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4月 29, 2006

梅田望夫著「ウェブ進化論 - 本当の大変化はこれから始まる」読了

梅田望夫「ウェブ進化論」を読了。随分前に買ってはいたものの、「あちら側の巨大な情報発電所」というような表現がダサいなと感じ、放り出しっぱなしであった。

「サーバサイド」などの業界用語を使用せずに、ここ最近Web発で起きている一連の地殻変動を説明する本である。ゆえにWeb2.0とは何かといったテーマに一定の理解がある向きには新しい発見がある書ではないものの、BlogとGoogleのテクノロジー信奉を述べることで示唆されている(ように思える)「テクノロジーが創出する民主主義」には、既存権力との衝突の種子が含まれていて興味深く思われた。

さて、この書の中で述べられている「総表現社会」は、Web用語でいうところのCGM(Consumer Generated Media)を受けているが、マルチメディアコンテンツに関しては、そのタグ付けの難しさがボトルネックになるだろうと梅田氏は危惧している。

しかし、ここ最近のYoutubeやGoogle Videoに集まる注目や、日本では主にNHK技研が中心となって進められているTVコンテンツへのタギングの研究などから、早晩、映像に関してもけっこうな勢いでCGMの勃興が起きると私はみている。

そのあたりを象徴するのが英BBCのCGM戦略だろう。

http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20102826,00.htm
BBCがオンライン分野の新戦略「Creative Future」を明らかに - CNET JAPAN

BBCといえばすぐにドキュメンタリー番組が思い浮かぶほど、番組の品質でつとに有名な放送局だ(まあ私などにはモンティ・パイソンをやってた局という方が親しみ深いが)。そのBBCすらも、来るべき映像メディアのCGM現象に向けて自分たちの映像アーカイヴをユーザーに向けて開放することによって自らの価値を証明しようとしている。米ABCがiPod向けに「LOST」「エイリアス」の番組ダウンロード販売をはじめたことよりも、こちらの方が本質的という気がする。ABCのはディストリビューションの問題だが、BBCの試みはコンテンツ創造からディストリビューション(というか、映像コンテンツ間のネットワーキングとでも言おうか)までを貫く動きだからだ。

翻って日本のTV局の場合、妖術師・田中角栄が日本にかけたラスト利権魔術である放送免許制マジックに護られ、コンテンツからディストリビューションに至るルートを地上放送波で独占してきたことが彼らの今をあらしめているといって差し支えないがため、その牙城を突き崩す可能性のあるIPマルチキャストの流れに頑迷なまでに反目するというお寒い現状である。
NHKアーカイヴスを中心にコンテンツアーカイヴとしての生存選択肢を残しているNHKはまだしも、他の民放には明確な将来のビジョンがあるのだろうか。

いや、民放にはまだ、金と人材だけはうなるほどあるのでまだ良い。
結局ろくにコンテンツホルダにもなれず、固い商売である配信経路の敷設だけにしがみついてきたわが業界こそ、現在もっとも心停止に近い場所にいる。本来、米国の同業よりも100倍くらい意識が高くなければ生存不能な状況のはずなのだ。

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