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6月 26, 2006

「プルートで朝食を」(★★★★★)


シネスイッチ銀座でニール・ジョーダン監督「プルートで朝食を」を見た。
観るまでは、正直「また英国お得意のオカマ映画かよ~。オカマの人生大変だってイギリス映画は『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』一本でたくさんだよ」という思いはちょっとあった。(大変に申し訳ない!

それでも見に行ったのは、この映画がIRAvsイギリス軍のテロ/対テロ戦争がヒートアップする60年代を舞台にし、この映画のストーリーにも関わってくるという点がひっかかってきたからなのだが、これがフタを開けてみると今年下半期ベスト1はこれだなと確信するほどできのよい、詩情あふれる素晴らしい映画で、久しぶりに掛け値なく映画を楽しんだ一本だった。

アイルランドのアルスターと国境を接する町に生まれた一人の性同一性障害をもつ青年の半生が描かれる。
町のあちこちを飛び回るコマドリが、司教館に捨てられた一人の赤子パトリックを気遣って会話を交わす(さえずりを人間語に訳した字幕が出る)。彼は成長して女装するようになるが、里親である小母さんは「なんて罰あたりな子だ!今後一切そんなことはやめて、フットボールでもやって男らしさを磨きな」と諭すのだが、言われた彼は豪奢なドレスを身にまとってボールを追う自分の姿を夢想する始末。信心深いカトリックの国アイルランドで、オカマをやるのは想像を絶する逆境のようであり、しかも彼は小間使いと神父との過ちの結果生まれた子供で、母親はそのことを悔いて彼を司教館の門前に捨てたっきり町から姿を消してしまっていた。彼は一度も自分の目で見たことのない、ミュージカル女優ミッツィ・ゲイナー似だという母親を、常に想いながら育っていく。

映画の舞台である'60年代のアイルランドは、アルスターを占領する英国の軍隊とIRAとの闘争が過激化を増していく時代にあたり、少年たちはおもちゃの銃を手に空き地で「IRAvsイングランド軍」ごっこに興じている。彼らの成長する時代は、爆弾事件や英国兵の検問などとともにあった。
パトリックは自分の名前をきらい、自分を聖パトリックの従者聖キトゥンに模して「キトゥン」と呼んで、というが、彼の通うカトリック学校の教師は「キトゥンなんて聖人はいない」と彼の夢想を否定する。
そんなキトゥンのまわりに現われるのは社会のはずれ者やはんぱ者など、ボーダーライン上の人ばかりなのだが、彼らはキトゥンに大切な詩や思い出を与えてくれる。
「オカマは帰れ」とクラブへの立ち入りを禁じられたキトゥンは、同じように入場を拒否されたヘルス・エンジェルスみたいな暴走族と2ケツで森の中にドライブ。自ら「国境の騎士」と名乗るゾクのあんちゃんは「星のハイウェイを抜けて冥王星(プルート)で朝食を食べるのさ」と詩を語ってくれる。
IRAのテロ戦争に巻き込まれながらも、幼いころから自分を大切にしてくれた友だちとの交流を忘れなかったキトゥンだが、ついに自分にとって何よりも大切な母親を探すためにロンドンに旅立つ。「世界で一番大きな町に呑まれた幻の女」を探すのだ。

「幻の女って?」
「"幻の女"は私の母のことよ。自分の人生が物語みたいに感じられるように・・。だってそうしないと、涙があふれてしまうから」

キトゥンは、信心深いアイルランドで肉親のないオカマであるという逆境と、さらにIRAの爆弾闘争が過激化する時代にアイルランド人がロンドンで暮らす、という二重の厳しさの中に置かれている。
でも彼女の人生は詩にあふれ、笑いに満ち、美しい。彼女が最後に手に入れるものを、涙なくして見ることはできないだろう。彼女が映画のはじめに語るように、これは映画を観ているこの時代の、私たちの物語なのだ。

主演のキリアン・マーフィも素晴らしいが、個人的にはアフリカ系の女の子の友人であるチャーリーを演じたルース・ネッガがとても素敵だった。映画はこれが初みたいで今後に期待。

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コメント

はじめまして。jesterともうします。
すっごく同感したので、でてまいりました。
わたしも「おかまの苦しさはよくわかってるし」という感じで割りと見る前は冷ややかな気持ちでいました。
でも見たら、思っていたのと全然違いましたよね。
私も感想を書いたので、TBさせていただきました。

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