twitter


2017年1月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

Flickr

  • www.flickr.com
    This is a Flickr badge showing public photos and videos from k-tanaka. Make your own badge here.

読書メーター

  • 読書メーター
    unpyouの今読んでる本 unpyouの最近読んだ本

« 2013年11月3日 - 2013年11月9日 | トップページ | 2013年12月29日 - 2014年1月4日 »

12月 02, 2013

2013年11月に見た映画まとめ

今月みた劇場映画で一番よかったのは「もらとりあむタマ子」かな~。「42 世界を変えた男」もとても感動したのだが、確かに「えらい人の話」感出すぎて鼻につくという世評も分からんではない。俺はよかったけどね。「ハンナ・アーレント」も良かった。

『もらとりあむタマ子』(★★★★.4)


断末魔キー局のマネタイズ手段
という色すら強い現状の日本映画が世界に誇れる数少ない才能、山下敦弘監督による素晴らしいコメディ。23にもなって大学卒業後何をするでもなく、実家の店「甲府スポーツ」の手伝いすらロクにやらずに食っちゃ寝てマンガ読んでるニート女タマ子を演じる前田敦子、これが実にイイ。彼女の特徴的な「キモ可愛さ」を武器として最大限に引き出す山下監督の演出のもと、タマ子は「いい加減に就職活動とかしないのか!いつ動き出すんだ!」と父に怒られ、あのでかい目の玉ひん剥いて狂気じみた一言で反論する(劇場が揺れたwww)。また謎の就職活動に奔走すべく、甲府スポーツのただの客である写真館の息子の中学生を脅し、挙動不審すぎる仕草でちらちらと周りを見回しながら自転車を走り出させるこの怪人物が、本当にあのAKB48のセンターだったのだろうか?
やはり今年の公開になる中田秀夫監督の「クロユリ団地」も異能といえる彼女の顔のポテンシャルを最大限に生かした演出だったが、本作はさらに上をいっていて「この女、ヤバいんじゃないの」と思わずにいられない眼球の座りっぷりを飛び道具にしてるにも関わらず、意外と変に可愛いのであまり憎む気にもなれぬという、現今無二の女優性を醸し出す演出になっているのだった。
何だか全然前田敦子を褒めているように取れないという人もいるかもしれないが、これ、褒めています。コメディエンヌとしては絶妙に素晴らしいバランス。この映画を見た人は、前田敦子の背丈さえもが何だか面白くなっちゃっているし、山下作品の大きな魅力の一つであるオフビートな笑いの最高の器になっている事に、監督のファンはみな拍手喝采だろう。2013年は女優・前田敦子が大きく開花した年として記憶されてもおかしくないのではないか。彼女が今後も使い方を心得た作り手に恵まれていくことを願う。
------------------------------------------
『42 世界を変えた男』(★★★★.3)

上映後、トイレで隣になったおじさんがグスグスいってた…そんな男泣きの一本!

