治哲学で考える戦争と平和 (中公新書)平和主義とは何か - 政治哲学で考える戦争と平和 (中公新書)感想
「平和主義者は、自分の愛する人が襲われても抵抗しないとでも言うのか」といった伝統的な批判を論破することから始め、平和主義の中に含まれる様々な考え方や、それらが非平和主義に対してどう向き合うかを説く政治哲学の書。「自衛戦争」の正当性を説く正戦論、人道的軍事介入により多くの命が救われるとしても平和主義は軍事介入に反すべきか等、非平和主義との際どい論点にも切り込む。哲学書に近い書でスラスラとは読めないが、「戦争をできる国」にする動きが加速する昨今、それは本当はどういう事なのかじっくり考えるために役立つ書である。
読了日:8月4日 著者:松元雅和

ウヒョッ!東京都北区赤羽(1) (アクションコミックス)ウヒョッ!東京都北区赤羽(1) (アクションコミックス)感想
版元撤退により長らく間が空いていたが漫画アクションにて完全復活の、神的なまでの地域密着レポートギャグ漫画。人間ってこんなにすごい(そして意味不明)なんだと思えるほどの陽気かつ狂気な地域密着を実現できるのは、やはり著者の濁濁併せ呑む「ハイリスクノーリターン」の姿勢かと。赤羽セントラル病院の先代院長が故郷の山形と赤羽の路上で生涯二度もキツネに化かされるくだりには苦しくなるほど笑った。
読了日:8月1日 著者:清野とおる

カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生感想
恐怖のサブカルチャー自分探しの罠を描いたとんでもないギャグマンガ(?)短編集。「空の写真とバンプオブチキンの歌詞ばかりアップするブロガーの恋」がすごかったなあ。主人公が「火の鳥」のサルタヒコみたいな所も含めて。
読了日:8月1日 著者:渋谷直角

国防 (新潮文庫)国防 (新潮文庫)感想
イラク派遣に関する弁明等々の疑問に感じる部分は多くあるものの、全体的な主張はとてもまともな話が多い。特に印象的なのは、現代の兵器が持っている能力と、兵器運用のトレンドによって兵力のあり方は全く変わってくるので、端的に場所や予算だけみて軍事力を論じるのは空論でしかない、という主張。自衛隊は敵地攻撃兵力を全く持ってない特殊な兵力構成になっており、自衛隊を縛る法律も集団基準でなく個人ベース(「自衛官は…」で始まる)でまとめられている、この兵力の「質」の理解を抜きにして『自衛軍』化アリナシ議論はできんなと思った。
読了日:7月24日 著者:石破茂

テレビが政治をダメにした (双葉新書)テレビが政治をダメにした (双葉新書)感想
鈴木寛参議院議員候補による、政治とメディアの環境、および原発事故発生時の情報公開と報道についての検証の著。もちろん政治家による発信であるがゆえに研究に留まらないメッセージが含まれているのは勿論だが、ほとんどの分析は妥当と思う。また、2004年プロ野球再編問題から福島事故時の文科省対応に至るまで、事にあたり彼が行った判断も納得性の高いものと感じた。
読了日:7月20日 著者:鈴木寛

自民党で選挙と議員をやりました (角川SSC新書)自民党で選挙と議員をやりました (角川SSC新書)感想
映画「選挙」「選挙2」の主人公、山さんこと山内和彦前川崎市議会議員の著書。自民党落下傘候補として出馬した候補者自身からみた選挙運動の内幕(どの様なお金がかかり、それは誰が払うのかの中身等…)や、地方議員の仕事の実態、党組織との関係、僅か1年半で満期となった後、次の選挙に出馬断念したいきさつ(この部分には未だ語られてない部分があることが「選挙2」のパンフで触れられている。次の発言に注目したい)や、映画への当時の複雑な思いなども語られる。映画のファンは勿論、広く政治に興味ある人には興味深く読めるであろう好著。
読了日:7月20日 著者:山内和彦

真・政治力 (ワニブックスPLUS新書)真・政治力 (ワニブックスPLUS新書)感想
「自民党が国民の信頼を取り戻している、等とは全く言えない」と公言し続ける石破茂の現状認識と政治姿勢については評価しているので、自民側の主張も読もうかと真っ先に手に取ったのはこの書であった。だが、自分が既に評価している上記のような彼の政治姿勢について書いた本だったので、新たな知見は得られず。党改革が必要と認識したうえで、では具体的に自民党はどう変わりどう開かれたのか、それを書かないと(窓口対応が変わった話くらいじゃ…)石破さんはともかく周りの連中はどうなの、結局前に戻って調子コイてんじゃん、と思ってしまう。
読了日:7月20日 著者:石破茂

首相官邸で働いて初めてわかったこと (朝日新書)首相官邸で働いて初めてわかったこと (朝日新書)感想
破格に面白い、テレビの世界から広報審議官のポジションに飛びこんだ著者による、内側から官邸広報を見たらこんなだったよというレポート。首相の発する言葉がいかなる力学に縛られているか、矢面に立つ側から見たメディアの光景、等々を平明な言葉で語る。菅内閣〜3.11〜野田内閣のエネルギー環境戦略会議の広報までという、現在の日本にとって決定的に重要な時期の話であるため歴史的にも貴重なのではと思う。民主党政権時の話だからミンス嫌いの皆さんには抵抗感あるだろうが、広く読まれて然るべき書。
読了日:7月19日 著者:下村健一

ハッピーネガティブマリッジ4 (ヤングキングコミックス)ハッピーネガティブマリッジ4 (ヤングキングコミックス)感想
4巻でた!主人公二人とも頑張れ〜!
読了日:7月11日 著者:甘詰留太

