スクール・オブ・ロック(★★★)
新宿武蔵野館でリチャード・リンクレイター監督「スクール・オブ・ロック」を見る。昨日行った時は立ち見も満員で入場すらできなかったが、休日最終回の今度もやっぱり立ち見。しかし映画を立ち見で見るのはむしろライヴ感があっていいものであって、さらにこういう映画ですからライブハウス感覚でよりノリノリで見れる、むしろ歓迎すべき状況というもの。
映画はジャック・ブラックのものすごい顔芸とコドモたちの素直な瞳にひっぱられて快調に進む。
音楽も、ロック素養のほとんどない私でもけっこうついていける感じなので、それなりに配慮されているのだろう。(なにしろココはロックの学校だ)私が立ち見る目の前の座席では、欧米人のファミリーが仲良く4人で座っていた。
「バンドをやっていくにはお互いに音楽のシュミを理解しあうことだ!お前ら、好きなミュージシャンの名前を言ってみろ!」
「クリスティーナ・アギレラ」
「2PAC」
「ライザ・ミネリ」
「バカヤロー!ロックバンドだぞ!ロッカーの名前を挙げろ!!」
と叫ぶジャック・ブラックの猪突猛進がこの映画のキモ。
言ってるコトに矛盾もいっぱいあるし身勝手で、なんだか漫画「燃えよペン」に出てくる炎尾燃みたいな奴だが、バンドコンテストを前にドラムのハネッ返り少年がダメバンド相手にカードなんかやってると、その脱線がガマンならず「アホタレ!今度やったら・・・、親に手紙を書くぞ」なんて、あくまでも自己中心的ながらちょっと可愛い教育的指導。なんとも愛らしく汗臭いデブなのである。
楽しい映画だしバンドコンテストのシーンでは結構ノらせてもらったけど、「反抗!」「反抗!」ってわりには可愛いあたりでうまくまとめているような気もしないではない。
ジャック・ブラックが「家でロックを学べ!これは宿題だ!」と生徒に自分の好きなCDを押し付けまくるシーンがあったけど、こいつは作り手の願望の結実に違いない。オタクのやりたいことというのは、対象が何であれ、映画だろうがクラシックだろうがロックだろうが同じなのである。・・ピンク・フロイドの「狂気」を押し付けるところでは場内爆笑。あれ、小学生に聞かすの!?
こういう映画を見に行く場合、絶対クラシック音楽は罵倒とか嘲笑の対象として出てくるだろうなぁと予想できるのが毎度ちょっと憂鬱なところで、「スクール・オブ・ロック」でもそれほどではないがやっぱりそういう部分はあった。まぁ、こういうのはある種しょうがない・・・実際ブルジョワ階級の勃興とともにどんどん興隆してきたのが現在のスタイルをもつクラシック音楽であると言え、実際にファン層を見渡しても鼻持ちならない権威主義野郎やお嬢のワンサと目に付く分野でもあろう、これは音楽そのものとは関係のない、一種の社会的批判でしかない・・・と思うのだけど、やっぱりちょっと憂鬱なのは憂鬱なのである。
by k-tanaka

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