黒人初のメジャーリーガーとして、有色人種への差別意識がまだ強烈だった戦後アメリカ社会の中で敢然と紳士的に戦った野球選手ジャッキー・ロビンソンを描いた伝記映画。スポーツ映画にあまり親しみがないので、監督・脚本がブライアン・ヘルゲランドだと知るまではノーチェックだった。「L.A.コンフィデンシャル」の脚本で一躍名を挙げ、イーストウッド監督の「ミスティック・リバー」「ブラッド・ワーク」などで主にノワールな筋立てに素晴らしい仕事をみせるヘルゲランドの新作が、スポーツを主題としたヒューマン・ドラマとは!意外・・・ということで注目した次第なのだが、野球のことはほとんど分からなくとも男泣きに泣ける一本である。実際のところ野球映画として期待して見に行った古い友人はそんなにノレなかったと言っており、おそらくそれはプレーシーン自体がドラマの要素として割り入れられている程度で、眼目はあくまで人間関係のドラマに置かれ続けている構成のせいでもあるだろう。私にはこの位でも全く許容範囲なのだが、クライマックスはワールドシリーズでヤンキースに勝つ試合に置いてもよかったのでは、とは思った。
それを補っても余りあるのは、ヘルゲランドの台本による、人間が新しい価値観を発見し自分をも周囲をも変えてゆくに至る筋立ての熱さ、その表れである短くもシビれさせる台詞まわしの数々。最強の選手であり、かつ紳士であれとハリソン・フォード演じる球団オーナーに諭されたジャッキーがおこなう闘いは、押し寄せる偏見と侮蔑そのものに力で立ち向かう闘いではなく、何よりもまずそれらに拳で回答しようとする感情をどれだけ抑えられるかという自分の内面との闘いなのだ。それは孤独な闘いでありながら、少しずつチームメイトや観客たちに影響していき、やがては彼ひとりだけの闘いではなくなっていく。
また、ジャッキー・ロビンソン役のチャドウィック・ボーズマンのみせる気高い眼差しと、その妻レイチェル役のニコール・ベハーリーの夫を見守るたたずまいは近年のハリウッド映画ではついぞお目にかかれないチャーミングさを確立している。ゴミクズのような人種差別的態度を露わにする白人どもが大挙登場するにも関わらず、陰湿な印象がそれほど残らないのは、描かれるジャッキー/レイチェル夫妻の爽やかかつたくましいコンビネーションが、差別の醜悪さを上書きしてしまうからだろう(それにしても全編中最も唾棄すべき人物であるフィリーズの監督チャップマンの「ニガニガニガニーガー」とか言う罵声がちょっと笑えるようになっているあたり、ヘルゲランドの脚本は本当に巧みだな~と思う)。
終盤のバッターボックスで、ニグロは野球をやめろとばかりに顔面に死球をぶつけてきたパイレーツのピッチャーと対峙したジャッキーは、不敵な眼差しと微笑みで「お前は何を怖れているんだ?」と敵に問いかける。人間の強さ、誇り高さとは何か、を高らかにうたいあげる名演だった。

タイトルに書いたとおり上映後のトイレで隣になったおじさん(俺もいいかげんおじさんだが)が小用を足しながらしきりに鼻をすすっており、それほどまでに、男の心理の芯の部分を突いてくる映画である。今のところ今年見たハリウッドの映画の中ではベスト1。(いや、「パシフィック・リム」は…?まあ年末のベスト整理時に改めて検討しよう)
------------------------------------------
『西部開拓史』(★★★★)

シネラマ劇場で観ていたらきっと大傑作と感じたに違いない超大作

1950年代から続くテレビの台頭に、昔日の栄光をすっかり奪われた映画業界が、何とか映画館だけの体験をと取り組んだ超パノラマ映画「シネラマ」方式の代表的大作映画。
ヘンリー・フォンダ、ジェームズ・スチュアート、グレゴリー・ペック、リチャード・ウィドマーク、ジョン・ウェインなど綺羅星のごとき大スターが共演。イカダの川下りで西部に入植していった人々の苦難から、南北戦争やゴールドラッシュ、鉄道の開通とフロンティアの終わりといった、まさにアメリカの青春時代というべき時代を5部にわたって描く。
監督もジョン・フォード、ヘンリー・ハサウェイ、ジョージ・マーシャルといった監督たちが各部を分担するのだが、まあこの中では一番知られてるジョン・フォードとジョン・ウェイン組の第3部は実は一番中途半端な感じで、ヘンリー・ハサウェイが監督し、デビー・レイノルズが幌馬車隊に参加して西を目指す2部「平原」、ジョージ・マーシャルが監督し、リチャード・ウィドマーク演じる超傲慢な鉄道会社マネージャーがインディアンとの平和を重んじる騎兵隊員ジョージ・ペパードと対立する4部「鉄道」が話的には面白かったし、デビー・レイノルズも非常に魅力的なのだが、この映画の真価はやはり壮大なアクションシーンにあるだろう。
イカダの急流下り、幌馬車隊へ急襲するシャイアン族、暴走するバッファローの大群(メイキングを見ると何とバッファローは二千頭も使っているそうだ!)…でも、これらはやはり映写機3台を並べて映写し、スクリーンが大きく湾曲しているというシネラマの上映を前提として作られたもので、DVDでレターボックスになった映像を見たり、サイドカットで見たところで、その迫力は見るべくもないだろう。実際、これシネラマで観たら星3つくらい追加でつきそうだなあ、なんて思うくらい、豪華なアクションシーンである。どっかでシネラマ上映しないかなあ。

