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4月 12, 2009

「ハリウッド監督学入門」(★★★★)

中田秀夫監督のビデオドキュメンタリー「ハリウッド監督学入門」をイメージフォーラムで見た。

http://www.bitters.co.jp/hollywood/

自作「リング」のハリウッドリメークであるゴア・ヴァービンスキー監督作のさらに続編「ザ・リング2」(ハリウッドオリジナルのシナリオなので、高橋洋脚本による日本版のように、プールサイドで『貞子~ッ!おれを食え!』とか叫ぶヘンなジジイが出てきたりはしない・・・が、それだけに印象の薄い映画だった)を監督した経験から、ハリウッド映画という産業はいかに「Movie」という商品を製造するのか、それは我々が思ってるような、また日本の映画産業がやってるようなやり方といかに違うのかということを検証していくドキュメンタリー。

数々の証言者たちが中田監督にハリウッド映画産業のさまざまな側面を語ってくれる。証言者は、ドリームワークスのプロデューサー、ウォルター・パークスから現場の編集やらグリップ担当者やら、更には違う現場で同様に日本から来た映画人として仕事した清水崇監督と一瀬隆重プロデューサーまで。

全編は、監督がこれぞハリウッド的映画作法だと考える「グリーンライト(映画の企画にスタジオからのGoが出ることを言い表した「青信号」の意)」「カヴァレッジ(監督がコレと決めたアングルに留まらず、全方位のアングルやサイズで押さえの画を撮っておく技法)」「テスト・スクリーニング(最後の編集前に一般観客に完成映画を見せ、アンケート結果によって更に編集に手を加えるためのテスト試写)」の3つに章立てされているが、やはり興味深いのは「グリーンライト」の章。

万全のシナリオと最高のスタッフを取り揃えていても、待てど暮らせど企画に青信号が灯らない。待ってるうちに企画を買ってくれていたスタジオの首脳陣が交代してしまい、また一歩めから歩き直すはめになる。なにしろ、新しい首脳陣からすれば、映画がヒットすればその企画を買った旧首脳陣の手柄に、コケればGoを出した新首脳陣にその責任がのっけられるから…というわけだ!
「日本なら、プロデューサーが家を抵当に入れて覚悟を決めれば一本の映画を作れなくはない、しかしハリウッド映画ともなると、一プロデューサーの覚悟ではどうにもならない」という一瀬隆重の証言にもみられるように、強烈にビジネスが支配し、大人の事情が充満するのがハリウッド夢工場の現場であるらしい。
コーエン兄弟の初期の傑作「バートン・フィンク」でもハリウッドに買われ西海岸に移住するも、自作シナリオの映画化はただただ遠く、ひたすら待たされるだけの脚本家の悪夢が描かれていたが、中田監督もバートン・フィンクの苦汁をなめた模様である。プロデューサーに「もうこれ以上待たされ続けるのは御免だ」と吐露し続けるも、プロデューサーの方は「そうは言うが、私からすればこの企画は前代未聞のスピードで進んでいたよ」と考えていたりする。企画は2年は結実しないのがザラであり、平気で5年やそこらは置いておかれたりする。年に3万5千本のシナリオが集まる広大な選択肢をもったハリウッド映画なのに、いや、だからこそ、なのだろうか?
しかしまあこの想像を絶するメンドクサイ環境の中にいながら果敢に映画づくりを続けるプロデューサー、エージェント諸氏の横顔は実にしたたかでたくましい。彼らの働きが映画史に残るのかどうかは別に置くとして、ハリウッド映画作りの現場で監督・制作者であり続けるということは、非常に優秀なプロジェクト・リーダーの資質がなければできないことなのだろう。その意味ではプロジェクト管理の仕事などやっている人には畑違いながら意外と面白く見れる映画かもしれない。

「カヴァレッジ」の章ではデレク・ジャーマンやケン・ラッセルとも仕事した撮影監督ガブリエル・ベリスタインのコメントが印象的だ。「アングルを決めるのは本来監督の仕事。ヴィスコンティもフェリーニもそうしていたが、ハリウッドでは全アングルからのショットをとりあえず撮っておくのが重要。そのために金があるんだから」という。
「ザ・リング2」の撮り方について尊敬すべき識見を述べ、間違いなくこの人は素晴らしい撮影監督なのだろう、と思わせる彼にしてから、こうしたハリウッド的作法を受け入れている。編集者のマイケル・クニューは「現代の映画においてDVDは重要な収入源で、我々もスクリーンより家でDVDを見る層を意識せざるを得ない」と言い「シーンがワイドショットで提示される場合、観客は見るべきポイントを発見するまで時間がかかる。クローズアップなら一目瞭然だ」という、いかにもハリウッド的な視点からの編集作法を述べる。

