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8月 21, 2006

「ユナイテッド93」(★★★★)

このところ「デスノート」といい「M:i3」といい、わざわざエントリ書く気力のおきない映画ばかり見てたが(あ、でもアニメ版「時をかける少女」はよかった)久々に傑作を見た感あり。
ポール・グリーングラス監督「ユナイテッド93」をユナイテッドシネマとしまえんで見た。
ご存知のとおり、9.11同時多発テロでハイジャックされた旅客機のうち、唯一どの目標にも到達せずに墜落したユナイテッド航空93便の機内で何が起きたか、また管制塔をはじめとする地上の状況はどのようであったかをセミ・ドキュメンタリー形式で描いた映画である。
題材が題材なのでおもしろいといってはまずいかなという気がするが、リアリティ溢れる演出にとても圧倒された。飛行機に乗ったことがあれば誰でも体験する離陸前の様々なディティールを乗員乗客の視点でつぶさに描いているのだが、離陸直後にシートベルトを外して業務につこうとする客室乗務員が靴を履くところなどを、しっかりカメラが捉えたりしている。こうしたディティールの積み重ねが「嘘のようなまこと」である同時多発テロに対する臨場感をかきたてる。また、実際に9.11の現場に居合わせた航空管制官たちが演じている連邦航空局(FAA)の管制センター、軍の防空司令部のシーンなども真にせまっている。FAAも軍も驚くほど情報が錯綜しており、判断が極端に難しい局面におかれていたことが分かる。防空司令部ではCNNの一報でワールド・トレード・センターへの一撃を知り、すぐに巨大スクリーンにCNNのライブ映像を映すが、その後も次々と乱れ飛ぶハイジャック情報に右往左往となり、イニシアチブを取れる状態にはなかなかなれなかったようだ。
この映画は迫真性がとにかく命で、「あの日」に流れていた空気を再び組成してみようとする試みに思われるが、同時に政治的な利用のされ方をしないようにうまく作られているのがポイント高い。ハイジャック犯たちはひとつの任務を果たすことを期待されて乗り合わせた一人の人間としてそれぞれ描かれ(冒頭に彼らが行う礼拝のシーンは、人間の「敬虔」という徳を一種の尊敬をもって描いているようにさえ見える。勿論、それがいかに危険な方向に彼らを導いていたかは別の問題としてだが)、ことさらに『悪の権化』や『狂信者』として誇張して描かれることはないし、ハイジャック犯に抵抗した乗客の側も、自分たちが未曾有の惨事を救うべく立ち上がろうなどと一席の演説をぶって事に及んだわけではなく、極限の中での抵抗という選択肢を自然に選んでいく。もちろん個々人の心の中には並々ならない勇気が必要だっただろうが、それは観客の想像力にまかされている。
それにしても、この映画を見て一番思ったのは全てを変えた「あの日」の空気感覚ともいうべきものが、自分の中でいかに色あせていき、過去そんな日もあった、というような位置づけに事件そのものがなりつつあるかということだった。「9.11以降」の現代人必見の一本である。

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