------------------------------------------
『ハンナ・アーレント』(★★★★)

哲学者アーレントの起こした、20世紀における古典的「炎上」事件を描いた佳作。

 

ユダヤ系ドイツ人哲学者ハンナ・アーレントが、イェルサレムで行われたナチ戦犯アイヒマンの裁判を傍聴し、その報告を雑誌ニューヨーカーに掲載する。“悪の凡庸さについての報告”という意図をもって書かれたこの記事は、アイヒマンへの擁護であると受け取られたことにより、轟々たる非難・中傷を伴う「炎上」をアメリカ社会に巻き起こす…。
実在の哲学者を主人公とした映画、というのはあんまり聞いたことないが、これまでにもあったのだろうか?例えば「劇場版フリードリヒ・ニーチェ3D」とか…。ということで、哲学者の映画なんてどんなものになるのだろうという興味もあり見に行った。
思ってたよりずっと面白かったのが、前半のアイヒマン裁判のところ。被告アイヒマンは役者でなく本人映像を使っているが、これがなんともまた雄弁な映像なのですね。行政的手続き(それは収容所行きの貨車一台に積み込むユダヤ人の数を決めた、といったホロコーストの忌まわしい記憶と結びついたものだが)の一つ一つを確認され、それは確かに命令に基づいて仕事として行った、と目をパチパチしながら「それが何か」と言わんばかりに回答するアイヒマン。それに眼差しを決して立ち向かうアーレントの顔ぶり。ここから「ナチの行った犯罪は悪人が行ったことではなく、凡庸な役人が自らの責任を意識せずに淡々と行ったことに恐ろしさがある」という悪についての思考が立ち現れてくるわけだが、思想の生まれる瞬間を視線のドラマによって描き出すことに成功していると思う。
後半はこのレポートが書き上げられ、ニューヨーカー誌に掲載されたことで生まれたアーレントへの非難の顛末が語られるのだが、「読みもしないで言ってくる奴に付き合う必要はない」というアーレントのスルー姿勢はなんだか近年のWeb炎上などとオーバーラップしてて笑える。実際のところ「アイヒマンを擁護するナチ」という非難は、アーレントの主張するところが何であるのかを全く理解していないのだが、当時の社会の大勢は「ホロコーストのような恐ろしい犯罪の責任を誰かに取らせなければならない、ホロコーストのことを我々が知るずっと前にヒトラーはもう死んでしまったのだし…」という気持ちでいっぱいだったのだろう。その気持ちでいっぱいの人を前にして「でも真実はこうだ」と述べることができるアーレントは、やっぱり冷徹な人間なのではないか?というのがうちの奥さんの指摘で、確かにそうなのかもしれない。その冷徹さの代償としてか、アーレントは身近いユダヤの友人たちの友情を失っていく。「わたしはなにかの民族を愛したことはない、わたしが愛するのは友人だ」と劇中で述べるアーレントにとってそれは痛すぎる代償だっただろう。
後半の展開からラストは今ひとつドラマの盛り上がりに欠けるきらいはあるものの、見る価値のある一本と思った。哲学者の私生活が描かれる映画という要素もしっかりあって、そういう興味もある程度満たされてよかった。が、ハイデッガーは別に出てこなくてもよかったような気がするw

とりあえず参考図書。現代の必読書の一つと思う。

------------------------------------------
『死刑執行人もまた死す』(★★★★★)

何度見ても素晴らしい、フリッツ・ラング監督の傑作

ハイドリヒ暗殺作戦を材にとったローラン・ビネの小説「HHhH」はすばらしい傑作だった。歴史小説を書く営為を誠実に行うことは可能なのか、現在から歴史を見るとはどういうことなのか?という作者の試行錯誤がストーリーと織り交ぜられつつ語られる中で、やはりハイドリヒ暗殺を描いたこの傑作も資料のひとつとして登場する。