現代日本の政策体系: 政策の模倣から創造へ (ちくま新書)現代日本の政策体系: 政策の模倣から創造へ (ちくま新書)
読了日:7月10日 著者:飯尾潤

増補 池上彰の政治の学校 (朝日新書)増補 池上彰の政治の学校 (朝日新書)感想
参院選前に安倍政権評価を加えた増補版。代議制民主主義のしくみを分りやすく解説した本で基本の確認のためにも役に立つが、一読した印象は中選挙区制→小選挙区制という政権交代の起こりやすいしくみに組み変わって以降の政党政治がいかに「政治家を育てるしくみ」を欠いた状態であるかについての問題提起だ。権力者は政治家ではなく国民であり、有権者はマシな政治家を育てるために何ができるか、という意識を持つべきだ。その切り口としての米国の大統領選挙制度の解説や高校生による模擬投票の提案といったものもあり、単なる解説書でない本。
読了日:7月10日 著者:池上彰

サルチネス(3) (ヤングマガジンコミックス)サルチネス(3) (ヤングマガジンコミックス)
読了日:7月10日 著者:古谷実

風雲児たち 幕末編 22 (SPコミックス)風雲児たち 幕末編 22 (SPコミックス)感想
桜田門外の変始末(関鉄之介はこれから)、咸臨丸のアメリカ到着が主筋。勝海舟の船酔いぶりが面白い。
読了日:7月10日 著者:みなもと太郎

それでも、日本人は「戦争」を選んだそれでも、日本人は「戦争」を選んだ感想
圧倒的に面白い「日本現代史講義の生中継」。近衛文麿のブレーンの一人が日中戦争を「一種の討匪戦」と読んでいた記録をタネとし現代の対テロ戦争と日中戦争を比較する視座を皮切りに、昭和陸軍が彼らの兵力供給源である農村に活力を与えるべく、当時の政党よりもよほど社会福祉に寄り添った政策を推し進める政治勢力であったことなど、歴史学とはこうもイノベーティブであり得るのか!とその面白さに驚かされる。日清戦争から太平洋戦までに至る日本国家の選択についての本は死ぬほど出てるが、これほど明快で知的刺激に満ちた書はないのでは。必読
読了日:7月3日 著者:加藤陽子

闇金ウシジマくん 28 (ビッグコミックス)闇金ウシジマくん 28 (ビッグコミックス)感想
北九州監禁連続殺人モチーフの話が終了。でもやっぱりこの事件はオリジナルの恐ろしさがスゴすぎるため、オリジナルを超えるまでの地獄感には至っていない(超えたら歴史上に残るトラウマ漫画として社会問題くらいになりそう)。お待たせしましたという感じの丑嶋社長の大活躍に快哉を叫べるのは嬉しい。主人公の顔が穏やかになる表現も感動的。
読了日:6月29日 著者:真鍋昌平

アイアムアヒーロー 12 (ビッグコミックス)アイアムアヒーロー 12 (ビッグコミックス)感想
クルス編の意味がようやく本筋と密に繋がり、3倍面白くなった!スゲエ!
読了日:6月29日 著者:花沢健吾

韓国 反日感情の正体 (角川oneテーマ21)韓国 反日感情の正体 (角川oneテーマ21)感想
韓国メディアに「極右」と名指される産経新聞特派員が、昼は反日夜は親日と言われる、韓国人の複雑な対日認識を説明する書。大衆には日本で思われている反日意識は殆どないが、知識人やメディアが根強く持っている「あるべきだった歴史」を希求する情緒が反日論を言挙げし、知識人主導の伝統と政府による政治利用が反日を定着させる、これによりホンネとタテマエ的な親日/反日の二重構造が現れるとする。慰安婦問題へのスタンスや所々ある挑発的表現など、ひっかかる部分もあるが嫌韓反韓におもねった所のない、右的立場からの韓国愛の書と読めた。
読了日:6月26日 著者:黒田勝弘

テルマエ・ロマエVI (ビームコミックス)テルマエ・ロマエVI (ビームコミックス)
読了日:6月26日 著者:ヤマザキマリ

「慰安婦」問題とは何だったのか―メディア・NGO・政府の功罪 (中公新書)「慰安婦」問題とは何だったのか―メディア・NGO・政府の功罪 (中公新書)感想
村山内閣時に立ち上がった慰安婦への償いを行う官民合同の「アジア女性基金」の当事者が、右派左派問わず批判されたこの基金を総括した著。償いを現実化するまでの苦闘の記録であり、自らの限界や失敗も等価に扱った、きわめて誠実な「弁明」の書であると感じた。表題にもあるメディア・NGOの役割検証は一つのテーマだが、それを超え「正義とは何か」というリベラリズムの問題をも考えさせられる。サンデル読むより深いのではないか。日本人にとって必読度の極めて高い本であることは勿論、韓国語に翻訳されて韓国でも広く読まれることを望む。
読了日:6月22日 著者:大沼保昭

現代思想入門 グローバル時代の「思想地図」はこうなっている!現代思想入門 グローバル時代の「思想地図」はこうなっている!感想
長らく積ん読状態だった、仲正昌樹らによる、フランクフルト学派からポストコロニアリズム、ネグリ+ハートまでの思想史を俯瞰的にまとめた概説書。かつて一世を風靡したフランス現代思想についてはいくらか解説書を読んだことあるが、その他の流れはあまり良くわかってないので、現代リベラリズムなど文脈を知らないあたりの論点がザッと掴めたのは便利。また、いまさらアドルノやハーバマスに興味が湧いた。ブックガイドも参考になる。
読了日:6月17日 著者:藤本一勇,清家竜介,北田暁大,毛利嘉孝

昭和元禄落語心中(4) (KCx ITAN)昭和元禄落語心中(4) (KCx ITAN)感想
待望の新刊!八雲18番の「死神」が自家薬籠中のものになった瞬間がドラマティック。
読了日:6月8日 著者:雲田はるこ

ブラック企業完全対策マニュアル (晋遊舎新書 S15)ブラック企業完全対策マニュアル (晋遊舎新書 S15)感想
大学の同期が書いた本。一読して、実用書として良く組み立てられた本と感じた。今現在は企業と闘う境遇にない自分には実用書としてどれだけ使えるかの評価はできないが、今まで知らなかった、労働三法に基づく労働者救済のための種々の制度や、紛争解決の具体的な手段とメリットデメリット、頼れる組織などが段階を追って整理されており、使い易さに配慮した構成。企業売却等で勤め先が突然ブラック化する可能性を否定できない昨今、誰もが手元に置いておいてよい書と思う。「おわりに」がアツい。一般書として読むならここから読んでも良いだろう。
読了日:6月4日 著者:古川琢也

