ル・ディヴォース/パリに恋して(★★★☆)
有楽町スバル座でしかかかってない、ジェームズ・アイヴォリー監督「ル・ディヴォース/パリに恋して」を見る。
アイヴォリー作品は初見。「眺めのいい部屋」「日の名残り」などなど、文芸派の印象があるこの監督。
しかし今回のサブタイトルたるや「パリに恋して」で、主演はケイト・ハドソンにナオミ・ワッツ。
フランス側の出演陣はメルヴィル・プポーにロマン・デュリス、レスリー・キャロンなどなど・・・。チラシの印象なんかはいかにも安っぽい感じのラブコメ仕立て。
いったいどんな映画なんだ?
筋はこうだ。
いかにもヤンキーな娘ケイト・ハドソンがシャルル・ド・ゴール空港に降り立つシーンで映画は始まる。
ハドソンがタクシー乗って、フランス人亭主と一緒に暮らす姉ナオミ・ワッツに会いに行くや、姉の亭主メルヴィル・プポーは家出するわ、姉亭主のスケコマシ叔父は強烈アプローチしてくるわ、家宝の絵画は財産分与でプポー側フランス家族にまさに奪取されんとするという、三重ピンチに一挙遭遇!
あやうし、ボクトツ米国家族!?
そこで、米国から再びド・ゴール空港に降り立ったは、ハドソン&ワッツ姉妹の両親、それにもともと実家の屋根裏から出てきたジョルジュ・ラ・トゥール作とみられる聖ウルスラの画を、断固としてフランス人の手に渡すまいとする弟。
迎え討つべく郊外の邸宅に布陣をはるのは、親族の網を使って家のプライドを保護しようとする、プポー母親レスリー・キャロン以下のフランス人たち。
役者は、揃った。
ここに、米仏恋愛戦争の幕が切って落とされたのだ!
・・・って、ホントにこんな映画だったっけ?(^^;)
まあ、とにかくジョルジュ・ラ・トゥールの絵画の真贋と帰属を巡って米仏家族が対立するあたりは私的に見所のひとつであった。
(ラ・トゥールは静謐かつこの上なく印象的な明暗法が素晴らしい17世紀フランスの画家で、西洋絵画の約束事だのキリスト教美術史だのなーんにも知らなくても、ひと目作品を見れば圧倒的に感銘を受けるコトうけあい・・というたいしたヒトである)
格別すっとぼけた顔立ちのサム・ウォーターストンを筆頭とした米国家族は、昔から家族のいる場所に飾ってあったあの絵画を、別の国にやってしまうのは耐え難い、とか言っている。彼らにとってはあくまでも、家庭の重大な部品のひとつが聖ウルスラの眼差しだったのだ。
ところがフランス側の言う事もふるってて、「あれはフランスの画よ!」ってのはまだしも、「アメリカの田舎の家の屋根裏から出てきた画をルーブルに飾るなんて・・」とか言ってる。
ここで彼らの頭にあるのは大いなるフランス文化。このあたりの捉え方のコントラストがまた、恋愛観や振舞い方など、生活レベルでの米仏ギャップ描写に収まらず、何か国民性の差のスケッチにまで筆が及んでいるのを感じさせ、面白い。
キーになるジョルジュ・ラ・トゥールの絵画は重要なアイコンとしてラストシーンにまで画的に効いてくるのだが、もうひとつのオモシロ小道具が赤いケリーバッグ。これも実に面白い使われ方をする。
複雑なストーリーラインのうち、最終的に「これでいいの?」って感じに落ち着いてしまう部分もあったりするのだけど、小道具を中心にしたイメージの扱い方は実に巧みで、落し所が気持ちよい。他のアイヴォリー作品も見ていきたくなりますね。
by k-tanaka
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Tracked on July 15, 2004 at 11:57 AM

Comments
初めまして(^^)
「ル・ディヴォース」でこちらまでたどりつきました。
トラバはらせてもらいますm(__)m
Posted by: Yummy | July 15, 2004 at 11:59 AM