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10月 07, 2005

日本怪奇小説傑作集

推理モノを読まない創元推理文庫読みとしては、今回の刊行はひさびさの快挙といえるのではなかろうか?

紀田順一郎・東雅夫編「日本怪奇小説傑作集1」のことである。

まだ前半部分しか読んでいないが、ほぼ30年ごとの期間に輩出された和製怪奇小説の傑作短編を3巻に渡って刊行するというこの企画、劈頭を飾る小泉八雲/平井呈一訳の「茶碗の中」からして素晴らしい。

さて茶碗を手に取上げて、ふと関内が何気なく中を見ると、透とおった黄いろい茶の中に、自分の顔でない顔がうつっている。(中略)妖しいものがあらわれたのに関内はほとほと困じて、その茶を捨てて仔細に茶碗の中を改めて見た。茶碗はべつに手のこんだ柄や模様などは一つもついていない、ごくの安茶碗である。関内は有合う別の茶碗をとって、もう一ど茶を汲みかえた。すると、その茶の中にも、また先刻の顔があらわれているのである。そこで関内は、その茶を新しく淹れなおしてもらってふたたびそれを茶碗に注いで見た。見おぼえのない不思議な顔は、やはりその中にもあらわれている。しかもこんどは嘲るような笑を浮べているのである。

この淡々とした怪異描写の中になんともゾーッとした感じがあぶりだされる、まさに古物怪談の名手M.R.ジェイムズに比しても恥じない名編であって、名訳者平井呈一の面目躍如といえる良訳とあいまり、この趣味の人の渇に応える内容ではないかと思う。

その他にも漱石・鴎外から乱歩・夢野、室生犀星や佐藤春夫といった詩人ラインまで、近代文学のそうそうたるメンバーが集っているのがこの大一巻である。
個人的には、日野日出志のマンガもかくやというグロテスクさで一歩長じる画家・村山隗多の小編「悪魔の舌」もさることながら、まさに真打の感すらある谷崎潤一郎の「人面疽」には、大家の筆力を堪能させられた感がある。
以下引用中は活動写真について述べているが、活動というだけに当時はサイレント映画であることを頭に入れた上で読んで頂きたい。

一体、M技師の長い間の経験に依ると、活動写真の映画と云うものは、浅草公園の常設館などで、音楽や弁士の説明を聴きながら、賑やかな観覧席で見物してこそ、陽気な、浮き立つような感じもするが、あれを夜更けに、カタリとも音のしない、暗い室内に映して見て居ると、何となく、妖怪じみた、妙に薄気味の悪い心持ちになるものだそうです。それが静かな、淋しい写真なら無論のこと、たとい花々しい宴会とか格闘とかの光景であっても、多数の人間の影が賑やかに動いて居るだけに、どうしても死物のようには思われず、却って見物して居る自分の方が、何だか消えてなくなりそうな心地がする。中でも一番無気味なのは、大映しの人間の顔が、にやにや笑ったりする光景で、―

 これなどは高橋洋脚本による映画「女優霊」などに繋がっていく怪異ビジョンだと思う。
 古典怪奇小説とは、これまた客のつかなそうな分野なのだが、興味ある方はぜひ読んでみてください。

10月 03, 2005

映画「ホテル・ルワンダ」日本公開が決定しました!

取り急ぎはご報告ということで・・・

私がここ数ヶ月、たいした力でもないながら支援してきた『「ホテル・ルワンダ」日本公開を求める会』ですが、映画ファンの非力ながらも熱い願いが成就して、ついに日本公開が決定しました!!

英断してくれた配給会社は、ウォーレン・クロマティから訴えられたことでも有名な「魁!!クロマティ高校」などの映画化や、王家衛の「花様年華」の配給などを手がけるメディア・スーツという会社さんです。
劇場は、渋谷のユーロスペースが改装されてできる「シアターN渋谷」という劇場で、来春公開に向けて準備中とのこと。
詳しくは、『ホテル・ルワンダ』日本公開を求める会のWEBサイトをご覧ください。

http://rwanda.hp.infoseek.co.jp/

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<急にいつもの文体に戻るが・・・>

いや、こんな風に急遽結果が出るとは正直思わなかった。
4,000名以上の署名が集まりながらも、当初予定の30,000名にはなかなか届かず、長期戦の可能性もあるかと思っていたところだったが、配給会社さんとしてもこれはけっこうな賭けなのだろうと思う。

思えば、数ヶ月前に劇場公開ナシが決定の報を受け、mixiで急遽立ち上がったコミュニティに本当に微力な賛意表明のつもりで「コミュニティに参加する」のボタンを押し下げたことがきっかけで、モデレーターの一人が実は大学時代の友人であったことが発覚し、ちんけな私の日常の時間のいくぶんかをこの活動のために捧げる事態に立ち至ったわけだが、これがこんなに早く実を結ぶことになるとは・・・、と感慨深い気持ち。

実社会では本当にささやかな声なき声でしかない、映画ファンという政治力も社交性もない一群の挙げた一声がこうして結果を呼び込んだのを目撃できたことは、個人的にも幸せだった。

という私はたいして苦労らしき苦労はしていないいっぽうで、主要メンバーの奔走は大変なものであって、4000名以上の署名を集め、ルワンダ大使閣下のメッセージをいただき、「ほぼ日刊イトイ新聞」で取上げられ、と、息のつく暇もない日々をすごしていたものと思う。
本当にお疲れ様でした。

このblogでも何度も取上げたように素晴らしい映画なので、公開のあかつきには、是非みなさん劇場に足をお運びください。
その「見る」という行動自体が、もちろん価値ある映画を見るという行動であると同時に、「価値ある映画を公開することの価値」を、わが国に根付かせる一助になる行動につながる・・・と愚考する次第。

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