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12月 05, 2006

「麦の穂を揺らす風」(★★★☆)

アイルランド独立闘争を背景にした映画といえば今年前半見たものすごい良作「プルートで朝食を」が印象深いが、続けざまとばかりにやはり同じキリアン・マーフィが主演した「麦の穂を揺らす風」が公開されたので見てきた。
反骨の巨匠ケン・ローチだが、この映画は明白に彼の母国イギリスのかつてのアイルランド統治を差別と暴力に満ちた非人道的行いとして糾弾するものであり、きわめてラディカルな映画といえる(日本で、仮に八路軍だの三・一独立運動だのの闘争を被支配者の視点から描いた映画を、日本人の監督が撮り得るだろうか?)。
彼の真摯なメッセージはカンヌ映画祭で評価され、パルム・ドールを受賞した。

「プルートで朝食を」は、闘争続くアイルランドでオカマとして生きる主人公を通して、血で血を洗う戦争の光景の中でそれでも希望を失わずに生きようとする姿が涙を絞る、言うなればアウトサイダーから見たアイルランド闘争映画だったが、いっぽうケン・ローチは闘争のど真ん中に身を投ずるアイルランドの名もない若者たちの姿を等身大で描き、彼らのひたむきさと、しかしそれが武力政治闘争であるが故に帰着する悲劇を訴えるインサイダー側からのアイルランド闘争映画を撮っている。
それにしてもアウトサイダー側インサイダー側のいずれをも堂々と演じきっているキリアン・マーフィは素晴らしい。

冒頭で印象的なシーンがあった。
ハーリング(なんかホッケーみたいなアイルランドのスポーツ)の試合で集まっているアイリッシュの若者たちの所に「全ての集会は禁止だっ!」とか叫びながら英国の治安部隊ブラック・アンド・タンズが殴り込んで来、壁に並ばせた若者たちに名前を名乗らせる。
うちの一人が「マホールだ」と名乗ると、治安部隊は「何を言っている!?英語で名乗るんだ!」と彼を殴打しまくり、死に至らしめてしまう。
「マホール」とはアイリッシュのルーツであるゲール語での名前であり、英語で発音すれば「マイケル」なのだ。
マホールは英語で自分の名を言わなかったために殺されてしまったのだ。これってどっかで聞いたような話ではないか?
映画に登場するイギリス人は全く糞としか言いようのない圧政ぶりを見せるのだが、彼らの統治手法をなぞるように隣国文化や民族を見下す行為を歴史的に行ってきたわが国の来歴を思うや、映画中で悪の限りを尽くすイギリス軍の非道行為に憤懣を感じるいっぽうで、なにかひとごとならぬ思いも抱いてしまわずにおれない。

ニール・ジョーダンの「マイケル・コリンズ」でも描かれた条約後の内戦は、救いようのない悲劇としてこの映画でも影を落としてくる。銃を向け合う者同士が同じ釜の飯を食った同胞という状況下、彼らは名前を呼び合いながら銃撃しあう。
武力による政治闘争の末路としてみれば普遍的なストーリーともいえるものの、「おれたちは不思議な民だな」という台詞には味わい深い重みがある。

話の筋は圧倒的に重いが映像は美麗で、風光明媚なアイルランドの山並みが目に焼き付く。
音楽は「ディープ・ブルー」とか最近やってたジョージ・フェントンだ。この人「メンフィス・ベル」の作曲した人という印象を持っていたのだけど、実は「レディバード・レディバード」以来すべてのケン・ローチ作品の音楽をやっているとか。知らなかったな~。

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