わが盲想 (一般書)わが盲想 (一般書)感想
「異国トーキョー漂流記」を読んだ人なら誰でも、巻末に登場する盲目のスーダン人にして快活な広島カープ大好き青年に好感を持たぬ人はいないであろう。彼が自ら書き下ろした最高にキュートでたくましい自伝エッセイがこの本だ。一読、日本人でもここまでしなやかな日本語文章力を備えた人はなかなかいないぞ、と驚かされる。初めて食べた和カレーライスの感動、ステイ先で覚えたおやじギャグが日本語通暁のきっかけになった話、独裁政権の中で育ったスーダン人ならではの日本社会批評などのエピソードが、青春の煌めきを携え胸に迫る。圧倒的名著!
読了日:5月22日 著者:モハメド・オマル・アブディン

幻獣ムベンベを追え (集英社文庫)幻獣ムベンベを追え (集英社文庫)感想
辺境ライター、高野秀行氏の原点的著作。その後の著作にみられる、冷静な自己諧謔からくるユーモアや、あくまで自分のエゴを自覚しながら「異文化側」の立場に思いを馳せようとする信頼できる姿勢が早くも確立されており、怪獣探索の結果はすでに知っていたとしても、面白い読み物になっているのは流石だ。カワウソの肉を食べるにあたって「固い肉が骨にがっちりとくっついている。骨に対する肉の執着心をありありと感じる」なんてくだりの、それこそがっちりした描写力にも文学的に楽しませられる好著。巻末の宮部みゆきによる名解説文も嬉しい。
読了日:5月21日 著者:高野秀行

1666 ヴェニスからアウシュヴィッツへ ユダヤ人殉難の地で考える (学術文庫)1666 ヴェニスからアウシュヴィッツへ ユダヤ人殉難の地で考える (学術文庫)感想
ヨーロッパの反ユダヤ主義思想史の軌跡を追って、ヴェネツィアにかつてあった史上初のゲットー跡、コロンブス船団の出航とともにユダヤ人たちが全土から追放されたスペイン、そしてアウシュヴィッツへと旅する紀行文。また後半にはマルクスへの「反ユダヤ主義者」という評価の元となった著作の検証や、斎藤茂吉の滞欧記にみる茂吉のユダヤ人感(彼はヒトラーのミュンヘン一揆に接している)の分析などの論文が収められている。所々面白い指摘はあるものの思想史スケッチ的な著作で、私自身にはこの分野への興味が喚起された以上の印象はなかった。
読了日:5月18日 著者:徳永恂

六番目の小夜子 (新潮文庫)六番目の小夜子 (新潮文庫)感想
伝奇小説の名手、恩田陸の処女作で、奇妙なホラー的味わいを施した青春小説といった趣き。前に読んだほかの小説ほど面白くはないけど、この雰囲気は嫌いじゃない。
読了日:5月11日 著者:恩田陸

アルフレッド・ヒッチコック&ザ・メイキング・オブ・サイコアルフレッド・ヒッチコック&ザ・メイキング・オブ・サイコ感想
映画史に多大なる影響を及ぼした比類ないマスターピース「サイコ」が世に出た過程を、綿密な取材・資料と証言によって構成したドキュメント。練りに練られた台本、ヒッチコックの執拗なまでの観客の意識コントロールへのこだわり(音響についての指示メモ採録が圧巻!)、しばしば言われる「シャワー・シーンは実はソール・バスがつくった」説の分析、映画宣伝を決定的に変えた予告編および宣伝コピーに劇場向けに配布された『取扱い説明書』等々、多岐に渡りつつそのいちいちが興味深いエピソードが読みやすくまとめられた、ファン必読の書。
読了日:5月9日 著者:スティーブンレベロ

千年万年りんごの子(2) (KCx ITAN)千年万年りんごの子(2) (KCx ITAN)感想
せっ・・・切ない!涙なくしては読めない2巻ラスト。
読了日:5月8日 著者:田中相

ものすごくうるさくて、ありえないほど近いものすごくうるさくて、ありえないほど近い感想
オスカーの冒険は延々と終わらないいのように思え、途中何度か本を置いてしまう事もあったのだが、これは探索が終わることを恐れるオスカーの心の反映でもあったのだなと読了して思う。アルフレッド・ベスターのSFを思い起こさせるビジュアルノベルの手法は日本語訳の限界もあるのかそれほど効果的には感銘させられなかった。
読了日:5月5日 著者:ジョナサン・サフラン・フォア

西原理恵子の人生画力対決 5 (コミックス単行本)西原理恵子の人生画力対決 5 (コミックス単行本)感想
誰が凄いかって編集者の八巻さんが凄いんだな~と分かった巻。漫画界のどす黒い黒柳徹子と化した本連載の様々な差し障りを八巻さんは「会社へ行かないことで解決」(解決なのだろうか?)。そして上司にネコパンチを食らわし連載2年延長。真に受ける話ではないだろうが面白い。表紙の通りvs安彦良和が見どころの巻だが、本当のクライマックスは福本伸行だ。アトムとパーマンには本当にヤラレタ。
読了日:5月4日 著者:西原理恵子

怪しいシンドバッド (集英社文庫)怪しいシンドバッド (集英社文庫)感想
長短それぞれに面白い世界中の冒険行。ミャンマー奥地のゲリラ地帯で出会った穏和そうな中国系のおじさんが実は麻薬取引の大物だった話とか、コンゴの外務大臣を電話で怒鳴りつけた話など、とびきり面白いエピソードが詰まっているが、これまで読んだ本で何度か登場した、中国奥地に棲むUMA「野人」探索行がもっとも楽しい。何が楽しいといって筆者の中国語の恩師、獏先生の人物的破格さである。やおらトイレに入ってきては大便中の筆者に「いいウンコしてるな!」と呼びかけるシーンには全く爆笑してしまった。
読了日:5月4日 著者:高野秀行

