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7月 04, 2010

「クロッシング」(韓国映画)(★★★★)

銀座シネパトスでキム・テギュン監督「クロッシング」を見た。
北朝鮮からの脱北者を描いた映画ということで北朝鮮の金正日体制が恐怖を持って描かれるのかなーと思っていたが、映画の冒頭で描かれる北朝鮮の炭坑の村の生活は、とても21世紀のものとは思えない素朴なものながら、極めて平和で幸福感に満ちた生活に見えるのに驚いた。
"少なくとも党の指導に背いたり、政治委員の目に止まるような真似をしない限り"という暗黙の前提があることは感じさせられるが、映画に描かれる咸鏡道(ハムギョムド)の地域社会は強い結びつきを持った仲間や家族、サッカーに興じる子供達とともに平穏な生活が得られる社会…であるかに見えさえする。そのような中、物語の主人公であるチャ・インピョ演じる父親と、ほぼ新人子役シン・ミンチョル演じる子供との親子関係は、「三丁目の夕日」みたいな昨今のある種の昭和回顧邦画が訴求しようとする「貧しくとも心が豊かなあの時代…」のモデルにもなり得る、我々にとってのノスタルジーを携えたような描写になっている。人は国家体制の方向なんぞと関係なく、自分たちなりの生き方、自分達なりの幸せを見つけ出して生きていくもの、というメッセージ要素もあるのかもしれない。(どこかでの監督のコメントで、実体を本当にそのまま描いたら正視に耐えない、と述べられてもいたので)

チャ・インピョ演じる父は政治的主張や体制への疑念といったこととは終始無縁で、ただ結核を病んだ母の薬を入手するために一時的に国境を越えただけのつもり、また父を追って脱北を試みるも失敗し収監されたシン・ミンチョル演じる子もまた、想像を絶する苛酷な環境下を生き抜きながらも、中国公安警察に対する警戒心などまるでない無邪気さだ。
そのようなごく普通の素朴な生活感を持つ人々が、苛酷な政治体制と、それをしたたかにすり抜けられるような知識・情報の欠如から、最悪の選択肢へと追い詰められて行く悲劇。(さすがに「ネズミの皮」のくだりはないだろうと思ったが…あれも実際に取材してるのでしょうか)
結果的に救いがない話にはなっているが、非常に得るものも大きく一見に値する作品と思った。

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