« ル・ディヴォース/パリに恋して(★★★☆) | Main | 下妻物語(★★★☆) »

May 31, 2004

スクール・オブ・ロック(★★★)

新宿武蔵野館でリチャード・リンクレイター監督「スクール・オブ・ロック」を見る。昨日行った時は立ち見も満員で入場すらできなかったが、休日最終回の今度もやっぱり立ち見。しかし映画を立ち見で見るのはむしろライヴ感があっていいものであって、さらにこういう映画ですからライブハウス感覚でよりノリノリで見れる、むしろ歓迎すべき状況というもの。
映画はジャック・ブラックのものすごい顔芸とコドモたちの素直な瞳にひっぱられて快調に進む。
音楽も、ロック素養のほとんどない私でもけっこうついていける感じなので、それなりに配慮されているのだろう。(なにしろココはロックの学校だ)私が立ち見る目の前の座席では、欧米人のファミリーが仲良く4人で座っていた。

「バンドをやっていくにはお互いに音楽のシュミを理解しあうことだ!お前ら、好きなミュージシャンの名前を言ってみろ!」
「クリスティーナ・アギレラ」
「2PAC」
「ライザ・ミネリ」
バカヤロー!ロックバンドだぞ!ロッカーの名前を挙げろ!!
と叫ぶジャック・ブラックの猪突猛進がこの映画のキモ。
言ってるコトに矛盾もいっぱいあるし身勝手で、なんだか漫画「燃えよペン」に出てくる炎尾燃みたいな奴だが、バンドコンテストを前にドラムのハネッ返り少年がダメバンド相手にカードなんかやってると、その脱線がガマンならず「アホタレ!今度やったら・・・、親に手紙を書くぞ」なんて、あくまでも自己中心的ながらちょっと可愛い教育的指導。なんとも愛らしく汗臭いデブなのである。
楽しい映画だしバンドコンテストのシーンでは結構ノらせてもらったけど、「反抗!」「反抗!」ってわりには可愛いあたりでうまくまとめているような気もしないではない。
ジャック・ブラックが「家でロックを学べ!これは宿題だ!」と生徒に自分の好きなCDを押し付けまくるシーンがあったけど、こいつは作り手の願望の結実に違いない。オタクのやりたいことというのは、対象が何であれ、映画だろうがクラシックだろうがロックだろうが同じなのである。・・ピンク・フロイドの「狂気」を押し付けるところでは場内爆笑。あれ、小学生に聞かすの!?

こういう映画を見に行く場合、絶対クラシック音楽は罵倒とか嘲笑の対象として出てくるだろうなぁと予想できるのが毎度ちょっと憂鬱なところで、「スクール・オブ・ロック」でもそれほどではないがやっぱりそういう部分はあった。まぁ、こういうのはある種しょうがない・・・実際ブルジョワ階級の勃興とともにどんどん興隆してきたのが現在のスタイルをもつクラシック音楽であると言え、実際にファン層を見渡しても鼻持ちならない権威主義野郎やお嬢のワンサと目に付く分野でもあろう、これは音楽そのものとは関係のない、一種の社会的批判でしかない・・・と思うのだけど、やっぱりちょっと憂鬱なのは憂鬱なのである。

by k-tanaka

|

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/2930/683290

Listed below are links to weblogs that reference スクール・オブ・ロック(★★★):

» スクール・オブ・ロック [【銀太郎的映画感想文】]
■ジャック・ブラックのオレ流映画 自分でも情けないと思うほど、ワタシ洋楽の知識がないんだよねぇ。他のジャンルもそんなに知識ないんだけどさ、洋楽については皆無とい... [Read More]

Tracked on June 10, 2004 at 01:57 PM

Comments

>「反抗!」「反抗!」ってわりには可愛いあたりで
>うまくまとめているような気もしないではない。

これってハードロック・ファンの設定にはピッタリかと。
ギターポップのファンとかだと、もっと性根から
屈折していたりしますが、ハードロックの人って
意外におとなしめっていうか生真面目な人が多くない?
ギターの速弾きとか、テクニック面を極める努力してるしさ。

クラシックを罵倒・嘲笑するシーン・・・?
やっぱりクラシック・ファンならではの敏感な
リアクションでしょうか。私、気づかなかった。
パブのシーン? エンヤかなんかと並列してたんだっけ。

Posted by: mick | June 04, 2004 at 06:34 PM

そうなのかな。ハードロックやってる人が特に周囲にいないので、そもそもハードロック人口の大半がおとなしいものなのであるかどうかは分からないのだが、
安心して見に行けるファミリームービーになってしまっているのも、どうかな…というのが私のこのちょっとした違和感の淵源です。
スクールなんだからいいじゃねえかという見方もあるんだけど。

クラシックを・・"嘲笑"、というのは少し限定的な書き方なんだけど、常に基本的には「敵」なんだよね。

実際にオヤジの世代はロックはだめで、クラシックだけを弾け、ってギター君に仕込もうとしてるし、最初にみんなで弾いてる曲も「なんじゃこりゃ?」っつーアレンジだったりするあたりにそれを感じたりするのです。
ひとつの真逆の存在として描かれているのがどうしても見えてしまい、何かなーという気になってしまうのですよ。

実際のところ、ジャンルとしては知名度的にも商業的にもすごーく減退しているにも関わらず、死人に鞭打たれてる気がしてしまうのであります。
そんな状況の一方で、おっさんとかは基本的に権威主義なんでクラシックの肩持ったりしてんのが、逆に若いファンとしては憂鬱だったり、気持ち的にフクザツな部分がけっこうあります。

私が単に屈折してるだけなのかも…(^^;)

Posted by: k-tanaka | June 05, 2004 at 12:13 AM

>おっさんとかは基本的に権威主義なんでクラシックの
>肩持ったりしてんのが、逆に若いファンとしては憂鬱
>だったり、気持ち的にフクザツな部分がけっこうあります

それでこそ現状打破の楽しみがないですか?
そういうネタで映画一本作れそう。
私がバンドやってた頃って、ホコ天とかイカ天ブームの
去った後だから、世間的に免疫ができてたのね。
パンクとかやってても温かく見守られちゃったりさー。
ちょっとは白い目で見られないと逆につまんないですよ・・・。

でもクラシックの権威主義の部分にイラつくのは判る。
前に高嶋ちさこが、南米辺りの音楽にチャレンジした後、
音楽としてはクラシックが最上だと思っているけど、
たまにはこういうのもいい、みたいに言ってて、
へえーと思ったもん。タレント化して割とチャラチャラ
して見える彼女ですらそうなのか、と。
最上だと思っていてもいいけど、口に出すところがいかにもって感じ。

Posted by: mick | June 05, 2004 at 05:25 PM

Post a comment