フリッツ・ラング監督の映画の中でも特に好きなこの映画を見るのは何度めか分からないが、やはり今回も感動させられた。社会的生物としての人間の醜さをあられもなく描くラングの技量が最大限発揮されていて、ナチスの恐怖もレジスタンスの暗黒ぶりも、裏切り者の卑屈さも分け隔てがない。全方位的に恐ろしいという点で凡百のプロパガンダ映画とは一線を画した映画。その中にあっても、チェコ人たちの勇敢さ、けっして膝を屈することのない偉大な人々の描写は、冷酷なレジスタンスvsゲシュタポ闘争の現実を超えて輝く。ストーリーを書いたブレヒトの力量でもあったのだろうか、残酷さと輝かしさがないまぜになりながら疾走するこのスリラー映画は、いまも禍々しくも魅力的な光を放ち続ける真の古典であり続けていると思う。

12月 01, 2013

2013年11月の読書まとめ

11月読んだ小説で最も傑作はなんといってもローラン・ビネ「HHhH プラハ1942年」。最高でしたな~。ほかの本もどれも面白くて取れ高あまりに高い月でした。「カクレキリシタン オラショ‐魂の通奏低音」「トラオ 徳田虎雄 不随の病院王」いずれもカタカナ+サブタイトルの2ノンフィクションも素晴らしかった。「トラオ」に出てくるALS患者家族のNPOをつくった川口有美子さんにはずっと昔お会いしたことがあるのだが、とても明るい魅力的な方でした。こんなに壮絶な運命に対峙していた人だったんだ・・・。

