「松ヶ根乱射事件」(★★★★)
つい先日「ゆれる」を見たとき、新井浩文があいかわらずいい感じ出してたのでその流れで、彼の主演作である山下敦弘監督「松ヶ根乱射事件」を見た。
「リンダリンダリンダ」とかは見てないんで山下敦弘監督の映画は初めて見たが、実にゆるい感じに田舎のスケッチを積み重ねていき、序盤は何やら緊張感がねえ映画、とさえ一見思えるのに、そのままのノリでこの「イノシシの町松ヶ根」に点在する狂った部分…
散髪に追加5000円で頭の弱い娘とやらせる烏丸せつこの理容店、
その娘をはらませて妻に「恥ずかしくて表を歩けない」と罵倒される三浦友和演じる父親、
ビニ傘で山中崇を殴りつける謎の暴力中年キム兄
…などを綴っていき、もっともマトモな人物として位置づけられている新井浩文が「乱射」に至るまでのルートに巧妙に観客を引き込んでいく。
観客に感情移入をさせるようなことは殆どやってないのに、我々はいつの間にやら映画内に、どうしようもなく閉塞してもう笑うしかない的田舎町松ヶ根の状況に入り浸ってしまっているのだ。
やはり怖いのは、この話が別に終わってもいないという事だろう。
カタストロフな事でも何でもないようなねじれであるのに、閉じた田舎町の中であるが故に状況の出口もなく終わりも来ないという怖さ。基本、笑える映画なのだが見終わった後になんとも考えさせられる。全・田舎者必見の一本。
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