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5月 17, 2006

坪内祐三著『一九七二 「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」』読了

映画「夜よ、こんにちは」は1978年にイタリアで起きた極左集団のテロ事件を映画化したもので、これはイタリアにおける左派の歴史の分岐点となるものだったが、日本ではその6年前に連合赤軍による「あさま山荘事件」が勃発し、政治の季節の幕引きを行った。この後、日本は消費資本主義の成熟と、繁栄の行き詰まりであるバブル崩壊を経験することになる。

連合赤軍事件と横井さんの帰還、キャロルの鮮烈なTVデビューと情報誌「ぴあ」の創刊。これらの出来事が1972年という年にはいちどきに起きている。この事実をあらためて知るといかに1972年という年が戦後日本にとってモニュメンタルな年であったのかということが知れるのだが、これを回顧的同時代史として書いたのが坪内祐三著『一九七二 「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」』である。

性の問題を革命的自我の中で解決することができず、遠山美枝子のしていた「指輪」問題への追及などから遂には自滅的なリンチに到る連合赤軍事件を語る前半は非常に読ませる。事件のクライマックスともいえるあさま山荘篭城の中で、実行犯・坂口弘がTVに映る「ニクソン訪中」を目撃するシーンは、全編の白眉といえる。
このとき、仲間を殺した事実そのものにより精神的に追い詰められた坂口らは、警察権力に対して彼ら言うところの「殲滅戦」を戦う以外にないと決意を固めていた。その彼らが反米の理論的支柱としていたのが中共と毛沢東主義であった、が…

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(坂口弘の著書から引いて)この日夜七時のテレビ・ニュースでニクソン米大統領一行の中国訪問の様子を見た。(中略)それは、われわれの武闘路線を根底から覆すショッキングな出来事であった。だが、われわれの未熟な頭はこうした背景を何一つ理解することが出来ず、ただ画面に映るニクソン訪中風景をジッと見詰めるだけであった。

つまり、この時、坂口弘は、自分の革命家としてのアイデンティティを失ってしまったのである。ならば、なぜ、自分たちは、十二名もの同志の命を犠牲にしてしまったのだろう。
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同時に、ニクソン訪中という政治史的にモニュメンタルな出来事の前に呆然としながら、時代の前面から撤退したのが佐藤栄作であり、彼は自分の意図するスピーチを勝手に解釈して変えてしまう新聞ジャーナリズムと、それにかわるテレビジャーナリズムへの賞賛(それは今の視点から見れば未熟なメディア・リテラシーではある)とともに退陣する。変わって政権を握るのは、やがて後のバブル景気へと繋がる日本列島改造を唱えた田中角栄政権であった。

かくのごとく述べられると、1972年というわずか一年の重要性を認識せずにいられない。
書の後半では、CCRの来日を基点としたロックの来日ブームと頭脳警察、そして矢沢永吉というカリスマとキャロルの登場が語られるが、これはロック史により詳しい人にとっては恐らく私よりずっと心揺さぶられる部分であろう。また、創刊期からの一読者として著者が語る「ぴあ」の創刊の時代的意味というのも非常に興味深いが、あとは本書に触れたときのお楽しみとするべきだろう。1975年誕生の私でも十二分に感銘を受ける一冊。

次は山田昌弘の「希望格差社会」を読むつもり。

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