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3月 15, 2004

イ・チャンドン監督「オアシス」

きわめて寡作ながら「グリーンフィッシュ」「ペパーミント・キャンディ」など、ほんとうに素晴らしい珠玉作ばかりを撮ってきた韓国の映画監督イ・チャンドン。
近作「ペパーミント・キャンディ」は、「グラディエーター」や「バトルロワイヤル」等良作の多かった2000年、もっとも印象深く素晴らしい作品で、私的には韓国映画・・いやアジア映画の中でも現存最高の監督こそ、この人イ・チャンドンだと思っている。→昔書いた「ペパーミント・キャンディ」の感想

そんなイ・チャンドン監督の待望の新作が「オアシス」。私はあらゆる事前情報を絶って公開しているル・シネマに向かったのだが、ロビーに貼られている雑誌切抜きで、彼がノ・ムヒョン政権の文化観光部長官(日本で言えば文化庁長官といった役職らしい)として入閣しているということを知る。アンドレ・マルローか?いつのまにそんなエラい人になってしまったのだろう。
(調べてみると、入閣したのは2003年2月のことだというので、この映画がつくられた2002年の直後のことだったのだろう)

あまり詳しくは語らぬが花というものだろうけれども、この映画を見るのはものすごく重くてきついことだ。
しかし、見終わった後に感動が絶え間なく寄せて打ち返す。

話の大筋を述べると、暴行・強姦未遂・過失致死という3つの前科をもって刑務所から出所したばかりのソル・ギョングが、過失致死罪の被害者だった清掃員の孤児であるムン・ソリの家を尋ねる。
彼女は重度の脳性マヒで、自分ひとりでは外出すらもできない状態である。(ムン・ソリの迫真の演技は物凄く、私は途中まで本当の脳性マヒの人がやっているのだと思っていた。彼女はクランクアップ後に骨盤や脊髄が麻痺してしまい、リハビリを受けてようやく運動できるようになったという)
途方もなく不器用で、29歳にもなっているのに小学生の悪ガキみたいな行動しかとれないソル・ギョングは、何年かぶりに出てきた刑務所にも誰ひとり迎えに来ないほど家族から疎まれているのだが、なぜかムン・ソリの住む公営アパートには果物を持っていったり、花束を持っていったりと足しげく通う。
一体どういうつもりなのだ、とムン・ソリの兄からは追い払われるのだが、そんなムン・ソリの兄は彼女との同居を厭って妹をダシに障害者介護用の高級アパートに自分たちだけ引越し、妹をボロい公営アパートに一人で置き去りにするような奴なのだ。
ソル・ギョングはある時ムン・ソリが一人の時に彼女の部屋に入り込み、そして抵抗もできない彼女を犯そうとする・・。

いったいこんな人でなし野郎ばかり出てくるストーリーの、どこが感動を誘うというのか!?と思われるだろう。
ところが、これがこの上ないほどに切なく、深いラブストーリーに展開していくのだ。

野島伸司みたいな話がウケる日本の土壌から見ると、文化庁長官にまでなった人が重度脳性マヒのヒロインをテーマに恋愛映画を撮るといったら、ものすごくいかがわしい映画ができそうに思える。
ところがこの映画は今どき珍しいくらい、実にまともなのである。少なくとも、「ここで出てくるハンデキャップだとかマイノリティ性とかいったものは、単にドラマのカタルシスに利用されているだけではないか?」という、レオス・カラックスあたりの映画でよく疑問に感じるいかがわしさは微塵もない。
(↑敵を作る表現だなぁ・・)

パンフレットに掲載されている監督インタビュー中で「ヴェネツィア映画祭での反応はどういったものでしたか」という質問への答えを引くと、

 想像以上にすんなりと受け入れてもらえたようでしたが、実はそこは私の反省点でもあります。
と、意外な答え。
 もともとは、観客に最初のうち窮屈で居心地の悪い思いをたっぷり味わってもらおうと意図していたんです。ああした疎外された人たちを受け入れ理解するのは簡単なことではないですし、居心地の悪さを感じながら徐々に理解していくものだと思うので。私の意図したよりも観客は優しく受け止めたようで、あまりにも受けいれやすい形にしてしまったかもしれないと反省しました。

 イ・チャンドン監督の本気さ、まともさが伝わってくるインタビューではないだろうか。
 パンフレットもル・シネマにしてはよく出来ていて、冒頭の「フォーリング・ラブ・アゲイン。」なぞと馬鹿げた表現のふくまれた感想文を除けば、ムン・ソリの来日記者会見も泣けるし、韓国では、4月14日にはバレンタインデイにもホワイトデイにも縁の無かった人がジャージャー麺を食べるという風習があるというのも初めて知った。(←さっそく実践したい。それにしても一体なぜジャージャー麺なのか ^ ^ ; )

 このようにまともな映画監督が文化政策の中心人物になっているという韓国は幸せなのかもしれないが、願わくば大過なく公職を終え、また刺激的で印象深い新作映画を撮ってほしいところである。

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