« July 2004 | Main | October 2004 »

September 27, 2004

IZO(★★★☆)

ひさしぶりに渋谷で映画。シアター・イメージフォーラムで三池崇史監督「IZO」を見た。どんな状況であれ武知鎮典-三池崇史の映画は全部スクリーンで見て行きたいと思っていたので、ようやく願かなった感じ。
さて今回はこれまでのプログラムピクチャー枠突破的傑作とは違い、もうやりたいことだけやった、武知版マトリックスと化している。
串刺しの刑に処せられた岡田以蔵(IZO)の怨念が時空を越えてあらゆる所に出現し、社会を支配する仕組みに属する者どもを片端から斬って捨てる…どころか、自分を規定するすべてのもの、たとえば母親までをも一刀両断。システムが完全たるべきために必要な不完全…矛盾がIZOであると大滝秀治は話の途中で語るのだが、なんかこれ「リローデッド」で聞いたような理屈ではないか?
しかし「マトリックス」に出てくる敵はみんなヒューゴ・ウィービングとかいったエージェントに変化するんでいくらボコったところで痛みも感じないが、IZOの前に立ち現れる者たちはみんなそのままの姿でバッサリ斬られるので実に呵責ない。新撰組も斬られる、ヤクザも斬られる、対テロ特殊部隊も斬られる、股旅も斬られる、PTAも斬られる、なぜか小学校の先生だけは斬られない?(←謎)近年のタブーも犯してるが、これはまあR-15にされちゃうだろうなぁ・・・。
時空間もめちゃくちゃで、江戸の町に落っこちてきたIZOが対テロ特殊部隊に包囲されたかと思えば、現代の盛り場を御用提灯を手にした捕り方が突進してきたりするのには笑った。(もちろんどっちも斬られ死に)

IZOの敵としては最もチョロかった不良少年軍団にIZOは以下のように言う。
「おまえはなんのためにおまえなのだ?」
「てめえ、バカボンのパパかー!!
と言って打ちかかった不良は日本刀で袈裟がけにバッサリいかれちゃうわけだが、もちろんIZO自身もなんのためになんか分かっちゃいないはずだ。クソ食らえなあらゆる枠組みを叩き切る「怒り」そのものがIZOなのである。
したり顔でこんなクソ世の中を飲み下してどうする?怒れ!と凶暴な怒りをブチ上げたのが「IZO」という映画なのだろう。そういう意味では都庁前で命乞いをするスーツ姿のビジネスマンをなで斬りにするシーンが最も良かった。どうやら私もけっこうこの世の中が嫌いらしい(^^;)
ところで、ときおり美木良介がヒューゴ・ウィービングみたいな顔するんだけど、あれはやっぱり意識してるんだろうか。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 06, 2004

丹下左膳餘話 百萬兩の壷(★★★☆)

ユーロスペースの特集上映「山中貞雄 映画を生き抜いた天才監督」で、山中貞雄監督の「丹下左膳餘話 百萬兩の壷」を見る。こういう古典中の古典を見るのも久しぶりだ。
トヨエツ主演の「丹下左膳/百万両の壺」は言わずと知れたこれのリメーク。出来はそんなに褒められたものではないと小耳には挟むものの私は未見なのでコメントできず。

この山中版「丹下左膳」については、日本映画黄金時代の娯楽作の典型として存分に笑って楽しませてもらった。
山中貞雄の天才は、しぐさのコミカルさを極限まで押し進めたような大河内伝次郎演じる左膳の造形と、そんな左膳がまじまじと子供の顔を見つめる時の間の取り方のうまさ、などに見えるだろう。
同時期の古典的ギャグ映画としては、祝祭性で勝るマキノ雅広の「鴛鴦歌合戦」を個人的にはより好むところだけど、「丹下左膳」もおさおさ劣っているわけではない。
「鴛鴦歌合戦」にしてもそうだが、まっさかさまに国家総力戦へ滑り落ちていく寸前のような時代に、こうした傑作が作られたというのはすごいことだと思う。

あと、毎回くず屋が出てくるたびに妙に荘重な音楽が流れるのに笑わされた(^^)。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

LOVERS(★★☆)

渋谷ジョイシネマでチャン・イーモウ監督「LOVERS」を見てきた。
「3つの"愛"が仕掛けてくる」とか言われてもなー、と予告編ではまるでノレなかったのだけど、たまたま時間が合うのがこいつしかなかったし、最近中国語圏の映画を見ていない気がしたもので。
はたして、剣戟シーン以外にほとんど魅力がなく、それでも「衣裳が綺麗だなー」と思ってそこだけ眺めていたところ、エンドロールでワダエミの仕事であることがわかった。

とりあえずストーリーにとおりいっぺんの「仕掛け」はあるのだけど、たとえば価値観が転倒するような「ヒネリ」がないので、何かチャートでも見ているような気分になってくる(まあ、ハリウッド映画なんか殆どそうだけど)。唐代の反乱集団に関する具体的な背景描写もないので(まあ、それが重要な映画ではないのはわかるが)、そっちから興味を持つことも出来ない。
まあ、もっとも恋愛映画というのはこういうものかもしれん。
それでも演じる俳優に存在感があれば恋愛映画というのはそれなりに見れる。しかしながら、主役が金城武では最初からムリな注文というものだろう。
ホントーにこの人、「ただの美形」でしかないなあと思う。アンディ・ラウにそれなりに存在感があるので、ますます落ちる感じがしてしまい、まずい事態だ。この筋では金城武に傾城の美女をもぐらつかせる魅力がなければいけないはずなのだけど・・。

恋愛映画における俳優の重要性をあらためて思い知らされる一本だった。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« July 2004 | Main | October 2004 »