異国トーキョー漂流記 (集英社文庫)異国トーキョー漂流記 (集英社文庫)感想
作者がアジア南米の探検を敢行するにあたり現地の言葉を学ぼうと知り合った在日外国人たち。彼らとの交流を通し異国人視点から日本を再発見する短編ノンフィクション集。コンゴ人作家が法隆寺を見て抱く感慨「我々の国にはこんなに古いものは残ってない」(それは旧宗主国が全て破壊してしまった!という嘆きを意味する)、イラク人青年が直面する戦争と独裁政権の惨禍などの切ない逸話から、スーダン人で視覚障害を持ちながら解説者並にプロ野球に詳しいマフディさんの話など、軽妙な筆致からも様々な国情と人の織り成す重層的な視野が見え面白い。
読了日:4月27日 著者:高野秀行

アジア新聞屋台村 (集英社文庫)アジア新聞屋台村 (集英社文庫)感想
台湾人・タイ人・インドネシア人…アジア中から日本に集うアジア系在日外国人向け新聞を一社で発刊する新聞社エイジアン。編集顧問としてこの新聞社に通うことになった若き日の高野秀行が、その無節操としか思えぬ経営方針やカオスな編集体制に呆れかえり、何とか変えようと奮闘する。デスクの朴さんとの恋愛未満のエピソードから知れる、韓国人が日本に対してもつ愛憎のプリズムのような複雑さは極めてリアルで納得性が高いし、台湾人でもこんな人いないと言われる女社長の劉さんのエキセントリックながら痛快な生き方など、読み所満載の好著。
読了日:4月26日 著者:高野秀行

ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)感想
作者の早稲田在住時代を材にした3作品を一気読み。私好みなのは「アジア新聞屋台村」>「異国トーキョー漂流記」>世評高い本作という感。東京の中の異文化・蛮人達を抱擁するワセダという場へのノスタルジーを前提的に持って読む人が多いのではないか。奇人・奇行に満ちた青春記という点では「どくとるマンボウ青春記」に登場する旧制高校の神話的奇人たちに比べると野々村荘の住人たちは小粒で、ホームドラマ枠の感。どちらかというと後半の展開〜主人公が運命的女性の遠心力に引っ張られるようにワセダという場の呪縛から卒業する展開が面白い。
読了日:4月26日 著者:高野秀行

天の血脈(2) (アフタヌーンKC)天の血脈(2) (アフタヌーンKC)
読了日:4月26日 著者:安彦良和

ケッチン(13) (ヤングマガジンコミックス)ケッチン(13) (ヤングマガジンコミックス)
読了日:4月26日 著者:きらたかし

ケッチン(12) (ヤングマガジンコミックス)ケッチン(12) (ヤングマガジンコミックス)
読了日:4月26日 著者:きらたかし

怪獣記 (講談社文庫)怪獣記 (講談社文庫)感想
高野秀行、トルコ東部の湖で、ついにUMAをその眼で目撃!さらにビデオで撮影!…した途端、「ただの藻じゃないのか?」といった冷たい視線に取り囲まれ、今まで自分が疑いの目を向けてきたUMA目撃者たちと同じ気分を味わう羽目になる、珍探検記。水棲怪獣の目撃談に富むワン湖のクルド人たちの豊かな食文化レポート、クルドといえば…と安彦良和がかつてクルド独立運動を材に書いたマンガ「クルドの星」を再読したらいきなり冒頭でワン湖が出ていて驚いた。UMA顛末よりも当地の人々の文化・習俗こそが味になっているあたり、これぞ高野節。
読了日:4月15日 著者:高野秀行

辺境中毒! (集英社文庫)辺境中毒! (集英社文庫)感想
「アヘン王国潜入記」の後日談、ワ州を去りミャンマーから出国する顛末を書いた「アヘン王国脱出記」を読みたくて買った。これも面白いし、他に収められているゾウ使役者間の国境を超えた共通語を探ろうとする試みの面白さ、「世界屠畜紀行」の著者内澤旬子との対談から読み取れる著者の「自分は何を知りたいのか」という問いも面白い。いわば『高野秀行が今何を知りたいと思っているか』自体がエンターテイメントになり得るのだった。
読了日:4月13日 著者:高野秀行

Amazonの3.11─電子書籍オリジナル─ (角川書店単行本)Amazonの3.11─電子書籍オリジナル─ (角川書店単行本)感想
ネットを経由した被災地支援の手法の中で注目を集めた、Amazon「ほしい物リスト」を使った支援物資の需要・供給のマッチング。その仕組み作りに、社員達の知られざる努力があった。ネット環境の復旧まだき被災地へ電話をかけ要望を聞取り、要望を具体的商品や数量データへ落し込みリストへ作り込む。幾つもの避難所での効果がTwitterで広まり、自治体等による活用が始まる…。これは業界に脅威を振りまく流通のガリバーが一端だけ見せる美談なのかもしれない。が、美談一つ持たぬ巨人などあまたいる中、この事績はやはり貴重と思った。
読了日:4月9日 著者:星政明

オウム帝国の正体 (新潮文庫)オウム帝国の正体 (新潮文庫)感想
教祖逮捕後のオウム教団の動静、国松長官狙撃事件や村井秀夫刺殺事件などの未解決事件の内幕を調査する中で浮かび上がるロシア、北朝鮮、暴力団の関与疑惑と利権の根の存在を告発するルポ。村井秀夫刺殺犯の極めて複雑なバックグラウンドなど、なかなかに不気味。
読了日:4月8日 著者:一橋文哉

もやしもん(12) (イブニングKC)もやしもん(12) (イブニングKC)感想
ああ 大人って 何なんだろう、私は どうして 大人になるんだろう…という極めて王道に青春テーマの「もやしもん」最新巻。今どき有り得ないほどに青春迷走する女子高生の登場により、まったり登場人物たちがガクガクにシェイクされる本巻は、実をいうと昨今の展開に退屈していた自分が久しぶりに本作を面白いと思った巻なのでありました。オリゼーが合体して沢木に先輩ヅラしてくるギャグなど、菌たちの活躍も微笑ましい。
読了日:4月6日 著者:石川雅之