2013年11月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2383ページ
ナイス数:31ナイス

トラオ 徳田虎雄 不随の病院王 (小学館文庫)トラオ 徳田虎雄 不随の病院王 (小学館文庫)感想
'13年後半を揺るがす政治スキャンダル、徳洲会問題が立体的に読めるルポ。徳田虎雄という、まるでバルザック小説の登場人物のような怒涛のバイタリティと桁外れの非常識さを持った「怪人」が21世紀に生存し、かつ彼がその生命力を否定する究極の難病ALSに浸食されつつあるという小説的すぎる皮肉に震える。徳之島では選挙が賭博イベントと化しており、不在者投票を利用した選管ぐるみの不正を知った島民が役場を包囲するが、それは皆が選挙戦にすごい金額の賭け金を投じているため…というエクストリームな離島政治ぶりも破格に面白かった。
読了日:11月26日 著者:青木理
椿荘101号室(1) (エデンコミックス) (マッグガーデンコミックス EDENシリーズ)椿荘101号室(1) (エデンコミックス) (マッグガーデンコミックス EDENシリーズ)感想
同棲中の彼氏に振られ、あやしげな住人たちが闊歩する風呂なしアパート「椿荘」で、恐るべきまでに自己都合上等世界観に基づいた一人暮らしを始める女の子の話。まあとにかくめっちゃ絵が上手い!彼女を取り巻く住人たちもしたたか者ぞろいであり、ちょっと「ワセダ青春三畳記」のイマドキ女子版の趣きがあるマンガ。話の迷走感はすごいが、続巻も読みたい気にさせられた。
読了日:11月23日 著者:ウラモトユウコ
食の軍師(3) (ニチブンコミックス)食の軍師(3) (ニチブンコミックス)感想
3巻は都内の名店を一話ずつ巡る構成。途中にヤマサ「鮮度の一滴」のプロモ漫画とおぼしき前後編が入る(うまそうなつまみばかり…)。お店の中では「デリー」のカシミールカレー、「まるます屋」の生ゆば巻、「ベルク」の十穀米カレーがヨダレものだった(作品中では各店名はちょっとずつ変えてある)。
読了日:11月23日 著者:泉昌之
天の血脈(3) (アフタヌーンKC)天の血脈(3) (アフタヌーンKC)感想
いや~久々に面白かった。ストーリーの序盤で登場する内田良平の再登場をはじめ、大杉栄、内村鑑三、野上弥生子らが登場。主人公がうっかり乗ってしまった軍用列車で、トイレに入って伏見宮と出くわしてしまうくだりには爆笑させられた。
読了日:11月22日 著者:安彦良和
ウェブで政治を動かす! (朝日新書)ウェブで政治を動かす! (朝日新書)感想
面白かった。近代日本を一貫して流れていた行政中心の「お上/民草」の関係性が崩壊した現在、私達は民主主義とは何なのかの手応えを見つけられないままでいる一方、政治的課題は複雑化の一途で「これ代議制じゃやってけねーんじゃ」とすら思わされる昨今、本書で紹介される「政治家はメディアでなければならない」という橋本岳議員の発言は至言。TVに出られる議員が人気を獲得できる、という現状が歪んだ構造であるのは明らか。政治家がメディア化し、主権者がそのメディアにオープンに関われる様なプラットフォームの創造は焦眉の課題といえる。
読了日:11月19日 著者:津田大介
バレンツ海海戦 (ハヤカワ文庫 NF 73)バレンツ海海戦 (ハヤカワ文庫 NF 73)感想
イギリス海洋冒険小説の古典「女王陛下のユリシーズ号」の下敷きとなった、WWIIのソ連援助物資輸送船団および英護衛艦隊 VS 重巡アドミラル・ヒッパーとポケット戦艦リュッツォウら強力なドイツ艦隊との海戦を追ったノンフィクション。北極海の極限状況は戦闘でなくとも十分に驚異的である(発砲で熱せられた艦砲の砲身が即座に凍りつき、沈没艦から脱出した水兵が飛び込む海水温は零度!)うえに、猛吹雪と消えつつある薄明の中での砲撃戦…何たる逆境だ!唖然とするような事実の醸し出す緊迫感に溢れた一冊。前置きがちょっと長いけど…
読了日:11月14日 著者:ダドリー・ポープ
カクレキリシタン オラショ−魂の通奏低音カクレキリシタン オラショ−魂の通奏低音感想
五島や平戸など長崎県下で、潜伏キリシタン時代から続く信仰を21世紀の今でも守っている人々がいる。仏教や神道、祖先崇拝と混淆し、もとのカトリックとは大きく異なる土俗信仰となっているこの「カクレキリシタン」信仰を追う書。サンジュワン様などの殉教者信仰や、仏式の葬式をあげつつ並行して唱えられる「経消しのオラショ」などの独特の様式(信仰者自身に自覚されていないのがまた面白い)を持つ一方で、カクレの信徒であると同時に仏教徒である事に矛盾がないという極めて日本的な宗教心の在り様は、とても刺激的で考えさせられるものだ。
読了日:11月8日 著者:宮崎賢太郎
密約―外務省機密漏洩事件 (岩波現代文庫)密約―外務省機密漏洩事件 (岩波現代文庫)感想
沖縄返還にあたり米国の支払うべき補償金を日本が密かに肩代わりするという密約につき、記者が不倫関係にあった外務省職員から情報を得て報道と国会審議に供した事件を追うルポ。主権者=国民への行政的偽装という論点を下半身問題にすり替えて有罪にしようと必死な政権・検察の姿勢、「報道の自由は憲法が保障する表現の自由のうちで特に重要」とか言っときながら検察姿勢の全面容認に至った最高裁の判断はいずれも唾棄すべきものである。控訴審に立った記者らの証言に「大本営発表を繰り返してはならない」という思いが刻印されているのが印象的。
読了日:11月5日 著者:澤地久枝
アイアムアヒーロー 13 (ビッグコミックス)アイアムアヒーロー 13 (ビッグコミックス)感想
いきなりフランス語のネームなのでびっくりしたw あの背後がちょっと透けている怪物は一体なんなのであろう・・・そしてスティーブン・キングの「セル」を思わせるような、比呂美ちゃんの感染中に感じた一体感の記憶が何のカギになるのか・・・。おいおい13巻まできてさらに面白くなるのかよ。
読了日:11月4日 著者:花沢健吾
HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)感想
本の半ばあたりで、この本をいずれ読み終わることが惜しくてたまらなくなる。1942年、ナチスのチェコ総督でありユダヤ人絶滅計画の責任者である「金髪の野獣」ラインハルト・ハイドリヒに企てられた暗殺作戦の史実を「歴史を小説として語ることは許されるのか?」という文学的課題との格闘を織り交ぜつつ語り起こす、圧倒的な歴史小説/純文学/リーダビリティに優れた読み物である一冊。ナチの狂気、レジスタンスの誇り高い闘い、プラハの美しさ、名もなきチェコの民衆の勇気と悲劇…全てが読み手の興奮を惹起しながら怒涛の終幕へと誘うのだ。
読了日:11月1日 著者:ローラン・ビネ

読書メーター

« 2013年11月3日 - 2013年11月9日 | トップページ | 2013年12月29日 - 2014年1月4日 »