他にもさまざまな興味深すぎる証言が続き、飽きさせられることはない。合間合間にさしはさまれる中田監督の放浪とも見えるウォーキングのシーンや、イスラエル出身の整体師との会話も「ハリウッドで映画を撮るのがいかに疲れる作業か」というイメージを伝える役割を果たしているようでおもしろい。
日曜昼のイメフォには私含めて3人しか観客がいなかったが、なにも映画監督を目指していたり、ハリウッド進出を目論む若者だけが見るべきドキュメンタリーではなく、いち観客が見ても非常に興味深い内容と思う。

「ヤッターマン」(★★★)

三池崇史監督「ヤッターマン」鑑賞。

・・・とにかく悪ふざけもいい加減にしろと爆笑しながら言わざるを得ない一本。
http://www.yatterman-movie.com/

素晴らしすぎる生瀬勝久のボヤッキー以外はほぼミスキャストであり、フカキョンはフカキョンという前提がなければただの空気読めてない女という感じ(正直ヤッターマン1号・2号は誰がやっても構わんとも思えるが)。
ドロンボーメカとヤッターワンの格闘がアニメの牧歌的な感じを刷新するガチンコぶりであったことや、ヤッターマン性とは全く関係のない、阿部サダヲによるスター・ウォーズごっこ+「極道恐怖大劇場牛頭」ネタが一番印象深いデキになっており(笑)、ドロンボー3人によるミュージカル風味の、もうやめてくれとロープをつかみに行きたくなる酷さも「あえてやってんだろこの野郎」と思わずにおれず、とにかく全編ナメているとしか言いようがない姿勢にはむしろこの監督らしく、拍手を贈りたくなる。
これはこれで楽しませていただいたが、これ一本で一日を終わらせたら「俺は一体一日何をやっていたんだ」と思ってしまうこと必定ではないか。不用意に見てしまったのであれば何らかの解毒手段を用意しておくか、毒食らわば皿までと「牛頭」でも見て更なる悪ふざけの毒にどっぷりと漬かるしかないだろう。
またビックリドッキリ・メカやドクロきのこ雲、ドロンボーの安い詐欺テクなどはちゃんとやっていたりするので、監督の仕込んだ非タツノコ的毒を全スルーできる胆力の持ち主であれば案外普通に楽しめたりする可能性もあるかも。

「ザ・バンク 堕ちた巨像」(★★★☆)

ユナイテッドシネマ豊洲でトム・ティクヴァ監督「ザ・バンク 堕ちた巨像」見た。

http://www.sonypictures.jp/movies/theinternational/

トム・ティクヴァ監督の前作「パフューム」は要所要所で笑いのツボを押しまくられ、「これはギャグで撮ってんじゃねえの?」と疑わずにおれない珍作だったが、実在の金融スキャンダルを材にとって作られたアクション・スリラーである今作は非常にマジメで、ディティールのひとつひとつにも引き込まれるいい映画だった。

何しろ主演がクライヴ・オーウェン演じるインターポールの刑事。体もデカく顔のつくりもいちいち存在感強すぎるこの男が眼をガッと見開いて立ち尽くしていては、とうていお笑いの出る幕はない。
唯一笑ったのはニューヨークでの捜査シーンで、深夜の整形外科医宅をニューヨーク市警の刑事二人(プエルトリカンと東欧系っぽい二人で、身長はそれほどない)と一緒に訪問するシーン。
刑事二人は「NYPDだ、こっちは○○で俺は○○」みたいに自己紹介するのだが、その背後に立っている、二人とはダンチで背がでかく、両眼をランランと光らせた、不動明王みてえなクライヴ・オーウェンに関してはまるで説明レスなのだ!
現地での逮捕権を持たず捜査協力をするだけの立場であるインターポールの人間を紹介するわけにもいかない…ということなのか知れないが、深夜のアパートの廊下にクライヴ・オーウェンが背後に立ってて一切説明なかったらかなり怖いよ!という、デンジャラスあたりにコントにして頂きたい感じのカットでした。

まあ、別にそれは映画的なクライマックスでも何でもなくて、単に私が個人的におもしろがってただけ。国際犯罪組織のマネーロンダリング銀行であり内政干渉や紛争に積極的に関わった黒い国際銀行「BCCI」の実話をモチーフにしたストーリーは、金融や経済に関して特に詳しい描写があるわけではなく、その方向に興味がある人にはあるいはザツに見えるかもしれないのだが、ルクセンブルクの銀行本部のモダン建築や、美術館を舞台にした暗殺者との接触、ミラノやイスタンブールの空気感を捉えた画作りなどは美的にすごく凝っていて、ストーリーに原寸以上の説得力を与えているように思える。
ニューヨーク・グッゲンハイム美術館での銃撃戦はじつに壮烈。銃撃戦の舞台としてはこの上なく面白い舞台設定に、敵味方同士の二人が成り行きで強力なヒットマン集団に力をあわせて立ち向かわざるを得なくなるというシチュエーションの熱さが重なりかなり興奮させられる。

「真実は責任を伴う、だから人々は真実を耳にすることを畏れる」なんてセリフまわしもいい。細かいワザの積み上げを存分に楽しめる一本だった。

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