怪魚ウモッカ格闘記 インドへの道 (集英社文庫)怪魚ウモッカ格闘記 インドへの道 (集英社文庫)感想
直前に読んだ「西南シルクロードは密林に消える」で、国境潜行の果てに辿り着いたカルカッタの日本領事館より「あなた、とんでもない事をやらかしてるよ!三国の主権を踏みにじる大犯罪だ!」と叫ばれ日本に強制送還された高野秀行が、実在が確認されれば大発見と言われるUMA、ウモッカを捕獲すべくインドを再訪する。そこに立ちはだかったものは・・。インド政府をだまくらかすべく偽装離婚まで目論む著者の試行錯誤と、ただのお手伝いのはずが期せずして単独先行調査隊と化した友人キタの飄々とした佇まいの対比が実にオカしい好著。
読了日:4月4日 著者:高野秀行

西南シルクロードは密林に消える (講談社文庫)西南シルクロードは密林に消える (講談社文庫)感想
最古の交易路「西南シルクロード」を陸路踏破すべく、四川からミャンマー奥地のを経由してカルカッタに至る潜行記。カチン人、ナガ人といった少数民族ゲリラたちの助けを借り、現代とはとても思えぬ土地土地を巡る(二車線の道路を牛車が行き交う「都会」が21世紀に存在するとは!)。著者のミャンマーもの三冊めだが、この本も期待を違えず圧倒的だった。
読了日:4月2日 著者:高野秀行

ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫)ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫)感想
「アヘン王国潜入記」でミャンマー少数民族地帯をルポした作者が、今度は船戸与一の取材同行者として、軍情報部のガイドのもとミャンマー各地を探訪。戦々兢々の作者の前に現れたのは「軍情報部」という厳めしい響きとはかけ離れた抜け作だった!作者は政府=徳川幕府、こいつら=柳生一族という見たてを考案。これが国家というものへの認識が揺らぐミャンマーの複雑な情勢をスッキリ説明できる名解説だ。無造作すぎる船戸与一と抜けてる柳生との対比が面白い。船戸与一が「アメリカ、マザーファッカー!」と叫んで柳生が大喝采するシーンは爆笑。
読了日:3月31日 著者:高野秀行

琳派のデザイン学 (NHKブックス No.1202)琳派のデザイン学 (NHKブックス No.1202)感想
この本で言いたいことをまとめると「琳派の非対称の美学はジャポニスムの根本/西洋美術の行き詰まりを打破した第一の要因はジャポニズムであり琳派/日本美術の要を生活芸術と評した西洋人の評価は負け惜しみ/琳派の美学を生んだのは日本人の伝統的な自然観/日本人はこれをもっと誇るべき」てなことだが、驚くべきことに琳派美術と西洋美術等との比較分析などが殆ど含まれてない。「学」と銘打つからには具体的な分析に基づく実証がないと話にならんではないか。もしビギナー向けなのならせめて豊富に図版載せろよという感じ。極めて退屈な本。
読了日:3月31日 著者:三井秀樹

レッド(7) (イブニングKCDX)レッド(7) (イブニングKCDX)
読了日:3月28日 著者:山本直樹

チェーザレ 破壊の創造者(10) (KCデラックス)チェーザレ 破壊の創造者(10) (KCデラックス)感想
ジョヴァンニ・メディチが人間的に成長してる〜!がキモな本巻ではチェーザレ・ボルジアは寛容な脇役といった感じ。次巻ではサヴォナローラ勢力がフィレンツェを席捲するあたりが描かれるのだろうか…。
読了日:3月28日 著者:惣領冬実

謎の独立国家ソマリランド謎の独立国家ソマリランド感想
「ソマリ人の海外居住者」を自任する著者による、滅法面白いノンフィクション。海外からは戦乱と海賊と混沌の極みとしか見えぬソマリア北部に複数政党民主制をもつ平和な独立国家が突如登場した不可思議を、遊牧民ソマリ人の奥深い氏族と掟の仕組み・応仁の乱や戦国大名に比すべき群雄割拠状況に身一つで飛び込んで読み解いていく過程は、本を置く能わざる興奮を与えてくれる。ケニアのソマリ人難民キャンプに潜入し、難民たちは『別に悲惨ではない』と感じたというあたり圧巻。エッと思う話だが、ぜひ本書を読んで文脈に触れてほしい知見である。
読了日:3月28日 著者:高野秀行

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)アヘン王国潜入記 (集英社文庫)感想
ケシ生産地ゴールデン・トライアングルの中心地、ミャンマー東部の少数民族支配区域に行き、現地の農民とともに農作業を行った体験記。当地のワ族にとってアヘン栽培は普通の作物栽培であり、文明化以前の互恵的な人々の関係は魅力的でさえある。大上段の社会ジャーナリズムとは一線を画す姿勢を明確にしつつ、凡百のアジアバックパッカー的旅行記とこの書が決定的に異なるのは、客観性的分析に裏打ちされながらの「見たもの記」に徹している故だろう。アヘン吸引者の平板な多幸感を「欲望の器が収縮するからではないか」と分析するあたりは圧巻。
読了日:3月24日 著者:高野秀行

竜馬がゆく〈8〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈8〉 (文春文庫)感想
全八巻読了。大政奉還を結実させた竜馬の落命を、司馬の筆はほとんど後は余談とでも言わぬばかりにあっさりと書き下す。事を成す人物の批評研究という色の強い小説であるからか(「・・・といっていい。」という語尾の頻出ぶりよ!)、維新史の非情胸に迫るというより、自分に引き比べて人生論的な反省をうながさせるものがある。おおむね淡々とした小説なのに広く読まれているのはそのあたりに故ありか。ともあれ読んでよかった。
読了日:3月20日 著者:司馬遼太郎

