このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるのだろうか?
「このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるのだろうか?」
って私が日々思ってる・・という話ではなくて、こういうタイトルの本を読んだヨ、というお話です。
「このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるのだろうか?」 (アスペクト刊)
原題は "What Should I Do with My Life?"、著者はポー・ブロンソンという人で、彼がインタビューした50人の男女の、職と生きがいをめぐる赤裸々な話がつづられている。
この作家、「シリコンバレーを抜け駆けろ」などの著書でその筋には有名らしいのだけど、私は初見でした。
(なお、この本に出会ったのはこちらのBlog。→ diary.yuco.net様)
さてこの本、邦題から予想される内容とは裏腹に、もうつまんない仕事で日々イヤんなってるよーって人たちの話ではなく、つまんない仕事から抜け出してサクセスしたぜ!って自慢話でもなく、さっさとつまんない仕事やめるにはこうしたらいいよっていう指南書でもない。そういう本だったら私は読まなかっただろう。
この本の原題は「僕の人生をどうするべきか?」といったような意味だと思うが、職と人生をめぐる問題を一生懸命考えたり行動したりしてきた人たちがの打ちあけ話集というのが、あるいは近いかもしれない。
登場するアメリカ人たちの多くは、自分のかかえてきた人生への疑問や職への疑問を、作者のインタビューというキッカケを得て、徐々に形にしていく道をたどる。その道はすごくスリリングでもあるし、読んでいくうちに多くの発見がある。
インタビューに登場する人たちの中には、ひとつの結論に到達して人生哲学を作り上げている人もいるけど、劣等感や迷いの中から抜けられず「次はどうしたらいい?」と思い悩んでいる人たちも登場する。
医師だった父の背中を見て育ち産婦人科医になったものの、あまりにも患者と正対し過ぎる自分の「オフ・スイッチの欠如」を感じて辞めたという女医のエピソードなどは、「自分を発見できて良かった~」というハッピーエンドに落ち着いては(まだ)いないんだけど、職を通じて自分のある部分を発見した人の物語として、非常に心動かされる。
金融の世界でめちゃくちゃに金を儲けてきた会計士が、あるカリスマ的な教育指導者との出会いからシアトルの学校連盟に所属して教育改革に辣腕をふるうようになる・・・というエピソードも感動的だ。
尊敬できる人物との出会いと死別が、冷血会計士と思われていた彼の価値観を変えるに到る。二人を結び付けていたのは「仕事」だったが、彼は死別をきっかけに「仕事」の中に「仕事以上のもの」を発見したわけだ。
彼らは自分を語るのに精通しているわけではないし、中には最初は自分をよく見せたくて虚勢の言葉を吐いたりする人もいるが、そういう場合ほど彼らの鍵が開いて自分の言葉が流れ出てきた時には感動させられる。
ときには作者自身が彼らに人生についての提案をすることもあるが、「わたしは専門家ではない」という作者の姿勢はあくまでも謙虚で、共感できるものだ。
仕事の歯車は日々回っているので、その中で「自分の人生にはどんな意味があるのか」とか「人生を意味づけるにはどういうふうに振舞えばいいのか」を考え続けるのは容易なことではない。それでも考え続けたい人にとって、これら50人のエピソードはどれも泉になるだろう。
訳文はたしかに読みにくいところもあるけれど、ちょくちょく読み返したい本だ。
会社で読むときは、さすがにカバーが必要だと思うが(^^;)
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