「春夏秋冬そして春」(★★★★)
「悪い男」で純愛映画のひとつの極限を示したキム・キドク監督の「春夏秋冬そして春」をル・シネマで見る。
深山に水を湛える湖の真ん中に静かに浮く筏の上に、小さな庵が建っている。
この庵に僧侶二人がささやかな生活を営んでいる。ひとりは老僧、ひとりは愛くるしい小坊主。
春-山中のあふれんばかりの自然の中で遊ぶ小坊主が、小さな殺生をする。
小坊主に呵責ない叱責(言葉では語られないところが味わい深い)を加える老僧。
夏-この庵に、病の治療のために一人の少女がやってくる。
成長し青年となった小坊主は、仏門にありながらこの少女にどうしようもなく惹かれるのだった-。
ってな調子で春夏秋冬の短いエピソードが積み重なり、やがて感銘深い「そして春」を迎える。
「悪い男」のもう「どーなってんの!?」と言うほかない壮絶さとは違い、「春夏秋冬そして春」では仏教的輪廻の概念を自分なりの捉え方で、今度は凄絶なまでに耽美的な寓話の世界に結実させている。
「人生はめぐる季節のごとく どんな喜びも、どんな悲しみも いつかは朽ちて・・・安らぎとなる」
というこの映画のキャッチコピー、けっこう言いえて妙だと思う。
ストーリーの各所に、普通に観れば繋がらないようで、実は繋がる仕掛けがしてあり、複数で見た後に様々な解釈が飛び交う映画でもある。
キム・キドク、このような映画をも撮るとは・・・。いい意味で期待を裏切られた感じ。

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