竜馬がゆく〈7〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈7〉 (文春文庫)感想
ようやく残り一巻のところまで読み進めた。薩長と幕権との権力闘争に絡む政治活動と亀山社中〜海援隊に到る日本史上初の民間貿易会社設立を目指した経済活動の両輪が語られ、五巻以降の展開は実に面白い。7巻の最後には大政奉還論と「船中八策」が登場。この後は誰もが知っているあのルートだけに悲痛だなあ。
読了日:3月17日 著者:司馬遼太郎

竜馬がゆく〈6〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈6〉 (文春文庫)
読了日:3月14日 著者:司馬遼太郎

竜馬がゆく〈5〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈5〉 (文春文庫)
読了日:3月6日 著者:司馬遼太郎

竜馬がゆく〈4〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈4〉 (文春文庫)感想
全8巻のうちようやく折り返し点まで来た。なんだか竜馬とその周りの志士たちの人物寸評を沢山つなげたら小説になった、みたいな構造の長編だな、というのが4巻まで読んだ印象。しかし肝心の竜馬が天然・自由すぎる男でそのまんま大人になっている状態のため、竜馬自身の性格や内面について描くくだりになると、単に再説しているだけみたいで存外面白くない。むしろ竜馬に振り回される周囲の人々の流転・変転が面白くてつい先を読んでしまうような感じである(千葉重太郎よ…w)。とはいえまだ長州征伐もこれからだから、後半どうなるか楽しみ。
読了日:3月2日 著者:司馬遼太郎

千年万年りんごの子(1) (KCx ITAN)千年万年りんごの子(1) (KCx ITAN)感想
まえに読んだ「地上はポケットの中の庭」がとても素晴らしかった田中相の新作。捨て子の生まれで、青森のりんご農家に入り婿に入った主人公が、大家族の中に溶け込む過程で謎の土俗信仰に遭遇し・・・という、いっけん伝奇的ともみえる筋。しかしこの世界観に満ちているのは、伝奇というより、動植物らの織り成す自然の大いなる営為への敬慕であって、作者の卓越した植物描写がそのアミニズム的世界観の完成度を確かにしている。捨て子の境遇から人一倍良い子を演じるクセがついている主人公の言わば「反自然性」がドラマを際立たせる仕掛けも良い。
読了日:3月2日 著者:田中相

アイアムアヒーロー 11 (ビッグコミックス)アイアムアヒーロー 11 (ビッグコミックス)
読了日:2月28日 著者:花沢健吾

闇金ウシジマくん 27 (ビッグコミックス)闇金ウシジマくん 27 (ビッグコミックス)
読了日:2月28日 著者:真鍋昌平

ヤマトタケル (1) (カドカワコミックス・エース)ヤマトタケル (1) (カドカワコミックス・エース)
読了日:2月28日 著者:安彦良和

竜馬がゆく〈3〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈3〉 (文春文庫)
読了日:2月27日 著者:司馬遼太郎

竜馬がゆく〈2〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈2〉 (文春文庫)
読了日:2月27日 著者:司馬遼太郎

ベアゲルター(1) (シリウスコミックス)ベアゲルター(1) (シリウスコミックス)
読了日:2月23日 著者:沙村広明

へうげもの(16) (モーニングKC)へうげもの(16) (モーニングKC)
読了日:2月22日 著者:山田芳裕

竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)
読了日:2月21日 著者:司馬遼太郎

ナポリの肖像―血と知の南イタリア (中公新書)ナポリの肖像―血と知の南イタリア (中公新書)
読了日:2月20日 著者:沢井繁男

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)感想
「ノモンハンの夏」「日本のいちばん長い日」などの名著で知られるノンフィクション作家半藤一利氏による講義録。満州事変から終戦に至る、日露戦争を頂点として下降線をたどる帝国日本の泥縄的戦争突入の過程が分かりやすく語られる。一貫して「その時、昭和天皇はなにを考えていたのか」を宮中の人の動きとあわせて着目している点や、鈴木貫太郎(昭和天皇の乳母の夫にして降伏時の総理)や牟田口廉也(盧溝橋事件時の現場司令にしてインパール作戦の元凶)などの再登場人物をキーにした説き方が面白さを倍加している。一読して損のない一冊と思っ
読了日:2月15日 著者:半藤一利

明治維新 1858-1881 (講談社現代新書)明治維新 1858-1881 (講談社現代新書)
読了日:2月10日 著者:坂野潤治,大野健一

吉田松陰―変転する人物像 (中公新書)吉田松陰―変転する人物像 (中公新書)感想
明治・大正・昭和にわたる吉田松陰受容史をたどる1~4章と、野山獄における女囚・高須久子との交流の源流を追ってヒューマニスト松陰の横顔に至る5章で構成された、「松陰の思想と行動はいかに受容されてきたか、いかに受容すべきか」を問う小著。昭和国粋主義の中で松陰を「国士」として担ぎ出す論調が乱発された、というのはさもありなんと思われつつも憤懣やるかたなし。にしても松陰をリソルジメント・イタリアの革命家マッツィーニと比較する視点はアリではないかと思っていたが、徳富蘇峰ですでにその視点があったとはびっくり。
読了日:2月6日 著者:田中彰

新・雨月 下 ~戊辰戦役朧夜話~ (徳間文庫)新・雨月 下 ~戊辰戦役朧夜話~ (徳間文庫)感想
国際冒険小説の第一人者が3人の架空の人物に託して描く戊辰戦争アナザーヒストリー。奥羽越列藩の後方に暗躍する長州藩の間諜、会津士魂に殉ずる覚悟ながらも開場直前の藩の内紛に戦慄する会津藩士、河井継之助に心酔し北越を賭ける博徒という人物配置と空想のエピソードはそれなりに面白い部分もあるのだが、台詞回しが説明的で冗漫だったり、キャラクターの掘り下げが一面的にみえたりして、何というか小説が下手なのではという印象である。船戸与一ってこんなだったっけ?と思わせる出来で、残念。
読了日:2月5日 著者:船戸与一

新・雨月 中 ~戊辰戦役朧夜話~ (徳間文庫)新・雨月 中 ~戊辰戦役朧夜話~ (徳間文庫)
読了日:2月3日 著者:船戸与一

新・雨月 上 ~戊辰戦役朧夜話~ (徳間文庫)新・雨月 上 ~戊辰戦役朧夜話~ (徳間文庫)
読了日:2月2日 著者:船戸与一

幕末史 (新潮文庫)幕末史 (新潮文庫)感想
半藤一利の語る幕末史。薩長史観批判のスタンスに立つ半藤氏は、尊王攘夷思想が薩長による権力奪取のための内戦に転換していく過程として幕末を語る。坂本龍馬は大政奉還により倒幕もはや必然性なしと認識したため、あくまで幕府征討を目指す薩摩の謀略により殺された説をとる。ほかに船中八策をパクった後藤象二郎がパクり発覚を怖れて暗殺を促した説があるそう。講義録なのでパッパと読める。
読了日:2月2日 著者:半藤一利

保科正之 ~民を救った天下の副将軍 (歴史新書)保科正之 ~民を救った天下の副将軍 (歴史新書)感想
会津藩の祖、土津公にして徳川時代の平和を創出した稀代の名政治家・保科正之の読みやすい評伝。“百姓は生かさず殺さず”という冷酷な武家統治者の時代にありながら、平民の長命を奨励する公的年金制度や飢饉に備えたセーフティネットを創出し、人智をこえた災害に際しても揺るぐことなく民衆の救済を念頭に毅然とした判断を下す名君の姿がいきいきと描かれる。著者の「上杉鷹山など保科正之に比べれば大したことない」的スタンスは若干ひいき目が過ぎる感もあるが、世に知られた名将名君に比べあまりに知られていない事を思えば仕方ないかも。
読了日:1月30日 著者:中村彰彦

新装版 王城の護衛者 (講談社文庫)新装版 王城の護衛者 (講談社文庫)感想
「峠」とはまた違った評価軸にもとづく河井継之助を描いた短編「英雄児」を読もうと手に取った作品集だが、めあての「英雄児」は薄味で、自らの才と武威におごり地域を滅ぼした迷惑な「竜」という描き方。じっさい、河井継之助についてはそういう見方もあり得るとは思うのだが・・・(半藤一利とかはそういう立場みたい)。それより、松平容保と孝明帝の交流を描いた表題作や、岩倉具視のブレーンとなった怪人物を描く「加茂の水」が歴史こぼれ話的妙味があり味わい深い。
読了日:1月29日 著者:司馬遼太郎

峠 (下巻) (新潮文庫)峠 (下巻) (新潮文庫)感想
ついに北越戦争に到る下巻。武装中立論をもって官軍と交渉する継之助は小人・岩村高俊の拒否により、戦端を開く。石原莞爾さえもがその作戦を研究したという八町沖渡河作戦など優れた軍略で山県有朋率いる薩長軍を撃破しながらも、物量の差で敗れ長岡城下は灰燼と化してしまう…。長岡を日本のスイスにしようとした継之助の武装中立論は、長岡藩の力を過大に見込み武士的美学に藩を道連れにする誇大妄想だったかもしれない。が、彼一人の構想力と行動力は驚くべきもので、仮に大藩の指導者であれば歴史はどう転んだかと空想させるに足るものがある。
読了日:1月27日 著者:司馬遼太郎

峠 (中巻) (新潮文庫)峠 (中巻) (新潮文庫)感想
中巻の時代は継之助の家老就任から鳥羽伏見の戦い、官軍東征まで。幕府方がほぼ引き揚げた後の京に長岡藩だけで乗り込むくだり、江戸での福沢諭吉との対面など見どころ満載。
読了日:1月26日 著者:司馬遼太郎

峠 (上巻) (新潮文庫)峠 (上巻) (新潮文庫)感想
この1月に会津に旅行し、会津戦の歴史などに触れた後、がぜん興味が湧いたのは佐幕派として会津藩とともに戦った越後長岡藩と家老・河井継之助のことである。幕末の混乱の中で藩軍制の近代化(ガトリング砲まで装備!)を梃子に長岡の武装独立を狙ったこの異能の天才のことを新潟県民ながらほとんど知らない不明を恥じつつ手に取った一冊。上巻では大塩平八郎と同じ陽明学の徒として、実践を尊び、遊女遊びに到るまで己の行動原則に則ろうとする奇人的青年時代から、やがて藩に重く用いられるまでを描く。キャラ描写の巻ではあるがとても面白い。
読了日:1月22日 著者:司馬遼太郎

仮面ライダーSPIRITS(3): 3 (マガジンZコミックス)仮面ライダーSPIRITS(3): 3 (マガジンZコミックス)感想
スーパー1かっちょ良すぎ!泣けた。
読了日:1月8日 著者:石ノ森章太郎,村枝賢一

海月姫(1) (講談社コミックスキス)海月姫(1) (講談社コミックスキス)
読了日:1月7日 著者:東村アキコ

徹底検証 韓国論の通説・俗説 日韓対立の感情vs.論理 (中公新書ラクレ)徹底検証 韓国論の通説・俗説 日韓対立の感情vs.論理 (中公新書ラクレ)感想
李明博の竹島上陸・天皇謝罪発言以降の日韓関係のパースペクティブを、いずれかの立場におもねることなく冷静に整理した本。短い論説と鼎談で構成され読みやすいし、「国民感情」の現れ方の文化的レイヤーにおける日韓の差異を議論の出発点に置いたうえで、外交交渉上の立場を勘案しながら客観的にみようとする本は意外と少ないのではないかと思う。これぞというレシピが示されるわけではないが、2012年以降の日韓関係について目にした中で最も納得性が高い議論だった。
読了日:1月7日 著者:浅羽祐樹,木村幹,佐藤大介

仮面ライダーSPIRITS(2) (マガジンZKC (0073))仮面ライダーSPIRITS(2) (マガジンZKC (0073))
読了日:1月6日 著者:石ノ森章太郎,村枝賢一

第四の壁 アナザーフェイス3: 3第四の壁 アナザーフェイス3: 3感想
まあこんなものであろう。
読了日:1月6日 著者:堂場瞬一

仮面ライダーSPIRITS(1) (マガジンZKC (0054))仮面ライダーSPIRITS(1) (マガジンZKC (0054))
読了日:1月4日 著者:石ノ森章太郎,村枝賢一

進撃の巨人(2): 2 (講談社コミックス)進撃の巨人(2): 2 (講談社コミックス)
読了日:1月4日 著者:諫山創

進撃の巨人(7) (講談社コミックス)進撃の巨人(7) (講談社コミックス)
読了日:1月2日 著者:諫山創

進撃の巨人(6) (講談社コミックス)進撃の巨人(6) (講談社コミックス)
読了日:1月2日 著者:諫山創

進撃の巨人(5) (講談社コミックス)進撃の巨人(5) (講談社コミックス)
読了日:1月2日 著者:諫山創

進撃の巨人(4) (講談社コミックス)進撃の巨人(4) (講談社コミックス)
読了日:1月2日 著者:諫山創

進撃の巨人(3) (講談社コミックス)進撃の巨人(3) (講談社コミックス)
読了日:1月2日 著者:諫山創

悪の教典(下)悪の教典(下)
読了日:1月1日 著者:貴志祐介

悪の教典(上)悪の教典(上)
読了日:1月1日 著者:貴志祐介

読書メーター

2013年12月の読書まとめ

2013年12月の読書まとめ。
あまり冊数は多くないのだが、この中では山崎亮「コミュニティデザインの時代」が一番面白かったかな。「来るべき民主主義」も好著。

2013年12月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:1523ページ
ナイス数:32ナイス

メリーゴーランド (新潮文庫)メリーゴーランド (新潮文庫)感想
地方都市の赤字テーマパーク再建のために奮闘する地方公務員の話。前例主義・事勿れ思想に自分でもどっぷり漬かっていると思っていた主人公が、読んでいるだけで卒倒しそうになる第三セクターの天下り重役たちとの論戦や、自治体仕事の創造性の無さにすっかり腐っていた企画会社の自称クリエイター男のなだめすかしを通して徐々に変わっていくのが読みどころ。敵となる役所や三セク連中の描写はちょっと誇張しすぎなんじゃねえのと思わせるものの、終盤の急展開も含めそれなりに読ませる。ただ短編で十分な筋かも。
読了日:12月31日 著者:荻原浩

ウヒョッ!東京都北区赤羽(2) (アクションコミックス)ウヒョッ!東京都北区赤羽(2) (アクションコミックス)感想
赤羽のカリスマ、「居酒屋ちから」マスターのその後が描かれる。一体なんなんだこの人はwwwww
読了日:12月28日 著者:清野とおる

地方から政治を変える: 未来政治塾講義II地方から政治を変える: 未来政治塾講義II
読了日:12月25日 著者:嘉田由紀子,田原総一朗,古賀茂明,辻哲夫,飯田哲也,上山信一,藻谷浩介,宮本博司

言える化 ー「ガリガリ君」の赤城乳業が躍進する秘密言える化 ー「ガリガリ君」の赤城乳業が躍進する秘密感想
この本に触れる意義は、タイトル「言える化」に触れた時点で6割がた終わってるような気がする(笑)ガリガリ君そのもののようなインパクトと説得力あるメッセージが込められたフレーズ「言える化」、これを組織作りの重要なキーワードに据えた赤木乳業の社長による小さくて強い組織構築の軌跡。「任せるしくみ」の構築、ペナルティを恐れぬ人材を作る評価の秘訣などは、この「言える化」を支える上でとても強く働いていると感じるが、組織環境により適用可否は様々ではあろう。しかしこの一語の持つ説得力は褪せない。
読了日:12月16日 著者:遠藤功

コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる (中公新書)コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる (中公新書)感想
まちづくりを考える地域住民の議論に入り、話合いを活性化させるファシリテーション、そんな仕事を「コミュニティデザイナー」として行う山崎亮氏の書。著者の講演は聞いたことがあり、面白かったけどその面白さを何につなげれば良いか具体的なイメージは描けていなかった。で、先に読んだ國分功一郎「来るべき民主主義」にこの本も出てきていて、まちづくりにおける住民の場をデザインする機能はすげえ必要だなと改めて思い読んだのだが、必要なスキルとか場を作る「手口」の具体的な開陳など、期待以上の内容だった。まちづくりに興味ある人必読。
読了日:12月15日 著者:山崎亮

来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題 (幻冬舎新書)来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題 (幻冬舎新書)感想
小平市の都道拡張計画における住民投票問題で著名な哲学者の本。地方政治において討論型世論調査や子ども投票等のツールを使い、みんなの民主主義理解をブラッシュアップすべきと個人的に考え始めた矢先に出たので思わず読んだのだが、やはり予想以上に取れ高大きかった。主権論など近代政治哲学のルーツを丁寧に説明し、現状日本で最も身近(でもなぜか遠い)な地方政治の課題と結び付ける論旨展開は超明快で納得性高い。「進め方」だけが突出し洗練された日本の政治的合意形成プロセスにはいい加減メスを入れないとマジで社会の命がヤバいと思う。
読了日:12月9日 著者:國分功一郎

闇金ウシジマくん 29 (ビッグコミックス)闇金ウシジマくん 29 (ビッグコミックス)感想
最新刊。今回は上場大会社の組織整理により「追出し部屋」に送られた同僚と、送込んだ人事部の男ら二人の人生の選択を描く。課長島耕作イントゥダークネス。面白いんだが毎度のエクストリームな暗黒ぶりは薄い。これまでの登場人物達が貧困ビジネスの罠にハマって監禁生活させられてたりしたのを想起すれば「組織から外れては生きられない」とか甘えてんなこのヌルマ湯ヤローと思われてしまう。むろん人によりアイデンティティ解体点は異なるので、追出し部屋的アイデンティティ崩壊リストラ戦術を肯定するわけではない。単純に作品内の比較の問題。
読了日:12月7日 著者:真鍋昌平

読書メーター

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